
民間企業の取り組み
請求書のペーパーレス化
42万社に広がる「請求書電子化」手法が、全庁規模の業務効率化を実現する
※下記は自治体通信 Vol.25(2020年8月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
業務効率化やコスト削減の手段として近年、注目されているペーパーレス化は、持続可能な社会を目指すSDGsへの貢献度も高い取り組みである。こうしたペーパーレス化について、「庁内業務の効率化だけでなく、地域の企業も同時にメリットを享受できる取り組みになりえる」と指摘する人物がいる。各種帳票のデジタル化サービスを提供するインフォマートの園田氏だ。その具体的な方法について、同氏に聞いた。

企業と取り引きする全部署が、請求書業務を行っている
―自治体におけるペーパーレス化は進んでいるのでしょうか。
会議のペーパーレス化や議事録の作成をデジタル化するといった取り組みは少しずつ事例が見られるようになりました。しかし、多くの部署がかかわる肝心な業務でペーパーレス化が進んでいません。それが請求書の受け取り業務です。企業に発注した部署では、記載内容の確認や、見積もり価格との照合に時間と手間が生じます。会計課では、請求書を手作業でシステムに入力する手間がかかります。これらの手間は、紙の請求書を扱うがゆえに生じるもの。つまり、この請求書の受け渡しをデジタル化できれば、全庁規模で業務効率化の効果を波及させられるのです。
―請求書のデジタル化が遅れているのはなぜでしょう。
市場のニーズに即したツールが少なかったためです。一般的な企業は請求書の発行と受け取りの双方を行いますが、従来のツールは発行をデジタル化するものがほとんど。最近では紙の請求書をデジタル化するツールもありますが、結局は原本が紙となることは変わらず、受け取る側は業務効率化の効果をあまり得られませんでした。
そうしたなかで当社は、請求書の受け渡し双方をデジタル化できるサービス『BtoBプラットフォーム請求書』を提供し、ペーパーレス化の支援を行っています。
―詳しく聞かせてください。
発行側は、クラウド上のフォーマットに請求金額や支払い期日などのデータをアップロード。請求書を受け取る側は、紙の原本を使うことなくそのデータを活用・管理できる仕組みです。発行と受け取りの双方をデジタル化できる点は民間企業から高く評価され、現在、42万社(※)が導入。その数は1ヵ月で約1万社のペースで増えています。現時点で未導入の企業でも、いちど導入すれば活用できる取引先を簡単に増やせる仕組みができているため、自治体にとっても、企業の協力を得やすいと思います。
※42万社:令和2年6月末現在の利用企業数
発行側と受け取り側の双方で、コストを平均約7割削減
―導入によって具体的にどのような業務効率化を期待できますか。
自治体は、既存システムとの連携により、発注部署での照合作業や、会計課における支払い額の入力作業が不要になります。そのため、職員の負担を軽減し、人為的ミスを減らせます。また、部署間の承認や会計処理にかかる時間が減ることで、導入企業では人件費を約7割削減した例も。同時に発行側も、印刷や郵送コストが不要になるため、約7割のコストを削減したケースもあります。つまり、自治体が当サービスを導入することで、地域の企業を巻き込みながら、コスト削減や業務効率化のメリットを広げられるのです。


―自治体に対する今後の支援方針を聞かせてください。
当社は今年6月から、愛知県春日井市とコンカー社の3者共同で実証実験を行い、業務効率化とペーパーレス化の有効性を検証しています。同様に、当社では今後も実証実験の申し込みを受けつけています。長年、紙で行っていた業務をデジタル化するにはハードルが高く感じるかもしれませんが、ぜひ、この機会を利用してその効果を実感してほしいです。このほか当社では、紙の請求書を受け取った場合でも、AI-OCR(※)でペーパーレス化を実現するサービスも提供予定です。業務のペーパーレス化に関心のある自治体の方は、当社にお問い合わせください。
※AI-OCR:AIとOCR(光学的文字認識)を組み合わせ、手書きや印刷された文字をデジタル化する技術
設立 | 平成10年2月 |
---|---|
資本金 | 32億1,251万円(令和2年3月末現在) |
売上高 | 85億4,000万円(令和元年12月期) |
従業員数 | 529人(令和2年3月末現在) |
事業内容 | BtoB(企業間電子商取引)プラットフォームの運営 |
URL | https://www.infomart.co.jp/ |
お問い合わせ電話番号 | 03-5776-1146(平日10:00〜17:00) |
お問い合わせメールアドレス | government@infomart.co.jp |

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