全国の自治体トップ・職員・議員に贈る 自治体の"経営力"を上げる情報サイト

水害時の人命救助で本当に必要な、「沈まない」救命ボート

f:id:jichitaitsushin:20210519172350j:plain

静岡県菊川市の取り組み

水難救助体制の強化

水害時の人命救助で本当に必要な、「沈まない」救命ボート

菊川市
危機管理部 危機管理課 防災対策係 係長 笹瀬 泰広
[提供]浜口ウレタン株式会社

※下記は自治体通信 Vol.30(2021年6月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。


毎年のように全国で頻発する大規模水害。被害の深刻化も見られるなか、住民の生命を守るべき自治体には、起こりえる事態に対する十分な備えが求められてくる。そうしたなか、菊川市(静岡県)では、水難救助体制強化の一環として、「水難救助支援ボート」を新たに導入した。導入の経緯などを、同市危機管理課の笹瀬氏に聞いた。

[菊川市] ■人口:4万8,066人(令和3年3月末現在) ■世帯数:1万8,335世帯(令和3年3月末現在) ■予算規模:375億9,546万2,000円(令和3年度当初) ■面積:94.19km2 ■概要:静岡県の西部に位置し、遠州と信州を結ぶ「塩の道」など、古くから南北交通の要所として栄えた。市の東部には明治初頭の大規模開拓によってつくられた日本一の広さを誇る大茶園、牧之原台地が広がり、「お茶のまち菊川」として広く知られている。
 
f:id:jichitaitsushin:20210519173402j:plain
菊川市
危機管理部 危機管理課 防災対策係 係長
笹瀬 泰広 ささせ やすひろ

空気の漏れやパンクがない、硬質ウレタン注入のボート

―菊川市が進める水害対策の内容を教えてください。

 当市では、市内の中心部を流れる一級河川の菊川を対象とした水害対策に取り組んでいます。

 過去には、市内で内水被害*1が発生し、地域住民の避難のために救助ボートを利用した経験がありました。近年、局地的な豪雨が全国各地で頻発していることを受けて、当市においても、水害に対する備えをさらに強化していく必要性を感じていました。

―具体的に、どのような対策を行っていますか。

 水害発生時、地域の防災組織である「水防団」が使用する救助ボートがあるのですが、これまで使用していた救助ボートはアルミニウム製でした。大人4人でようやく運べるほどの重量だったため、迅速な救助活動を行ううえでの負担となっていたのです。また、使用年数が経過している心配もありました。そのようなことから、強度が高くて破損することがなく、誰でも簡単に使いこなせるボートを新たに探し、導入しました。

―新たに導入した救命ボートとは、どのようなものでしょう。

 浜口ウレタン社製の水難救助支援ボート『セーフティボート』です。ボートの表皮は、エアー式救命ボートと同様のPVC(ポリ塩化ビニル)製ですが、艇体には空気の代わりに水をほとんど吸わない硬質ウレタンが注入されているのが特徴です。

 そのため、浮遊物による穴あきや空気漏れ、また、断裂によってパンクすることがなく沈む心配がありません。さらに、アルミニウム製やFRP(繊維強化プラスチック)製とくらべても軽いうえに、組み立て作業や空気注入が不要ですぐに使え、すみやかな救助活動ができると考えました。

車輪を取りつけられるため、「水陸両用車」に

―そのほかに、選定のポイントはありましたか。

 迅速な救助を行うために、持ち運びのしやすさは重要なポイントでした。『セーフティボート』はそれ自体が軽量であるうえに、車輪を取りつけられるので、「水陸両用車」として活用することが可能で、陸上では負傷者を搬送することができます。たとえば、負傷して歩けない状態の人を救助するような場合でも、水防団の団員は一人でボートを引っ張って負傷者を搬送することが可能になります。

 さらに、全長が270cmのサイズを選定したことで、ワンボックス車で運ぶことができますので、倉庫から離れた場所から現場に向かう際にも、迅速に対応することができるようになるでしょう。

f:id:jichitaitsushin:20210519180836j:plain

―今後の運用計画を聞かせてください。

 昨年度に完成した「河川防災ステーション」内にある倉庫に格納してあり、出動できる態勢を整えています。幸いなことに、導入した9月以降に使用した実績はありませんが、万一の水害時の備えとして『セーフティボート』を配備することによって、住民の安心・安全につなげていきたいと考えています。


支援企業の視点

不慣れな操作や破損にも強い、「沈まない」救命ボートの導入を急げ

浜口ウレタン株式会社 管理部 開発・第一営業 次長 山田 光一
f:id:jichitaitsushin:20210519180110j:plain
浜口ウレタン株式会社
管理部 開発・第一営業 次長
山田 光一 やまだ こういち

―自治体の水害対策では、どのような動きが見られますか。

 近年、大規模な水害が立て続けに発生するなか、水難救助をめぐっては消防機関任せではなく、自ら救命ボートを整備する自治体が増えています。しかし、多くの自治体が導入する空気で膨らませるタイプの救命ボートは、破損や空気漏れがないかといった点検・管理が必要で、いざ使用する際に空気が抜けて使用できないこともあるようです。実際に、平成30年7月の「西日本豪雨」の際は、パンクして使えなかった救命ボートが多数あったという報告があります。

 アルミニウム製やFRP製の救命ボートもありますが、重量が重く、救助の機動性が低下するという問題があります。また、破損すれば沈んでしまうのは空気注入タイプと同様です。

―なにか解決策はありますか。

 当社では、「沈まないボート」として、空気の代わりに硬質ウレタンを注入するという特許によって実現した水難救助支援ボート『セーフティボート』を提案しています。組み立てや空気注入といった準備が不要で、誰でもすぐに使うことができるのが特徴です。浮力が大きいウレタンの特性から、不慣れな職員が操作したり、かりに破損してしまったりした場合でも、沈む心配がありません。この特性に注目した全国の消防機関や自治体から、昨年は前年比3倍の引き合いがありました。当社では、多くの自治体に『セーフティボート』の性能を実感していただきたく、デモ艇の無料貸し出しを行っています。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。

山田 光一 (やまだ こういち) プロフィール
昭和58年、静岡県生まれ。自動車シートメーカーにてウレタン部門の生産技術者として10年間勤務した後、平成26年、浜口ウレタン株式会社に入社。
浜口ウレタン株式会社
設立 昭和60年4月
資本金 2,300万円
売上高 10億5,000万円(令和2年9月期)
従業員数 83人(令和3年4月現在)
事業内容 ウレタンフォームの製造
URL http://hamaure.co.jp/
お問い合わせ電話番号 053-485-1331(平日9:00~17:00)
お問い合わせメールアドレス info@hamaure.co.jp
この記事で支援企業が提供している
ソリューションの資料をダウンロードする
\ たった1分で完了! /
 資料ダウンロードフォーム

*1:雨量が下水道、側溝、排水路などの雨水処理容量を上回り、土地や建物、道路などが水に浸かる被害のこと