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請求書受領業務の電子化へ、まずはデータの転記作業に着目

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民間企業の取り組み

支出業務の効率化

請求書受領業務の電子化へ、まずはデータの転記作業に着目

グラビス・アーキテクツ株式会社 ディレクター 清水 元幾
株式会社AmbiRise 代表取締役CEO 兼CTO 田中 寛純
[提供]株式会社AmbiRise

※下記は自治体通信 Vol.31(2021年7月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。


さまざまな部署で発生する請求書受領業務をめぐり、多くの自治体が電子化を模索する一方、業務やシステムなどの大規模な見直しが必要になるといった課題も多い。こうしたなか、電子請求ソリューションを手掛けるAmbiRise代表の田中氏は、「一部の電子化から始めても、業務は効率化できる」と指摘する。その方法について、コンサルティング事業に携わるグラビス・アーキテクツの清水氏とともに聞いた。

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グラビス・アーキテクツ株式会社
ディレクター
清水 元幾 しみず もとき

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株式会社AmbiRise
代表取締役CEO 兼CTO
田中 寛純 たなか ひろずみ

自治体が抱く先入観

―自治体の請求書受領業務におけるデジタル化は進んでいますか。

清水 財務事務効率化の一手として注目されているテーマですが、多くの自治体が着手できていないのが現状です。これは、請求書のやりとりを電子化できても、受け取った請求書を財務会計システムに入力する作業が残れば、かえって手間が増えかねないためです。かと言って、業務を効率化できる電子請求の実現を目指すと、見積もりや契約など一連の取り引きに電子化の対象を広げてしまう傾向があります。結果として、業務のルールやシステム構成が複雑になり、関係者との調整や費用対効果の検証が難しくなります。そのため、「時間や手間をかけて業務を大幅に見直さなければ、効果が見込めない」という先入観を自治体が抱いてしまうのです。

―それが「先入観」だと言えるのはなぜでしょう。

清水 電子化の目的を「業務負担の軽減」とするなら、必ずしもすべてを電子化する必要はないからです。現状の業務工程をある程度、据え置いても、負担が大きな部分を優先して電子化することで、効果は十分に得られるのです。

田中 そこで当社では、最初に効率化する業務を「請求書から支出伝票を起票する際の転記作業」に特化し、部分的な電子化を始めることを提案しています。システムの改修やネットワークの変更を伴わず、スモールスタートできる点が提案の最大の特徴です。

―どのような仕組みで転記作業を電子化できるのですか。

田中 まず事業者側には、当社が提供する電子請求ソリューション『Haratte』に請求内容を入力し、請求書を発行してもらいます。発行された請求書には、請求情報がすべて含まれた二次元バーコードが添付されます。自治体は、受け取った二次元バーコード付きの請求書を『Haratte連携ツール』で読み取り、請求情報を財務会計システムに簡単に取り込める仕組みです。『Haratte』は、さらに業務の見直しやシステム対応を行うことで、段階を踏んで電子化を発展させることもできます。

「急がば回れ」の精神で、スモールスタートの電子化を

―段階的な電子化はどのように実現できるのでしょう。

田中 たとえば、将来的に財務会計システムにデータの取り込み機能を組み込めば、『Haratte』をネットワークでつなぎ、データの直接連携も可能です。このように、自治体や事業者の電子化の現状に合わせ、機能を拡張できるのです。

清水 『Haratte』は、電子決裁や電子審査といった財務事務の電子化において、さらなる効率化や負担軽減につながるので、財務事務の電子化が進んでいない自治体でもあわせて導入してほしいですね。また、事業者は『Haratte』を使って無料で請求書を発行できるため、自治体での導入は地域企業の電子化推進にもつながります。

―自治体に対する今後の支援方針を聞かせてください。

清水 請求書を扱う業務は、支払い方法や調達品目により業務パターンが異なるため、電子化に合わせ、付随する業務を適した形に改善していくことも大切です。当社では、多くの自治体のBPR*1を支援してきた実績を活かし、職員の生産性向上に貢献していきます。

田中 私は市役所の職員として自治体の情報化にかかわるなかで、「理想を求めるあまり身動きが取れず、改革の実現に着手できない」という現場を多く見てきました。『Haratte』は、自治体が一部の業務をスモールスタートで電子化することで、大きな理想に「急がば回れ」の精神で着実に近づけるよう開発したものです。職員時代に得た知見を活かし、業務とシステム、自治体、民間の各視点からDXを目指す自治体を支えていきます。

清水 元幾 (しみず もとき) プロフィール
昭和54年、滋賀県生まれ。平成13年、地方公共団体向けパッケージシステムを開発するシステムインテグレーターに入社し、開発・導入・運用を担う。平成27年、グラビス・アーキテクツ株式会社に入社。おもに中央省庁、独立行政法人、地方公共団体などへのITコンサルティングを担う。
田中 寛純 (たなか ひろずみ) プロフィール
昭和53年、北海道生まれ。平成14年、札幌市役所に入庁。情報システム部門や広報部門、会計部門などで情報システムの刷新やシステムの活用による業務改善に取り組む。令和2年、市役所を退職し、株式会社AmbiRiseを設立、代表取締役CEO兼CTOに就任。
グラビス・アーキテクツ株式会社
設立 平成22年12月
事業内容 公共公益機関(中央省庁、独立行政法人、地方公共団体など)に対するITコンサルティングなど
URL https://glavisarchitects.com/
お問い合わせメールアドレス info@glavisarchitects.com
※感染症対策としてテレワークを実施中のため、電子メールからお問い合わせください
株式会社AmbiRise
設立 令和2年5月
事業内容 自治体向けクラウドサービスの提供およびサービスを活用した業務コンサルティングなど
URL https://ambirise.jp/
お問い合わせメールアドレス contact@ambirise.jp
※感染症対策としてテレワークを実施中のため、電子メールからお問い合わせください

神奈川県横須賀市の取り組み

71%の時間短縮効果を実証

横須賀市 経営企画部デジタル・ガバメント推進室 浅場 鉄平
[横須賀市] ■人口:38万9,302人(令和3年5月1日現在)■世帯数:16万7,756世帯(令和3年5月1日現在)■予算規模:3,137億8,800万円(令和3年度当初)■面積:100.82km2

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横須賀市
経営企画部デジタル・ガバメント推進室
浅場 鉄平 あさば てっぺい

 国によるデジタル化推進の動きが活発化するのを受け、事業者による自治体への請求書送付も「請求印の廃止」や「請求書の電子送付」が進んでいますが、当面の過渡期は、紙と電子が併存する状況が続くと想定しています。こうしたなか、当市では、電子請求を導入する場合の業務効率化の効果や課題、業務見直しのポイントを具体的に把握することを目的に、『Haratte』を活用した実証実験を令和2年度に行いました。

 その結果、支出負担行為兼支出命令の入力作業に『Haratte』を使うことで、手作業で1件当たり5分かかっている作業は1分30秒に短縮。手作業による誤入力が原因で、差し戻し・再起票に要した時間も加味すると、71.5%*2の時間短縮が可能であることがわかりました。また、実証に参加した職員からは、「間違いが許されない業務から解放された安心感は、時間短縮の効果以上に大きい」といった声もあがりました。

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*1:※BPR:Business Process Reengineeringの略。業務プロセスを見直し、抜本的に再設計する手法

*2:※効果算定対象となるすべての請求を、事業者が『Haratte』を使って行った場合