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全庁を対象とした業務量調査で、行政改革の大きな一歩を踏み出せた

全庁を対象とした業務量調査で、行政改革の大きな一歩を踏み出せた

愛媛県の取り組み

抜本的な業務改善

全庁を対象とした業務量調査で、行政改革の大きな一歩を踏み出せた

愛媛県
総務部 行財政改革局 行革分権課 働き方改革グループ 担当係長 髙岡 司
総務部 総務管理局 市町振興課(愛媛県選挙管理委員会) 課長(書記長) 三木 裕太郎

今治市
企画財政部 行政経営課 スマート自治体推進係長 藤岡 洋

宇和島市
総務企画部 総務課 課長補佐兼行政係長 小川 真太郎
総務企画部 総務課 行政係 主査 小島 佑貴
[提供] コニカミノルタ株式会社

※下記は自治体通信 Vol.28(2021年2月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。


複雑化・多様化する社会課題に、限られた職員の数で対応するために、多くの自治体が職員の生産性向上に向けた施策に取り組んでいる。しかし、「手探りのなかで施策に着手しても、大きな成果を得られない」と悩むケースも少なくない。こうしたなか、愛媛県は、行政改革の第一歩として、業務量調査を県内の市町とともに実施した。業務量調査を始めた理由やその効果について、同県の髙岡氏と三木氏に聞いた。

愛媛県データ
人口:132万5,622人(令和2年11月1日現在)世帯数:59万9,311世帯(令和2年11月1日現在)予算規模:9,730億9,248万9,000円(令和2年度当初)面積:5,676.23km²概要:四国の北西部に位置する。温暖で雨が少ないが、冬季は山間部で積雪が多く、ウィンタースポーツが楽しめるなど、四季を通じて多様な気候に富んでいる。東予地域の今治圏域はタオルや縫製、中小造船の集積する地場産業都市。南予地域の八幡浜・大洲圏域および宇和島圏域は、日本一のみかんの産地であるほか、水産業でも、タイ、ハマチ、真珠などの養殖業が盛ん。
愛媛県
総務部 行財政改革局 行革分権課 働き方改革グループ 担当係長
髙岡 司たかおか つかさ
愛媛県
総務部 総務管理局 市町振興課(愛媛県選挙管理委員会) 課長(書記長)
三木 裕太郎みき ゆうたろう

効率化のツール導入が、本当に必要な部署はどこか

―愛媛県が行政改革を推進している背景を教えてください。

髙岡 本県では、社会保障費の増加で財政の見通しが厳しくなる一方で、防災・減災や人口減少対策、地域経済活性化、働き方改革などが県政の重要課題となっています。こうした行政課題への対応に職員がより注力できるようにするには、現状の業務負担を減らしていく必要があります。そのため、急速に発達し続けるICTを取り入れ、職員の生産性を向上させるための行政改革に取り組んでいます。令和元年度には、行革分権課に働き方改革グループを設置。「ICTを活用した業務改革の成功事例をつくっていくべき」という認識のもと、ソリューション導入の検討を進めています。

―具体的にどのように進めているのですか。

髙岡 まずは全庁的な業務量調査を実施しました。従来は、我々が「職員の業務効率改善に資するはずだ」と考えたソリューションについて、導入を希望する部署を募っていました。しかしこの方法では、解決できる業務課題が限られ、本当に改善が必要な業務すべてをカバーしきれませんでした。そこで、業務量調査で現場の状況を把握しておけば、業務の分析結果とともにソリューションを提案できるのではないかと考えたのです。

三木 まさにそうした折、本県の今治市でコニカミノルタが全庁的な業務量調査を実施するという話を聞きました。コニカミノルタは行政プロセスの改善支援に豊富な経験と知見をもっており、同社の支援のもとで行政改革はさらに前進できるのではないかと期待しました。そこで、愛媛県としても、同社の協力を得て、業務量調査を行うことになったのです。

市町の連携を通じ、業務の標準化も検討

―業務量調査により、どのような成果を得られましたか。

髙岡 業務・作業別でかかる時間を把握できました。たとえば、庶務関連の作業は、多くの部署に共通して負荷が高く、特に「照会対応」に多くの時間が割かれていることが判明。そこから、照会対応にかかる生産性を向上させるため、現在は詳細調査を実施し、課題の検証や対応策の検討を進めています。「この業務は大変そうだ」「このツールは活かせそうだ」といった推測ではなく、客観的に得られたデータをもとに、具体的かつ有効な施策を検討しやすくなりました。コニカミノルタからは、業務量調査実施後の具体的な施策の検討や、効果検証も対象に引き続き支援を得ています。

三木 県内では、同社の協力のもと、今治市や宇和島市など14の市町が同様の業務量調査を行っています。令和2年度からは、業務改善のアイデアを引き出して行政改革の成果を高める目的で、県市町連携の分科会も開いています。ある市では、ほかの自治体との比較から、「一部の業務が重複している」といった、業務見直しにつながる気づきを得られたそうです。

―行政改革に関する今後の方針を聞かせてください。

髙岡 引き続き、本県の行政改革における基本姿勢である「ファクト重視」を実践するカタチで、データにもとづいた行政改革を前進させていきたいと考えています。

三木 県市町連携で実施した業務量調査結果データについては、各市町の行革担当部門や、コニカミノルタと連携し、業務の標準化・最適化や、ツールの共同利用の検討にも活かしていく考えです。当県が掲げる「基礎自治体重視の行政」を推進していきたいですね。


愛媛県今治市の取り組み

ゼロベースからの業務プロセス見直しは手順書が重要に

今治市データ
人口:15万6,655人(令和2年10月末現在)世帯数:7万6,609世帯(令和2年10月末現在)予算規模:1,329億3,861万2,000円(令和2年度当初)面積:419.21km²
今治市
企画財政部 行政経営課 スマート自治体推進係長
藤岡 洋ふじおか ひろし

「ボリュームゾーン」を対象に、業務内容をさらに明確化

―業務量調査を行った背景を聞かせてください。

 当市では、人口減少にともなう労働力と財源の不足に対応するため、根本的な業務プロセスの見直しが必要だと考えています。従来も、個々の業務を改善してきましたが、業務上のムダを正確に把握し、適切な改善策を探るには、業務をゼロベースから見直すことが必要です。そこで、コニカミノルタの協力のもと、業務量調査を実施。業務のボリュームゾーンが把握できたため、次の段階として業務手順書の作成に取り組みました。

―業務手順書を作成したのはなぜでしょう。

 業務の引き継ぎや、業務に関する情報共有の効率化を図るほか、業務そのものの生産性向上につなげるためです。それまで当市では、業務の引き継ぎ書類が職員個人の任意で作成され、部署によっては引き継ぎがスムーズにできないといった声が出ていました。業務手順書では、一つひとつの業務について、インプットとアウトプット、作業の手順を定義し、扱うデータやそれらの格納方法などとあわせて整理しました。作成にあたっては、コニカミノルタの社員も現場に入り込んでヒアリングを行いながら、1,000以上の業務手順を可視化しました。

―今後、どのような方針で行政改革を推進していきますか。

 ゼロベースからの業務プロセスの見直しを行う手がかりとして、業務量調査で得られたデータや業務手順書を活用していきます。また、業務量調査を実施した県内のほかの市町における業務とも比較しながら、最適なプロセスを構築し、生産性向上につなげていきたいです。


愛媛県宇和島市の取り組み

生産性向上に向けた自治体間連携にも期待

宇和島市データ
人口:7万3,170人(令和2年11月30日現在)世帯数:3万5,860世帯(令和2年11月30日現在)予算規模:938億8,300万円(令和2年度当初)面積:468.19km²
宇和島市
総務企画部 総務課 課長補佐兼行政係長
小川 真太郎おがわ しんたろう
宇和島市
総務企画部 総務課 行政係 主査
小島 佑貴こじま ゆうき

ノンコア業務の負担を低減し、市民サービスの向上を図る

―業務量調査の実施でどのような成果を得られましたか。

小川 職員の負担が大きな分野や業務を全庁的に把握できました。たとえば、人事係では、紙の書類で受け取ったデータを手作業でシステムに入力する勤怠管理業務の負荷が大きいことに気づきました。ほかにも、時間や手間のかかるノンコア業務が庁内の多くの課にあることも数字として把握でき、改善施策につなげることができています。

―具体的にはどのような施策を行っているのでしょう。

小島 たとえば、業務量調査で負担の大きさが明確になった郵便関連業務には、郵便料金計器と封入・封かん機の導入が決まりました。勤怠管理業務でも、システム構築を目指した協議が進行中です。業務を効率化するソリューションは非常に多いですが、コニカミノルタの助言を得て、適切な施策の検討が着実に進んでいます。さらに、法令で定められた業務については、自治体間連携を通じた業務フローの最適化にも期待しています。

―今後の行政改革の方針を聞かせてください。

小川 令和元年度に策定した「第4次宇和島市行政改革大綱」では、従来の「コストの削減」から方向転換して、「市民サービスの質の向上」に注力する方針を掲げています。業務量調査から着手し、現在は職員の生産性向上に向けた施策に取り組んでいる段階ですが、これによって職員がコア業務に専念できる時間を増やし、住民サービスの質を高めていきたいですね。

 

支援企業の視点

「データドリブン」の改善施策で、行政改革の成果を最大化させよ

コニカミノルタ株式会社
関西支社長/OneKM推進室長 別府 幹雄
[提供] コニカミノルタ株式会社

コニカミノルタ株式会社
関西支社長/OneKM推進室長
別府 幹雄べっぷ みきお

導入するICTツールが、「適切な手段」になっているか

―行政改革にあたって自治体が抱えがちな課題はなんですか。

 職員数が減っていくなかで、行政改革の手段としてのICTやDXに着目することは大切ですが、ツールを導入しても、期待する効果が出ないことが課題となりがちです。たとえば、RPAの導入を希望する部署を募っても、手を挙げるのは新しいテクノロジーに抵抗の小さい職員がいる部署。その部署へ導入しても、必ずしも大きな成果を得られるとは限りません。

―行政改革の成果を高めるポイントはなんでしょう。

 業務全体の可視化を起点に、適切な施策を探っていくことです。まずは、一度洗い出したすべての業務から、人にしかできない業務とツールに任せられる業務を明確化。さらに、負担が大きい業務やノンコア業務、改善が見込みやすい業務を対象に、適切なツールを検討すべきです。そこで当社では、長年培ってきた業務プロセス改善の知見を行政に広げる目的で、業務量調査から施策の実施まで、言わば「データドリブン」の改革を支援。こうした取り組みには、自治体間の連携も推奨しています。

―それはなぜですか。

 自治体の規模が小さいと、高額なツールを導入した場合に十分な費用対効果が生まれないことがあるからです。導入を断念すれば、結局、人海戦術に頼らざるをえず、悪循環に陥ってしまう。そのため、ツールの共同利用を見越し、自治体間で連携して、法令で定められた業務を標準化していく取り組みも重要になるでしょう。

―自治体に対する今後の支援方針を聞かせてください。

 当社が持つ経営改善の知見やパートナー企業との関係を活かし、自治体の行政改革に伴走していきます。当社の「測定なくしてコントロールなし」という品質方針は多くの自治体の共感を得て、当社は現在、約50団体と連携協定を結び、行政改革を支援しています。当社が自治体と協力して得た業務量調査のデータは、同じような規模の自治体に活用してもらうことも可能です。関心のある方は、お気軽にお問い合わせください。

別府 幹雄 (べっぷ みきお) プロフィール
昭和35年、愛媛県今治市生まれ。昭和59年に青山学院大学を卒業後、大手精密機器メーカーに入社。平成23年、株式会社ワールドに入社。平成25年、コニカミノルタ株式会社に入社。平成28年より現職。おもに「One Konica Minolta」視点での新事業開発を統括。
設立 昭和11年12月
資本金 375億1,900万円
売上高 9,961億円(令和2年3月期)
従業員数 4万3,961人(令和2年3月現在:連結)
事業内容 オフィス事業、プロフェッショナルプリント事業、ヘルスケア事業、産業用材料・機器事業
URL https://www.konicaminolta.com/jp-ja/
お問い合わせ電話番号 OneKM推進室 事業管理G 西澤 英一郎
070-2163-1681(平日9:00〜17:00)
お問い合わせメールアドレス E.Nishi@konicaminolta.com