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住民生活と事業者の働き方を支える「スマートバス停」という発想

福岡県北九州市の取り組み

バス停におけるDX

住民生活と事業者の働き方を支える「スマートバス停」という発想

北九州市 建築都市局 計画部 計画部長 奥野 静人
西日本鉄道株式会社 北九州事務所 所長 兼
西鉄バス北九州株式会社 取締役 営業本部長 有働 祐一
[提供] 株式会社YE DIGITAL

※下記は自治体通信 Vol.29(2021年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。


人口減少や「コロナ禍」により、需要低下が懸念されるバス交通。一方、バス事業者における従業員の業務をいかに削減するかという課題も抱えている。これらを同時に解決すべく、北九州市(福岡県)では、民間企業主体でバス停のDX、いわゆる「スマートバス停」事業が行われている。これを支援する同市の奥野氏と、事業に取り組む西鉄バス北九州の有働氏に話を聞いた。

北九州市データ
人口:93万5,084人(令和2年9月1日現在) 世帯数:43万3,914世帯(令和2年9月1日現在) 予算規模:1兆3,128億6,300万円(令和3年度当初案) 面積:491.69km² 概要:九州の最北端に位置する国際産業貿易都市。昭和38年に門司市、小倉市、若松市、八幡市、戸畑市の五市が合併し、九州初の政令指定都市として誕生。また、昭和49年に小倉区が小倉北区と小倉南区に、八幡区が八幡東区と八幡西区に分区し、現在は7つの行政区で構成されている。世界に誇る環境や産業の技術集積、空港や港湾などの都市基盤を有する一方、長く美しい海岸線や緑豊かな山々など自然にも恵まれている。
北九州市
建築都市局 計画部 計画部長
奥野 静人おくの しずと
西日本鉄道株式会社 北九州事務所 所長 兼
西鉄バス北九州株式会社 取締役 営業本部長
有働 祐一うどう ゆういち

従業員の人海戦術による、時刻表貼り替えは限界に

―北九州市においてバス交通の重要性は高まっているのですか。

奥野 高まっていますね。当市は、政令指定都市のなかでももっとも高齢化が進んでいます。今後免許返納の増加が予測されるなか、市民の足を守ることが重要であり、なかでもバス交通が果たす役割は大きいと考えています。そのため、西鉄バス北九州とYE DIGITALが取り組んでいる「スマートバス停」に注目しています。

―「スマートバス停」とはどのような取り組みでしょう。

有働 簡単に言うと、バス停における時刻表のデジタル化です。たとえば、直近の時刻表が大きく表示され、高齢者の方でも見やすくなっています。また、運行・運休情報もすぐに流せるため、お客さまはリアルタイムに状況把握が可能。エアポートバス停では、航空便の運行状況もわかります。多言語にも対応しているため、外国人のお客さまも安心して利用できます。

―なぜこのような取り組みを始めたのですか。

有働 お客さまの利便性向上はもちろんですが、直接のきっかけは従業員の働き方改革です。紙の時刻表の場合、ダイヤ改正時には最終バスの後、従業員の手でバス停ごとに貼り替えていたんです。西鉄バス北九州だけでも、バス停数は約2,000。労働時間の規制が厳格化するなか、人海戦術では限界がありました。これが、スマートバス停ならボタンひとつで変更が可能に。従業員の働き方改革につながるうえに、貼り間違いといったミスも起こらない。さらに、悪天候時やイベント時には運休や迂回などの情報を迅速に提供できるというわけです。実際に、お客さまからも「便利だ」と好評です。


導入バス停の拡大や、マネタイズを図っていく

―今後におけるスマートバス停の活用方針を教えてください。

有働 いま西鉄バス北九州では36ヵ所のバス停で導入していますが、それを広げたいですね。また、今後は異種事業者との広告・事業タイアップで、バス停の収益化も図っていければと考えています。

奥野 公共交通は、住民に利用されてこそ維持が図れるもの。そのために、利用者の利便性向上にくわえ、「バスを利用したい」と思ってもらえるような取り組みに期待しています。市としても、設置費用の一部を補助するなど、引き続きスマートバス停の普及に協力していきたいです。

西鉄バス北九州株式会社
設立 平成14年5月
資本金 4億5,000万円
従業員数 922人(令和2年6月30日現在)
事業内容 一般乗合旅客自動車運送事業、一般貸切旅客自動車運送事業・特定旅客自動車運送事業
URL https://nishitetsu-ktq.jp/

支援企業の視点

電力供給が難しいバス停も、IoT技術の活用でカバーできる

株式会社YE DIGITAL マーケティング本部 事業推進部 部長 工藤 行雄

株式会社YE DIGITAL
マーケティング本部 事業推進部 部長
工藤 行雄くどう ゆきお

―バス停のDXを進めていくうえでの課題はなんでしょう。

 いちばんは、電源を確保することですね。通信に関しては、各キャリアの取り組みにより、広範囲かつ低価格で利用ができます。ただ電源については、特に山間部や過疎地域など供給が難しい場所にもバス停は設置されており、西鉄バス北九州のバス停でも約2,000のうち約1,200は電源供給がありません。そうした場所に電力線を引っ張ってくるような工事をしようとすれば、莫大な費用がかかってしまいます。

―どうすればいいですか。

 当社がこれまで培ってきたIoT技術を活かした、オフグリッド(※)システムを使えば、解消できます。当社が西鉄グループと進めている「スマートバス停」には、まさにこのシステムが使われています。具体的には、ソーラーパネルや蓄電池からの電力供給でオフグリッド環境を整備。エリアによっては、LPWA(※)を活用することで省電力化を実現しています。結果、あらゆるエリアでバス停とインターネットをつなぎ、「スマートバス停」のインフラを構築することが可能なのです。

※オフグリッド:電線を伝って電力会社から送られる電力網とつながっていない電力システムのこと
※LPWA:Low Power Wide Areaの略。低消費電力で長距離の通信ができる無線通信方式のこと

―今後における自治体の支援方針を教えてください。

 北九州市での取り組みを成功事例として、「スマートバス停」の仕組みを全国展開することで自治体のバス交通を支援していきます。令和2年1月から販売をスタートし、すでに全国8地域で導入されています。住民の足だけでなく、二次交通への活用など、自治体の課題解消に貢献したいですね。

工藤 行雄 (くどう ゆきお) プロフィール
昭和50年、福岡県生まれ。平成10年に九州工業大学を卒業後、株式会社YE DIGITALに入社し、新規事業開発を担当する。令和2年よりマーケティング本部 事業推進部長として、新規事業開発、およびスマートバス停事業を担当している。
株式会社YE DIGITAL
設立 昭和53年2月
資本金 7億200万円
従業員数 640人(令和2年3月1日現在:連結)
事業内容 情報サービス業
URL https://www.ye-digital.com/
お問い合わせ電話番号 093-522-6563(平日9:00〜17:00)
お問い合わせメールアドレス marke@ye-digital.com
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