
三重県四日市市の取り組み
ファシリティ・マネジメントの実践
全庁一体の推進体制を構築し、公共施設の持続的運営を実現する
※下記は自治体通信 Vol.24(2020年6月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
今後、急速に進むと予想される少子高齢化や財政難に備え、自治体では公共施設の持続的な運営に向けた体制づくりが急務となっている。そうしたなか、四日市市(三重県)では、施設の長寿命化と同時に、将来的な統廃合も視野に入れた総合的な施設管理計画の策定を進めている。同市担当者に、施設運営のあり方に関する検討状況とともに、取り組みの内容を聞いた。

施設の定量データだけでは、適切な管理計画はつくれない
―今後の公共施設運営のあり方について、どのような検討を重ねてきたのでしょう。
平成28年1月に、限りある財源のなか、市内に200以上ある施設の持続的運営に向けた適切な維持管理や長寿命化の基本方針として、「公共施設等総合管理計画」を定めました。現在はこの計画をもとに、各施設の具体的な対策や実施時期を盛り込む「個別施設計画」の策定に着手しています。
―策定状況を詳しく教えてください。
当市では、28の施設所管部署が、各施設の建築年や構造、過去の保守点検内容といった安全性に関するデータをもっています。まずはこの定量的なデータをもとに、施設ごとに今後の運営方針の指標を出すことにしました。それと同時に、各所管部署に施設の現状や課題を聞く「庁内ヒアリング」を実施することに。なぜなら、各施設の特性や住民ニーズの強さ、将来の環境変化といった定性的なデータも加味しなければ、実効性の高い個別施設計画は策定できないと考えたからです。ただし、これらの定性データを取得するのは、簡単ではありません。どの所管部署も施設の必要性は強く主張しますし、そうした意見をバランスよく収集し、適切に施設計画に落とし込むのは、さらに難しいことです。そこで、民間事業者のノウハウを活用すべく、昨年7月に公募し、多くの自治体での支援実績がある日本管財に委託しました。
―具体的にどう取り組んだのでしょう。
まずは、日本管財が提供する公共施設専用の評価システムを活用し、定量データをもとにした施設ごとの運営方針の指標をつくりました。同時に、庁内ヒアリングにおいては、「公共施設マネジメント」の重要性を伝える職員研修から行いました。

品質・財務・機能の課題を、網羅的に洗い出す
―なぜ職員研修から行ったのでしょう。
部署の枠を越えてデータを取得するにあたり、その目的や基準・指標を共有してもらうためです。全庁一体となった施設の持続的・効率的運営を実現するためには、このプロセスが必要との提案が日本管財からあったのです。そのうえで、施設マネジメントで重要となる「品質面」「財務面」「機能面」における課題を網羅的に洗い出すため、同社の協力を得て、事前に調査シートを作成し、所管部署にヒアリングを行いました。
―成果はいかがでしたか。
それぞれの所管部署が示す施設の現状や課題について、正確に把握することができました。なかには、利用者が減っている施設に関して、「施設が果たす機能や役割について、見直しをする必要がある」といった意見を進んで出してくれた部署もありました。定量データをもとにした指標はもちろん重要ですが、さらに現場の声を的確に反映した個別施設計画を策定できれば、より持続可能性の高い公共施設マネジメントを推進できると考えています。
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