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民間企業の取り組み

水道管工事における漏水検査

人が入れない「中口径」でも、継ぎ手接合部のチェックは可能

横浜市水道局 配水部 配水課長 小西 孝之
サンエス護謨(ゴム) 工業株式会社 製品開発部 部長 中村 光伸
[提供] サンエス護謨工業株式会社

※下記は自治体通信 Vol.29(2021年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。


住民の日々の暮らしはもちろん、地震や台風などの災害時における水の確保といった観点からも重要な役目を果たしている水道管。水道管に関連するゴムや樹脂素材を提供しているサンエス護謨工業の中村氏は、「じつは水道管における工事には長年の課題がある」と指摘する。どういった課題なのか。同氏に、解決法も含めて聞いた。

サンエス護謨工業株式会社
製品開発部 部長
中村 光伸 なかむら みつのぶ

漏水の疑いがある場合、再工事を行う必要性も

―水道管の工事における長年の課題とはなんでしょう。

 通常、新設管を布設し、継ぎ手部を接合した際、漏水リスクをなくすため、継ぎ手部分がしっかりと接合されているかの確認を再度行います。直径900mm以上の大口径であれば、人が管内に直接入り、「テストバンド工法」と呼ばれる方法でチェック。これは、水圧バンドという装置を使い、人が継ぎ手接合部に加圧して、漏れがないかの確認を行うのですが、直径が大口径より小さくとなると作業も大変に。さらに、直径800mm以下の中口径になると、人が入って作業することができません。そこで、外から目視で確認し、埋め戻してから管路構築後に充水試験を行うのが一般的なのですが、これではテストバンド工法と同じ品質が保証されないという課題があるのです。

―目視と充水試験で確認した場合、どんな不具合が想定されますか。

 やはり、テストバンド工法と比較すると、漏水の可能性は高まってしまいます。万が一、埋め戻した区間で漏水の疑いがあった場合、漏水箇所の特定や継ぎ手解体などの再工事をする必要性が生じるのです。人が管内に入った場合は、一つひとつの継ぎ手接合部にしっかりと水圧をかけて確認するので、かりに漏れていたとしても場所が特定でき、すぐに補修が可能。しかし、埋め戻した中口径の場合は漏水箇所の特定が難しく、結果として再工事のために多大な労力と費用がかかってしまうのです。

―解決方法を教えてください。

 人が入れない中口径においても、大口径の場合と同様の継ぎ手接合部を確認する方法があればいいのです。そこで当社では、課題解決を模索していた横浜市水道局と共同で、中口径向けに継ぎ手接合部を確認する装置を開発しました。それが、『中口径用簡易型水圧試験機』なのです。

装置のポイントは、強度と伸縮性を備えたゴム

―詳細を教えてください。

 この装置は自走式で、外部からリモコンで操作が可能。カメラとLEDライトにより、継ぎ手接合部まで移動します。そして、前後のゴムによる止水部を膨張させることで継ぎ手接合部を挟んで塞ぎ止め、注水して大口径の確認時と同様の0.5MPa(メガパスカル)の水圧をかけます。そして、LEDつきの継ぎ手接合部確認用メインカメラと圧力計を目視確認することで、漏水がないかの確認が行えるという仕組みです。

―開発のポイントはありますか。

 止水部における、ゴム開発ですね。0.5MPaという水圧はかなりのもので、通常のゴムですとパンクしてしまいます。しかし強度を求めすぎると伸縮性が弱まり、水を止めることができない。この相反する課題の解決のために、ゴム原料の配合を重ねました。なおかつ、現場で使いやすいようにカメラをつけたり自走式にするなどの改良を重ねた結果、令和2年12月に最終スペックが完成したのです。要求品質をクリアする製品ができたのも、当社が長年にわたって上下水管に使われるゴムや樹脂素材の製造を行ってきたからです。


―自治体に対する今後の支援方針を教えてください。

 横浜市においても導入を検討しているほか、他自治体へ横展開を図っていきます。この装置を普及させることで、工事の確実性に貢献するとともに、住民の生活を守るお手伝いをしていきたいですね。

中村 光伸 (なかむら みつのぶ) プロフィール
奈良県生まれ。某搬送用ゴムベルトメーカーで営業を経て、平成13年、サンエス護謨工業株式会社入社。工業用ゴム製品、下水用ゴム製品、上水用ゴム製品の技術営業を担当。平成23年から、製品開発企画、技術業務を担当している。

同じ悩みをもつ他水道事業体に対し、課題解決の一助となれば幸い

横浜市水道局
配水部 配水課長
小西 孝之こにし たかゆき

 これまで、特に非開削工法(※)により布設した土被りの深い中口径管路では、接合不良による漏水が発生した場合、漏水箇所の特定に時間を要し、大規模な修繕が必要に。結果として、市民への安定給水確保に対し、大きな課題となっていました。この課題に対し、公募によりサンエス護謨工業との共同研究を行い、『中口径用簡易型水圧試験機』の開発にいたりました。

 チェックシートによる確実な接合が前提となるものの、今後は本試験機での継ぎ手ごとの水圧試験による品質のさらなる向上を検討していきます。また、同じ悩みをもつ他水道事業体に対し、課題解決の一助となれば幸いです。

※非開削工法:地下に張り巡らされた水道管などのライフラインを、道路を掘り起こすことなく布設・更生する技術

サンエス護謨工業株式会社
設立昭和29年8月(創業/大正13年2月)
資本金9,600万円
従業員数93人
事業内容各種ゴム製品、各種合成樹脂製品などの製造・加工・販売、上下水道・ガス・電気・通信など関連資材の製造・加工・販売、プラスチックなどの包装容器の設計・製造・加工・販売、輸送機械器具の設計・製造・加工・販売、中間材料の製造・販売
URLhttp://www.sun-esu.co.jp/
お問い合わせ電話番号 06-6942-5681(平日9:00~17:30)
お問い合わせメールアドレスsss-kikaku@sun-esu.co.jp
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