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「未病改善」の産業基盤を構築し、持続可能な超高齢社会を目指す

「未病改善」の産業基盤を構築し、持続可能な超高齢社会を目指す

神奈川県の取り組み

ヘルスケアの推進①

「未病改善」の産業基盤を構築し、持続可能な超高齢社会を目指す

神奈川県 政策局 ヘルスケア・ニューフロンティア 推進本部室 未病産業グループ 副主幹 谷 康雄
[提供] グルーヴァース株式会社

※下記は自治体通信 Vol.25(2020年8月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。


高齢化率が年々高まるなか、「健康寿命の延伸」に向けた取り組みは、いまや自治体にとって重要政策のひとつと言える。神奈川県では、その実現に向けて、健康づくりや病気の予防を目的とした「未病改善」の取り組みを積極化している。担当者に、その詳細や期待する効果などについて聞いた。

神奈川県データ
人口:922万2,162人(令和2年6月1日現在)世帯数:420万9,011世帯(令和2年6月1日現在)予算規模:4兆1,944億5,500万円(令和2年度当初)面積:2,416.32km²概要:日本列島のほぼ中央に位置する。人口規模は東京都に次いで全国2位。京浜工業地帯には、石油コンビナートや鉄鋼、自動車などの工場が集積する一方、富士箱根伊豆国立公園の一角をなす箱根や湯河原の温泉地帯、丹沢の山岳地帯や4つの県立自然公園があるなど、豊かな自然環境も特徴。
神奈川県
政策局 ヘルスケア・ニューフロンティア 推進本部室
未病産業グループ 副主幹
谷 康雄たに やすお

病気になる前の改善行動が、健康寿命の延伸につながる

―神奈川県の「未病改善」に向けた取り組みを教えてください。

 まず「未病」とは、心身の状態を「健康」と「病気」のふたつでとらえるのではなく、その間を行ったり来たりする状態の概念です。住民には「いま自分はどの位置か」を認識してもらい、もし病気に近い状態なら、食事や運動習慣を改善して健康を回復してもらう。すなわち、病気の前段階で改善を繰り返し、健康寿命を伸ばすものです。その推進に向け、未病という概念の普及や未病に関する新たな産業創出を目的に、「未病産業研究会」を平成26年に発足しました。

―どういった研究会ですか。

 県内の介護・医療、食品、スポーツ、ITなどあらゆる業界の企業が800社以上集まった団体です。当室が事務局となり、未病改善に向けた商品やサービスの情報共有などを行っています。今年度からは具体的な産業創出に向け、新たな取り組みを行っています。

―具体的に教えてください。

 今回はそのうちの2つを紹介します。1つ目は、未病改善の商品やサービスの利用を促す「循環づくり」です。具体的には、消費者が健康増進につながる商品の購入やサービスを利用した際、インセンティブとして「ポイント」を提供し、それをさらなる健康増進に利用してもらいます。ポイント利用は健康増進活動に限られるため、多くの企業が参画し、多様なメニューが用意されなければなりません。そういった点で、「ヘルスケア」に特化したポイント制度の運用実績があるグルーヴァースのポイントシステム『ウェルちょ』が有効と考えました。というのも、ヘルスケアという明確な目的に賛同する多くの企業の参画が見込めるからです。さらに、同じ目的をもつ企業同士の協業も期待できます。

未病改善につながる循環を、企業が協力し合いさらに促進

―どのような協業でしょう。

 当県は、未病産業研究会会員のリコーと協定を結び、認知症予防の取り組みを強化します。具体的には、脳機能を磁場で計測する同社の脳磁計を健診などで住民に利用してもらい、その結果をもとに、認知症予防の食事や運動習慣の改善を促します。その際、たとえば認知症予防に効果があると期待されている食品のメーカーとリコーが、生活改善のためのセミナーを共催し、参加者にポイントを提供したとします。すると、参加者はポイントを食による「日常的な健康管理」と、検査による「定期的な身体のチェック」に使う循環が生まれます。認知症以外にも、生活習慣病の予防など、未病改善のあらゆる分野で企業が協力し、この循環が生まれることを期待します。

―2つ目の取り組みを教えてください。

 アクティブシニアと企業をつなぎ、未病産業を推進するため、ユニマット リタイアメント・コミュニティが運営するアクティブシニア向け住宅がある複合施設「マゼラン湘南佐島」と協力します。「超高齢社会の新しい生き方」を支える、未病改善に向けた多様な商品やサービスが開発される場になると思います。

 たとえば、入居者の毎日の身体データを蓄積、見える化し、健康状態の維持・改善に向けた食事や運動メニューなどを開発します。そのほか、多世代交流もかなえる趣味やアウトドア活動の推進、地元食材を使った商品の開発なども。多くの企業がこの場を利用することで、健康寿命の延伸を図る新たな産業の創出が期待できます。

―今後の未病改善に向けた方針を聞かせてください。

 未病産業のさらなる創出・拡大に取り組みます。その結果、次々と新商品や新サービスが生まれ、未病改善の取り組みが持続可能なものになるでしょう。ひいてはそれが、「持続可能な超高齢社会」の実現につながると考えています。


企業の取り組み

ヘルスケアの推進②

神奈川県との協業で未病改善に取り組む企業

株式会社リコー HC事業本部 メディカルイメージング事業センター MEG事業室
企画グループ スペシャリスト 阿部 邦彦
不二製油株式会社 営業部門 営業戦略室 室長 廣瀬 康
株式会社ユニマット リタイアメント・コミュニティ 事業統括本部 兼 経営企画室 部長 白木 優史
グルーヴァース株式会社
営業部 部長 伊東 岳彦
営業部 プロジェクトリーダー 山田 敏一
[提供] グルーヴァース株式会社

※下記は自治体通信 Vol.25(2020年8月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。


前ページでは、未病改善に向けた神奈川県の事例を紹介した。ここでは、神奈川県と協業し、それぞれの分野で未病改善の商品やサービスを研究・開発している企業を紹介する。

株式会社リコー
HC事業本部 メディカルイメージング事業センター MEG事業室
企画グループ スペシャリスト
阿部 邦彦あべ くにひこ

―リコーでは、未病改善に向けた取り組みをどう推進していますか。

 当社は、令和2年1月に神奈川県との間で「医療及びヘルスケア分野における連携と協力に関する協定」を締結しました。県が作成した未病指標と、当社の脳磁計による脳機能ドックを組み合わせた「認知症の未病プラットフォームの構築」に貢献します。脳機能ドックの受診者には、食事・運動など日常生活の改善に向けたヒントを記載したレポートを提供します。

―それが認知症の予防につながると。

 確かに脳磁計で認知機能のレベルはわかりますが、大切なのは、受診者による予防ケアと生活改善の取り組みへのサポートです。日々の生活を見直し、再び脳磁計で脳機能を測ってもらい、その結果を見て、さらに生活習慣の改善に役立てていただく。そのような循環が、認知症の予防に取り組む多くの企業が集まる県のプラットフォームだと可能になる、と考えます。このプロジェクトに貢献し、その後は他県にも展開したいと思います。

阿部 邦彦 (あべ くにひこ) プロフィール
昭和48年、茨城県生まれ。平成10年に株式会社リコーに入社。画像システム事業の商品マーケティング、プロジェクター・IWBなどの商品企画を担当し、令和2年4月より現在の業務に携わる。
株式会社リコー
設立 昭和11年2月
資本金 1,353億円
売上高 2兆85億円(令和2年3月期:連結)
従業員数 9万141人(令和2年3月31日現在)
事業内容 オフィスプリンティング、オフィスサービス、そのほか環境・ヘルスケアなど
URL https://jp.ricoh.com/
不二製油株式会社
営業部門 営業戦略室 室長
廣瀬 康ひろせ やすし

―不二製油は未病改善にどう貢献していますか。

 健康な「食」の提供を通じて、病気を防ぐ強い身体づくりに貢献したいと考えています。たとえば当社では、お茶の産地で有名な、ある自治体から依頼を受けて「緑茶チョコ」の開発に携わった際、類似商品の4倍近い量の緑茶粉末を配合する提案をしました。その結果、抗ウイルス作用やコレステロールを下げる作用が期待できるカテキンを豊富に含むチョコとなったのです。当社ではつねに、「おいしさと健康」を追求した商品づくりを行っています。

―今後の取り組み方針を聞かせてください。

 油や大豆、カカオといった原材料を食品メーカーに卸している当社には、「食の安心・安全」を支える役割があると思っています。当社から食品メーカーに「健康を意識した商品づくり」をさらに働きかけることで、未病改善に取り組む食品メーカーの輪が広がればと考えています。

廣瀬 康 (ひろせ やすし) プロフィール
昭和34年、米国ニューヨーク市生まれ。昭和57年に不二製油株式会社に入社。マッチングによるCSV(共有価値の創造)の実現に携わる。
不二製油株式会社
設立 平成27年10月
資本金 5億円
売上高 4,147億2,700万円(令和2年3月期:連結)
従業員数 1,167人(令和2年3月31日現在)
事業内容 植物性油脂、業務用チョコレート、乳化・発酵素材、大豆加工素材の事業に関する食品の開発・製造・販売
URL https://www.fujioil.co.jp/
株式会社ユニマット リタイアメント・コミュニティ
事業統括本部 兼 経営企画室 部長
白木 優史しらき まさひと

―未病産業の創出を、神奈川県と協力して進めていくそうですね。

 はい。当社が運営する「マゼラン湘南佐島」は、アクティブシニア向け住宅、レストラン、フィットネスクラブ、スパからなる複合施設です。「いつまでも健康でいられる」「社会参加できる」「楽しみを満喫できる」という3つのテーマをもとに、さまざまな企業とも協業しながら、今後さらにサービスを拡充していきます。当社のサービス提供に取り組む姿勢は、神奈川県の「未病改善の産業育成を通じた健康寿命の延伸」という考えと合致していることから、未病産業の創造に協力して取り組んでいきます。

―未病改善の取り組みをどのように支援しますか。

 当施設では、アクティブシニアの状況を直接把握できます。そのため、生涯を通じて元気でい続けられる商品やサービスの開発に向けたPDCAサイクルを回す絶好の機会だと思います。ぜひ、多くの企業に参加してもらいたいです。

白木 優史 (しらき まさひと) プロフィール
昭和47年、群馬県生まれ。平成30年に株式会社ユニマット リタイアメント・コミュニティに入社。新規事業開発などを担当。
株式会社ユニマット リタイアメント・コミュニティ
設立 昭和50年6月
資本金 1億円
売上高 574億3,200万円(令和2年3月期:連結)
従業員数 1万996人(令和2年3月31日現在※臨時職員など含む)
事業内容 介護事業、飲食事業、その他事業
URL https://www.unimat-rc.co.jp/
グルーヴァース株式会社
営業部 部長
伊東 岳彦いとう たけひこ
グルーヴァース株式会社
営業部 プロジェクトリーダー
山田 敏一やまだ としかず

―神奈川県との協業内容を教えてください。

伊東 「ウェルネス」をテーマとし、想いをひとつにした企業が集えるポイントシステムのプラットフォーム『ウェルちょ』を提供します。企業がポイント原資を負担し、健康増進を志向する消費者にポイントを提供することで、次々と健康増進の活動が生まれます。多くの消費者によってその循環が生み出されることで、企業の持続可能なビジネスチャンスも広がるのです。

―未病改善を推進する自治体をどう支援しますか。

山田 消費者が未病改善プログラムへ楽しく参加できるよう、インセンティブの適用やプロモーション活動など一連の運用も、『ウェルちょ』をベースに、参画する企業の知恵とアイデアを盛り込みながら進めていきます。そのため、自治体はポイント原資や運用面での負担がほぼありません。『ウェルちょ』を通じて、未病改善に取り組む全国の自治体のお役に立ちたいですね。

伊東 岳彦 (いとう たけひこ) プロフィール
昭和51年、神奈川県生まれ。令和元年にグルーヴァース株式会社に入社。営業全般の業務に携わる。
山田 敏一 (やまだ としかず) プロフィール
昭和35年、愛知県生まれ。令和2年にグルーヴァース株式会社に入社。自治体向け営業などの業務に携わる。
グルーヴァース株式会社
設立 平成30年11月
資本金 4億2,500万円
事業内容 『ウェルちょ』事業の運営
URL https://groovearth.com/
お問い合わせ電話番号 050-5358-0741(平日9:00~18:00)
お問い合わせメールアドレス support@groovearth.com
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