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都市部の「副業人材」を受け入れ、関係人口創出の新たな切り札に

都市部の「副業人材」を受け入れ、関係人口創出の新たな切り札に

富山県南砺市の取り組み

域外からの人材登用①

都市部の「副業人材」を受け入れ、関係人口創出の新たな切り札に

南砺市 市長 田中 幹夫
[提供] 株式会社みらいワークス

※下記は自治体通信 Vol.27(2020年12月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。


人口減少や少子高齢化が進むいま、いかに域外から人材を呼び込むかが、地域を活性化させるうえで重要になっている。こうしたなか、早くから関係人口の創出に力を入れてきた南砺市(富山県)では、都市部で働きながら地域で副業を希望する人材を地元企業に受け入れる事業に取り組んでいる。その詳細や成果について、市長の田中氏に聞いた。

南砺市データ
人口:4万9,696人(令和2年9月30日現在) 世帯数:1万7,658世帯(令和2年9月30日現在)予算規模:561億2,667万円(令和2年度当初)面積:668.64km²概要:富山県の南西部に位置し、面積の約8割を白山国立公園などの森林が占める。国の伝統的工芸品に指定されている「井波彫刻」や「五箇山和紙」のほか、安土桃山時代から続く絹織物、野球用の木製バットの製造といった地場産業が盛ん。アニメ制作や次世代ロボットの生産など、新産業の創出や起業家支援にも力を入れている。
南砺市
市長
田中 幹夫たなか みきお

地元企業32社の募集に、都市部から318人が応募

―関係人口の創出に向けた南砺市の取り組みを教えてください。

 「関係人口」という言葉が広まる前の平成28年から、南砺市にかかわる人を増やす「応援市民制度」に取り組んでいます。この制度で「応援市民」になれるのは、地域産品の購入やボランティアなどを通じ、当市を応援してくれる市外の人たち。登録者には専用の証明書を送り、応援活動の円滑化を支援しています。応援市民には、副業として市内企業に働きに来る人もおり、副業人材の受け入れに着目するきっかけになりました。

―なぜ着目したのですか。

 副業を通じて地域企業に深くかかわってもらえれば、当市への愛着をより深めてもらえると同時に、地域産業の活性化も促せると考えたからです。市内には、経営課題の解決に専門知識をもつ人材を要しながらも、新たな社員の雇用が難しい中小企業が多くありました。折しも、平成30年には政府が企業の副業を促す方針を表明。こうしたなかで当市は、副業人材の登用を模索し、みらいワークスが提供する副業に特化した求人サイト『スキルシフト』を知りました。そこで、南砺市商工会と連携し、『スキルシフト』の活用で地域企業と都市部の副業人材をマッチングする「副業応援市民プロジェクト事業」を始めたのです。

―どのような事業でしょう。

 まず、人材を募集したい地域企業は、『スキルシフト』に求人情報を掲載します。これに副業希望者が応募。採用が決まったら、1ヵ月に1回以上、その人材に副業先で、経営課題解決に向けた助言を行ってもらうといった取り組みです。市内企業への営業を含む業務には、地元のコンサルティング会社が当市と企業の仲介役を担ってくれ、事業の円滑な推進につながっています。これは、地元のパートナー企業に副業人材活用のノウハウを蓄積するために、みらいワークスが構築したもので、地方創生の自走化につながる画期的なスキームだと評価しています。

―実際にどのくらいの募集や応募がありましたか。

 平成30年度から令和元年度にかけて、32社の募集に318人(※)が応募しました。令和元年末までに15社が副業人材を受け入れています。人材を受け入れた業界は、スポーツ用品や食品、家具、タクシーなど多岐にわたります。どの企業も、マーケティングや人材育成、海外進出などに関する経営課題を抱えていました。地元企業からは、「毎回、課題解決に向けた貴重な助言を多く得られ、満足している」との声を多数聞いています。

※平成30年度は16社に97人、令和元年度は16社に221人がそれぞれ応募

副業人材の活用を、まちづくり全体に広げたい

―関係人口の創出に向けた今後の方針を聞かせてください。

 今後も副業人材を積極的に受け入れ、関係人口のさらなる創出を目指します。市内では昨年から、小規模多機能自治(※)の手法を取り入れた新たな住民自治の仕組みづくりが進んでいます。地方創生を目指す住民が主体となり、新しいアイデアが次々と生まれていますが、それらを具現化するため、専門的な知見をもつ人材の協力を市外に求めるケースも多くあります。副業人材の活用をまちづくり全体に広げていきたいですね。

※小規模多機能自治:自治振興会単位や小学校区域において、さまざまな団体が結集し、地域課題を自ら解決して地域運営を行う仕組み

本業:都内の外資系製薬会社に勤務
斉田 雄介さん

市内の木製バットメーカーで副業を行い、中期経営計画の策定を支援しました。副業を希望した理由は、前職で得たコンサルティングのスキルを役立てられる場を探していたこと。私自身、野球が好きなことや、地方産業の活性化に貢献したいという想いもありました。9ヵ月間の副業を通じて地元企業に貢献できただけでなく、南砺市への愛着も深まりました。


支援企業の視点

域外からの人材登用②

大手社員の副業ニーズは増加傾向に。いまこそ地方に活躍の場を創出せよ

株式会社みらいワークス 代表取締役社長 岡本 祥治
[提供] 株式会社みらいワークス

※下記は自治体通信 Vol.27(2020年12月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。


前ページでは、関係人口創出に向けて副業人材の受け入れに取り組む南砺市の事例を紹介した。ここでは、同市の事業を支援しているみらいワークスを取材。副業人材市場の動向や、人材を受け入れるポイントなどについて、同社代表の岡本氏に聞いた。

株式会社みらいワークス
代表取締役社長
岡本 祥治おかもと ながはる

副業を希望する人材は、エリアで左右されにくい

―副業人材の活用に対する自治体の関心は高まっているのですか。

 「第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略」の基本目標に盛り込まれた「関係人口の創出」を実現する手段として、関心が高まっています。関係人口創出の手段には、観光施策もありますが、観光資源の有無といった地域固有の事情に効果が左右されがち。その点、副業人材の活用は、地域を問わず、人手不足に悩む多くの中小企業が、関係人口の受け皿となれるのです。

―しかし、都市部の人材を地方に呼び込むのは難しいと思います。

 たしかに、そうした課題意識をもつ自治体の方は多いです。しかし、副業人材は、「どこで働くか」よりも「自分が貢献できる仕事はあるか」を重視し、働くエリアに左右されにくいのです。特に副業が解禁されている大手企業やベンチャー企業で働く人材が副業を望むのは、「自分が培ってきたスキルを社会課題の解決に活かしたい」といった社会貢献意欲が理由になる傾向がある。人手不足に悩む中小企業が多い地方にとっては、いまこそ、こうした人材が活躍できる場をつくり出す機会なのです。

―実際、副業人材の募集にはどのくらいの応募があるのですか。

 当社の『スキルシフト』の登録状況を例に見れば、募集1案件あたりの応募人数は平均9.8人。募集に応募がある比率は99.7%と、募集があれば地域を問わず希望者がほぼかならず、応募してくれるのです。年齢は、20代~40代と、現場で活躍中の若い世代が9割。年収は、500万~1,000万円未満の層が7割(※)を占めます。

 副業人材を活用するには、こうした属性を理解したうえで、「人材の受け入れ体制をいかに構築するか」が重要になるのです。

※みらいワークスによる推計値

地域にノウハウを蓄積し、地方創生を自走化する

―副業人材の受け入れを成功させるポイントを教えてください。

 まずは副業人材を活用するメリットを、地域の企業に啓発することです。副業人材の受け入れという新しい取り組みを、企業が敬遠することもあるでしょう。そのため、地域が一丸となって副業人材を受け入れ、長く活躍してもらうための土台が必要となります。

 そこで当社では、金融機関や事業者など地域に根づいたパートナーとの連携を、重要なスキームとして盛り込んでいます。副業人材の活用を啓発するためのセミナー運営のノウハウ、求人掲載枠の営業手法などを、このパートナーに「伝授」するのです。これにより、自治体の事業が終了した後も、ノウハウを蓄積したパートナーが主体となり、取り組みを継続。地方創生に向けて地域が自走できる仕組みをつくるのです。

―今後、自治体をどのように支援していきますか。

 32の都道府県で地域企業の副業人材募集を支援してきた実績を活かし、多様な課題の解決に貢献していきます。たとえば、自治体庁内における副業人材の活用支援。これは、次号の『自治体通信』で詳しくお伝えしたいと考えています。

 昨今の「コロナ禍」では、都会を敬遠し、地方に関心を向ける人が急増しているという調査もあります。地方における副業人材の受け入れに追い風が吹くなか、新しい取り組みで地域を元気にするお手伝いをしていきたいですね。

岡本 祥治 (おかもと ながはる) プロフィール
昭和51年、神奈川県生まれ。平成12年、慶應義塾大学理工学部を卒業し、アクセンチュア株式会社に入社。その後、ベンチャー企業を経て、47都道府県を旅する過程で「日本を元気にしたい」という想いが強くなり、起業を決意。平成24年、株式会社みらいワークスを設立し、代表取締役社長に就任。平成29年に同社の東京証券取引所マザーズ市場への上場を果たす。
株式会社みらいワークス
設立 平成24年3月
資本金 2億729万円(令和2年3月31日現在)
売上高 35億9,600万円(令和元年9月期)
従業員数 53人(令和2年3月31日現在)
事業内容 プロ人材採用・調達支援
URL コーポレートサイト
https://www.mirai-works.co.jp/
スキルシフト
https://www.skill-shift.com/
お問い合わせ電話番号 03-5860-1837(平日10:00〜18:00)
お問い合わせメールアドレス skill-shift_info@mirai-works.co.jp
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