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データを駆使したEBPMの実践が、医療費・介護費抑制の切り札になる

データを駆使したEBPMの実践が、医療費・介護費抑制の切り札になる

兵庫県淡路市

IoTを活用した介護予防事業

データを駆使したEBPMの実践が、医療費・介護費抑制の切り札になる

淡路市
健康福祉部 健康増進課 保健師 大迎 麻梨子
健康福祉部 健康増進課 保健師 小河 祐子
[提供] 株式会社NTTドコモ

※下記は自治体通信 Vol.24(2020年6月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。


財源・人手の不足や業務増大に直面する多くの自治体に共通の課題は、限られたリソースをいかに効率的に運用し、政策を実現していくか。そこで重要になってくるのが、EBPM(※)の考え方である。そうしたなか、淡路市(兵庫県)では介護予防事業においてEBPMを実践。IoTを導入し、データの収集・分析を通じた事業改善で効果をあげているという。同市担当者の大迎氏、小河氏にその内容などを聞いた。


※EBPM:Evidence-Based Policy Makingの略。エビデンスにもとづく政策立案のこと

 

淡路市データ
人口:4万3,267人(令和2年5月1日現在)世帯数:2万32世帯(令和2年5月1日現在)予算規模:453億1,115万7,000円(令和2年度当初)面積:184.32km²概要:淡路島の北部から中部に位置し、東に大阪湾、西に播磨灘を臨む。面積は淡路島全体の約3割を占める。本州と四国を結ぶ大動脈・神戸淡路鳴門自動車道が南北を貫通するほか、大阪湾沿いに国道28号、播磨灘沿岸に県道福良江井岩屋線、東西軸として県道富島久留麻線、県道志筑郡家線などが各集落を結んでいる。
淡路市
健康福祉部 健康増進課 保健師
大迎 麻梨子おおむかい まりこ
淡路市
健康福祉部 健康増進課 保健師
小河 祐子おがわ ゆうこ

体操がもたらす抑制効果が、最大で年間30万円と試算

―これまで、どのような介護予防事業に取り組んできましたか。

大迎 全国平均よりも高い水準で少子高齢化が進む当市では、介護予防事業の一環として、高齢者の体操コミュニティの形成に力を入れ、平成22年度から「いきいき100歳体操」を推進してきました。この体操は筋力やバランス能力の維持・向上ができる運動として広く全国で実施されており、当市でも現在、約120ヵ所、登録者約2,500人を数えるまでに普及しています。地域住民同士が支え合う地域コミュニティの形成に一定の成果をあげてきました。しかし一方で、課題を感じていたのも事実です。

―どのような課題ですか。

小河 体操には漠然と効果を感じながらも、それを定量的に可視化できていなかったのです。そのため、体操のさらなる普及や定着、介護予防効果の改善といった事業の発展につなげることができていませんでした。そんななか、当市では平成29年度にIoTを駆使して地域課題の解決を図る「産官学連携事業」をNTTドコモらとともに発足させました。これをきっかけに、介護予防事業でもIoTを活用する施策に着手したのです。

―詳しく教えてください。

大迎 NTTドコモの支援を受け、私たちが収集したデータは、体操への出欠情報と体力測定結果のふたつです。参加者にICカードを配付し、出欠状況をクラウド上で確認することで、地域や会場ごとの参加傾向までリアルタイムに把握できるようになりました。

 一方の体力測定結果は、参加者の運動能力を把握するためのデータとなるだけでなく、参加者に印刷して手渡すことで、自分の体力の現状を客観的に把握するためのデータとなり、参加への動機づけにもなっています。そして参加率と体力測定の結果をみていくことで、効果検証にもつながっています。

小河 じつは、これらのデータ収集でもっとも大きな効果は、出欠情報と医療費・介護費の相関を分析した結果、体操がもたらす抑制効果が最大で年間30万円と試算されたことです。体操の効果が可視化された意味は大きく、その効果を詳細に分析し、さらに高めていくために、当市では介護予防事業の予算増額を決めています。

保健師の「経験と勘」を、裏打ちするデータの意義

―それは大きな成果ですね。

大迎  そればかりか、データ活用により庁内の健康事業への取り組み意識の向上と連携強化に伴い、厚生労働省の保険者努力支援制度に係る交付金が大幅に増額しました。かつて獲得ポイントが兵庫県内で下から2番目だった当市が、現在では2位にまでなっているのです。

―データ利活用の成果を今後、どのように活かしていきますか。

小河 介護予防事業においては、収集データが保健師の「経験と勘」を裏打ちする論拠となっているので、その相乗効果で事業のさらなる発展に活かしていきたいです。また、データの利活用によって職員から次々と新しいアイデアが生まれている変化にも注目しており、その成果も事業の現場に反映させていきたいと考えています。

大迎 その先に、当市がめざす「いつかきっと帰りたくなる街づくり」を実現していきたいですね。

 

支援企業の視点

眠った情報を有効活用できれば、政策効果はまだまだ高められる

NTTドコモ IoTビジネス部 ソリューション営業推進・ コンサルティング営業推進担当
担当課長 倉持 淳
[提供] 株式会社NTTドコモ

※下記は自治体通信 Vol.24(2020年6月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。


株式会社NTTドコモ
IoTビジネス部 ソリューション営業推進・ コンサルティング営業推進担当
担当課長
倉持 淳くらもち あつし

―自治体におけるEBPMの導入状況はいかがですか。

 徐々に進んでいます。特に介護予防事業ではその必要性が認識されはじめています。歳出の多くを占める社会保障費、なかでも医療費と介護費の抑制はどの自治体にとっても喫緊の課題であり、介護予防事業の重要性は高まっています。一方で、人手不足や予算の制約が顕在化しており、事業効率化の要請も強い。EBPMを導入し、限られたリソースで最大の効果をあげる必要に迫られているのです。

―EBPM導入のポイントはなんでしょう。

 現場の負担を最小限に抑えながら事業効果を検証するために、新しい仕組みを導入するだけではなく、すでに取得しているデータを棚卸し、有効に活用することがポイントです。そのうえで、「データとデータを組み合わせることで、いままで把握できていなかった効果を可視化」するデータ利活用の優れたノウハウが融合すれば、淡路市のように、健康寿命の延伸により医療費・介護費の大きな抑制効果を得ることも可能です。

―自治体に対する今後の支援方針を聞かせてください。

 自治体には、十分に活用できていない情報が多く眠っています。それらを利活用できれば、政策効果はまだまだ高められます。当社には、慎重な管理が求められる個人情報を扱ってきた豊富な経験と、データやIoTの利活用ノウハウがあります。当社は、デジタルトランスフォーメーションにより地域課題を解決し、「Society 5.0」の実現によるまちづくりのお手伝いをします。

倉持 淳 (くらもち あつし) プロフィール
平成13年、株式会社NTTドコモに入社。ワンセグ端末企画、dカード、eラーニングサービス提供などの業務を担当し、平成29年から現職。
株式会社NTTドコモ
設立 平成3年8月
従業員数 7,884人(平成31年3月31日現在)
事業内容 通信事業、スマートライフ事業、その他の事業
URL https://www.nttdocomo.co.jp/
お問い合わせメールアドレス lg-pr-ml@nttdocomo.com