
三重県いなべ市の取り組み
情報発信力の強化
ユニバーサルデザインの活用が、魅力的なまちづくりの起点に
※下記は自治体通信 Vol.25(2020年8月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
地方創生の実現や人口減少という課題の解決に向けて、多くの自治体が行政運営を行ううえで、SDGsを重要な指針に据えている。いなべ市(三重県)も、そうした自治体のひとつだ。同市ではそのための手段として、情報発信のあり方に工夫を凝らしているという。副市長の岡氏に、取り組みの詳細やその効果などを聞いた。

市の先進性を示して、目指すは「活力創生のまち」
―いなべ市がSDGsの取り組みを推進する理由を教えてください。
当市が「総合計画」で掲げるビジョン「住んでいーな!来ていーな!活力創生のまち いなべ」を実現するうえで、持続可能なまちづくりにつながるSDGsの達成が、その近道と考えたからです。また、先進的なSDGsの取り組みを行うことで、いなべ市に魅力を感じてくれる市内外の方々がもっと増えると。そこで、平成30年度から「いなべブランド」に位置づけられる市の各事業を、SDGsが示す17の目標に紐づけて表現しています。
そのうえで、行政だけではなく、さまざまな立場の人がSDGsを意識できるようなまちづくりを進めていくことも重要です。そのために早くから着手してきたのが、情報発信のあり方を見直すことでした。
―それはなぜですか。
当市には、多様な住民が暮らしているという事情があるからです。実際、自動車産業を中心とする製造業が基幹産業の当市では、住民の約5%が外国人です。これは、県内で3番目に高い比率です。また、高齢化率も年々高まり、高齢者に配慮した情報発信のあり方がますます必要に。さらに、市のこれからを担う子どもたちも含め、国籍や年齢、障がいの有無などにかかわらず、情報発信における「ダイバーシティの確立」をすべての政策の基盤にすべきと考えたのです。
職員自身も学んだ「伝えることの大切さ」
―具体的に、どのような取り組みを始めたのでしょう。
市の広報誌やホームページにユニバーサルデザイン(以下、UD)フォントを導入したほか、庁内や学校内の端末でもUDフォントを使えるようにしました。文字のかたちをわかりやすく、読みやすくして、高齢者や弱視、ディスレクシア(※)といった方々にも伝わりやすくしたのです。さらに、日本語のコンテンツを9言語へ自動翻訳する機能を搭載した多言語デジタルブック『MCCatalog+』も導入。デジタル端末上で外国語での表記や音声読み上げにも対応し、外国人への情報発信も強化しています。
※ディスレクシア:文字の読み書きに限定した困難さをもつ疾患。「発達性読み書き障がい」とも呼ばれる
―それらの効果はいかがですか。
「広報誌やホームページが読みやすい」と住民から高評価を得ただけでなく、職員自身がUDフォントの活用を通じ、レイアウトを調整して読みやすさを追求するなど「伝えることの大切さ」を学んでいるのは大きな効果です。UDフォントの導入は、それ自体がSDGsの取り組みへの大きな一歩と言え、「質の高い教育」「不平等をなくす」などSDGsの個別目標達成の手段にもなります。また、情報をデジタル配信する『MCCatalog+』は、ペーパーレス化と配送負担の軽減につながるため、SDGsの個別目標である「省エネ」「環境保全」などの達成にも寄与します。
これからも、UDフォントや『MCCatalog+』を活用した情報発信のさらなる強化を通じて、SDGsを推進し、魅力あるまちづくりに力を入れていきます。


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