
民間企業の取り組み
熱中症/インフルエンザ対策
IoTを駆使した精緻な環境管理で、熱中症や感染症を予防せよ
クラウドビジネス部・シニアマネージャー 小寺 基文
クラウドビジネス部・アシスタントマネージャー 清水 琢真
※下記は自治体通信 Vol.29(2021年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
いまや恒常化した感がある夏の酷暑。消防庁によると、昨年夏の熱中症搬送患者は全国で約6万5,000人に達したといい、学校現場や公共施設を管轄する自治体には、適切な予防対策が求められている。そうしたなか、自治体向けに各種通信サービスを展開するエヌ・ティ・ティ・スマートコネクトの小寺氏は、「IoTを活用すれば適切な環境管理が可能」と指摘する。その具体的な方法について、同社の清水氏とともに、話を聞いた。


適切な判断を下すうえで、有用な指標「暑さ指数」
―熱中症の予防対策の現状はいかがですか。
清水 年々、状況は深刻化しています。昨年夏は約6万5,000人が救急搬送されたという数字がありますが、このうち6~7%は学校現場で発生している事実に我々は注目しています。先生たちがしっかりと管理している環境でさえ、これだけの数の熱中症が発生しているのです。
小寺 平成30年には愛知県豊田市で、小1男児が校外学習中の熱中症で死亡する事故がありました。今の日本の暑さは、命を奪いかねない深刻な状況です。
―どのような対策が必要でしょう。
清水 環境省も推奨する、「暑さ指数(WBGT)」を判断の基準にすべきです。これは専用の黒球センサーで測定した「湿度」、日射・輻射など「周辺の熱環境」、「気温」の3要素から算出される指標です。直射日光や湿度といった気温だけでは測れない人体への影響が考慮されています。運動や労働といった行動別に明確な指針が出されているので、管理者が適切な判断を下すうえで有用な指標と言えます。ただし、測定には専用機材が必要なうえ、これまではリアルタイムに環境を測定し、瞬時の適切な判断につなげられる仕組みはなかなか見当たりませんでした。
小寺 そこで当社が開発したのが、IoTを駆使した「熱中症対策サービス」です。
同じ測定システムで、冬にはインフルエンザ対策も
―どのようなサービスですか。
小寺 現場に設置された「センサーノード」が定期的に暑さ指数を測定。管理者のもとにある「センサーステーション」に測定結果を飛ばし、実測値と5段階のアイコン表示によって、危険度を可視化するサービスです。測定データはクラウド上に蓄積され、閾値を超えた場合はメールでアラートが通知される仕組みです。
清水 管理者は、離れた場所からでもリアルタイムに設置環境の状況を確認でき、運動中止といった適切な判断を即座に下すための明確な根拠を得られるのです。じつは、ほかにもこのシステムが優れている点があります。
―具体的に教えてください。
清水 暑さ指数を測定する仕組みがそのまま、冬には季節性インフルエンザの対策に応用できるのです。というのも、ウイルスは、空気中の水分量を意味する「絶対湿度」が高いほど生存率が下がるという相関性が明らかになっています。そのため、環境内の絶対湿度を測定・管理し、適切なタイミングで換気や加湿を行うことで、季節性インフルエンザの流行リスクを抑えることができるのです。

―このサービスにより、自治体をどのように支援していきますか。
小寺 熱中症や感染症の予防はいまや深刻なテーマであり、自治体においては学校現場に限らず、高齢者が利用する公共施設などで広く環境管理が求められています。当社では、IoTを駆使したこのサービスで有効な対策が打てるよう自治体を支援していきます。ぜひ、お問い合わせください。
データ分析サービスやIoTを活用したクラウドサービスに関する開発業務に携わる。
設立 | 平成12年3月 |
---|---|
資本金 | 1億円 |
従業員数 | 229人(令和2年8月現在) |
事業内容 | ハウジング事業、クラウド事業、ストリーミング事業 |
URL | https://www.nttsmc.com/ |
お問い合わせ電話番号 | 06-6147-5193 |
お問い合わせメールアドレス | heatstroke-info@smartconnect-iot.jp |
ソリューションの資料をダウンロードする