
民間企業の取り組み
オンライン申請の推進
行政手続きの新しい仕組み。デジタルアウトソーシングという発想
株式会社グラファー 行政支援本部 デジタルアウトソーシング支援室 マネージャー 竹村 まり絵
※下記は自治体通信 Vol.27(2020年12月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
スマート自治体推進の機運が高まるなか、行政手続きのオンライン化を検討する自治体が増えている。特に「コロナ禍」における各種給付金の申請手続きでは、課題を残しつつもオンライン化の手応えを感じた自治体も。そんななか、行政手続きのデジタル化を支援するグラファーの竹村氏は、「行政手続きでは"デジタルアウトソーシング"という取り組みが注目されている」と話す。同氏に、詳細を聞いた。

オンライン化に向けた、業務全体の最適化を図る
―デジタルアウトソーシングとはどのような取り組みでしょう。
行政手続きにおいて、デジタルへの移行を含む、業務全体を外部委託する取り組みです。窓口業務や事務に関する業務を委託すると同時に、オンライン申請を導入できるのが特徴です。
―デジタルアウトソーシングには、どのようなメリットがありますか。
利用者満足度の高い、オンライン申請を構築しやすいというメリットがあります。業務全体を委託することで、システムと運用との連携が密接になり、改善のための情報連携が行いやすくなるためです。たとえば、住民からの問い合わせで課題が判明した場合、すぐさまオンライン申請画面に改善策を取り込むことが可能。利用者や職員の声をもとに、システムをどんどん改善できるのです。
―デジタル化を前提にアウトソーシングを行う場合、どんな課題があるでしょう。
一般的には別々の会社が、「デジタル化」と「アウトソーシング」それぞれの役割を担うと思います。別会社が業務を請け負うメリットもありますが、多くの場合は改善がなされないままになる原因となります。
たとえば、紙の場合には申請日の記入が必須ですが、デジタルなら送信日時が記録されるため入力は不要。これが、役割分断によって、項目の要不要などの議論がなされず、紙ベースの運用をそのままシステムに反映してしまい、最適化がされないといった問題が起こります。結果として、住民にとって使いにくいオンラインシステムができあがってしまうのです。
手続き業務の運営には、法令に関する理解も重要
―これからデジタルアウトソーシングを行いたいと考えている自治体は、どうすればいいですか。
手続き業務のデジタル化に向け、システム開発から事務運営まで一括で行う事業者を選択すべきです。しかし、これまでそのようなサービスを明確に行う例はありませんでした。そこで、行政手続きのオンライン化を推進してきた当社が、今年度からデジタルアウトソーシングをスタートさせたのです。
当社は、スマートフォンやパソコンから利用できるオンライン申請サービス『Graffer スマート申請』の提供を通じ、デジタル行政を支援してきました。今回それにくわえて、郵送での申請の受付やデータの入力、審査、住民からの問い合わせ対応を行うコールセンターサービスを含む業務を一括で請け負うサービスを開始しました。
―グラファーならではの特徴を教えてください。
これまで多数の自治体のデジタル変革を支援してきた知見から、現場の声をシステムに取り込んで、利用者にとって使いやすいオンラインサービスを提供できます。また、オンライン化を進めるうえで重要な関連法令への理解にもとづいたうえで制度に対する提案まで踏み込んで行います。
―自治体に対する今後の支援方針を聞かせてください。
デジタル庁の創設などでデジタル化の機運が高まるなか、住民にも喜ばれ、効率的な運用となるようなサービス提供を継続していきたいと考えています。助成金施策では、デジタルの特性を活かし、人間ではチェックしきれない不自然な申請も検知できるので、適切な制度運用を支援していきます。


当市ではグラファーのデジタルアウトソーシングサービスを採用し、5月に「店舗家賃負担軽減制度」、6月に「中小企業チャレンジ支援補助金」という神戸市独自の制度受付を開始しました。これまでの補助金制度は、窓口申請と郵送の申請のみでしたが、今回は多数の申請が想定されたうえに「密」を防ぐ必要がありました。そのため、オンラインによる申請を導入。限られた時間のなか、短期間でシステムの構築を完了しました。結果、中小企業チャレンジ支援補助金では、全体の約8割がオンラインによる申請でした。
今回のプロジェクトは、デジタルアウトソーシングを提供してくれたグラファーが、法令をしっかりと理解したうえで「システム」と「業務運用」の両軸を専門的な立場で支援してくれたことで、成果に結びつけられました。デジタル化に強みがある同社ならではの推進力で、オンラインでの入力項目数を削減したり、実際の問い合わせをもとに、運営途中に申請画面上の文言を改善。そうした結果、利用者の使いやすさを追求することができました。
設立 | 平成29年7月 |
---|---|
資本金 | 9億7,500万313円(資本準備金を含む) |
従業員数 | 37人 |
事業内容 | 行政インターフェース事業、行政ソリューション事業、データプラットフォーム事業、マーケティングソリューション事業 |
URL | https://graffer.jp/ |
お問い合わせ電話番号 | 03-3405-7007(平日10:00〜17:00) |
お問い合わせメールアドレス | supportgov@graffer.jp |
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