
民間企業の取り組み
地域経済の活性化
消費の循環を生む新たなポイント制度が、低迷する地域経済の起爆剤になる
営業部 プロジェクトリーダー 山田 敏一
営業部 マネージャー 島貫 純
※下記は自治体通信 Vol.26(2020年10月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
地域経済の低迷が続くなか、自治体としても有効な打開策をなかなか見出せずにいる。そんななか、独自のポイント制度のプラットフォームを提供するグルーヴァースの山田氏は、「『ウェルネス』というテーマでつながるコミュニティに支えられた民間主導のポイント制度こそ、地域経済活性化の起爆剤になる」と語る。そこで同社の島貫氏とともに、低迷する地域経済の現状とそれを打開するポイント制度の導入効果を聞いた。


コロナ禍の「脱・都心」が、人を呼び込むチャンスになる
―地域経済の有効な活性化策が見つからず、悩みを抱える自治体は多いですね。
島貫 とても多いです。少子高齢化や人口減少に歯止めがかからず、空き家と空き店舗は増え続け、地域経済は衰退の一途をたどっています。それにくわえて、今回のコロナ禍で地域経済はさらなる打撃を受けており、今後この種の悩みは、さらに深刻度を増しそうです。
山田 一方、今回のコロナ禍を契機に、「脱・都心」の機運の高まりがメディアでも指摘されており、「ゆとりある生活を送れる地方で暮らす」という考えが広がっています。この流れを「チャンス」ととらえる自治体も多く、現状は移住者への一時金の支給や雇用のあっせんといった施策を中心に展開していますが、これらにくわえて当社では、従来の地域ポイント制度をバージョンアップさせた、新たなポイント制度の導入も、有効な施策になると考えています。
―どういうことでしょう。
島貫 新たな居住先を探す際、あえて「活気のない町」を選ぶ人はいません。「活気があり楽しそうな町」と感じることを前提に、「住みやすそうか」といった具体的な検討に入るのが一般的だと思います。
山田 そう考えた場合、発行されるポイントによって地域内の「ヒト、モノ、カネ」をつなぎ、地域への愛着を育てながら、住民一体となった経済循環を生み出すポイント制度は有効です。そのうえで当社では、それをバージョンアップさせて「ウェルネス」にテーマを絞り、そのコンセプトに共感してくれるコミュニティに支えられることで、地域外からの消費も呼び込める民間主導のポイントシステム『ウェルちょ』を提供。地域のさらなる活性化を試みています。
住民の身体だけでなく、心や社会全体まで元気にする
―なぜ、ウェルネスをテーマにしているのですか。
山田 消費者が心身ともに元気になれるプラットフォームを用意することで、健康寿命が延伸して消費活動が活発になり、地域経済全体が活性化するからです。さらに、ウェルネスというコンセプトに共感して形成されるコミュニティによって、消費活動のさらなる活性化が期待できるのです。
―どういったことでしょう。
山田 『ウェルちょ』では、身体だけでなく、心、そして社会全体のウェルネスも対象としているからです。これはなにも、「対象を広げて消費の循環を高める」といった単純なものではありません。モノや情報があふれる現代では、ひとつの商品に込められているメッセージとストーリーを見出し、その意味に共感し、ファンとなって消費する行動が広がっています。身近な例に「エコ」があります。「エコ商品の購入が、地球環境の保全につながる」という意義に共感し、消費行動が促される。こういった消費行動を、私たちは「意味消費」と呼び注目しています。
島貫 同様に『ウェルちょ』でも、たとえば、「地域を応援するために、地域一押しと銘打った特産品を買う」「昔祖母がつくってくれた質素な手料理を、田舎の風景ごと想起して心を元気にするために、地域の食材、調味料、器をセットで買う」「ひとり親たちを支援するために、安くて栄養価の高い食事を提供する子ども食堂に、獲得したポイントを寄付する」など。地域全体がウェルネスという共通テーマのもと、「意味消費」を含めた消費の循環を生み出す。それが、私たちが提唱する新たなポイント制度『ウェルちょ』の狙いです。


―具体的な運用内容について教えてください。
山田 『ウェルちょ』は、消費者がポイント対象の商品を購入したり、サービスを利用したりすれば、心身と社会全体の健康の維持・増進につながる商品の購入や、サービスを利用できるポイントを受け取れる仕組みです。
島貫 『ウェルちょ』では、自社商品の購入者やサービスの利用者にポイントを提供してくれる事業者を「ウェルネス応援隊」と呼び、ポイントの単位は独自に「エール」と表現しています。食品や飲料、日用雑貨品の購入、イベントへの参加など、日常的な幅広い消費活動を対象とし、多くの「エール」が提供されるようにします。そして、病院、調剤・漢方薬局やジム・フィットネスの利用など、消費者が健康の維持・増進を目的として「エール」を利用できる事業者を「ウェルネスステーション」と呼び、双方を起点に「エール」による消費の循環を起こす仕組みです。



身近な「エール」の活用で、落ち込んだ消費を回復
―しかし、ポイント制度は自治体の財源確保の問題から導入が難しいと言われています。
島貫 確かにそうですね。自主財源ですべてのポイントを用意できる自治体は少ないです。そのほか、導入を難しくしている問題として、「協力事業者の募集」「消費者に対する利用促進の喚起」「維持管理システムの構築」があります。
―どうすればいいのでしょう。
山田 自治体が直接運営にかかわらず、ポイント制度を導入できればいいのです。その点『ウェルちょ』では、ポイント制度の協力事業者の募集は私たちが主体的に行います。その際、消費者の購買行動の情報を提供し、データベースとして活用してもらう代わりに、事業者にポイントである「エール」の原資負担の協力をお願いします。そのほか、『ウェルちょ』の利用を喚起するプロモーション活動、店舗ごとの「エール」利用履歴の集計や換金作業などができる維持管理システムは、当社が用意して運用します。そのため、自治体にはほとんど負担のないポイント制度の導入が実現するのです。
島貫 自治体に協力をお願いする点は、「エール」を利用できる公共施設や公共交通機関を多くしてもらうこと、地域の店舗、健康関連機関・施設に登録要請をしていただくことですね。


―どのような活用シーンが考えられますか。
山田 「新型コロナの影響で消費が落ち込んだ繁華街を活性化させるため、地域の食材を使った飲食店・物販店で『エール』を相互利用する」「観光客を呼び込むため、地域一押しの特産品に『エール』を付与する」「公園清掃や子どもの見守りなど、地域貢献活動に対して『エール』を付与する」などさまざまな活用が考えられます。またある自治体では、重点的な健康施策への住民参加を促すために、「エール」を媒介として、健康関連セミナーの受講や検診の受診に導く取り組みが検討されています。
住民が元気になれば、医療負担の軽減にもつながる
―自治体に対する今後の支援方針を教えてください。
島貫 『ウェルちょ』の活用で、地域経済の活性化とともに元気な住民が多くなるため、自治体の医療負担の軽減も支援できます。また、地域の生産者を支援するため、地場産品も販売できるECサイトを開設し、全国の需要を取り込めるようにします。地域経済の活性化策を模索している自治体の方は、ぜひ当社にご連絡ください。
設立 | 平成30年11月 |
---|---|
資本金 | 4億2,500万円(令和2年8月31日現在) |
事業内容 | 『ウェルちょ』事業の運営 |
URL | https://groovearth.com/ |
お問い合わせ電話番号 | 050-5358-0741(平日9:00~18:00) |
お問い合わせメールアドレス | support@groovearth.com |
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