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民間企業の取り組み

AIを活用したデータ分析

医療専門家のリスク評価力をモデル化し、ムリなく地域の健康増進を図る

ソホビービー株式会社
COO 葛 煒
Technology Team 沈 天毅
[提供] ソホビービー株式会社

※下記は自治体通信 Vol.23(2020年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。


住民の健康寿命の延伸に向けて保健指導の改善を目指す自治体では、過去に蓄積した医療に関するデータをいかに活用するかが課題となっている。こうしたなか、医療分野向けAIソリューションの開発を手がけるソホビービーは、「AIで健康リスクを評価すれば、高精度でデータを活用し、保健指導の改善にもつなげられる」と指摘する。AIを活用するメリットや、活用のポイントなどを、同社の葛氏と沈氏に、自治体におけるデータ活用の動向を含めて聞いた。

ソホビービー株式会社
COO
葛 煒かつ い
ソホビービー株式会社
Technology Team
沈 天毅ちん てんき

自治体のデータヘルス計画は、分析の段階でつまずきがち

―自治体の健康・医療事業におけるデータ活用の動向を聞かせてください。

 特定健康診査の情報や診療報酬明細書(レセプト)などの各種データを分析することで、保健事業を効果的かつ効率的な実施につなげる「データヘルス計画」を、多くの自治体が策定しています。

 データヘルス計画は、保健指導の改善とその効果検証までも含む大規模な計画です。しかし実際には、データ分析の段階で医療の専門家による高度なノウハウを要するため、データの効率的な活用ができず、計画全体の推進が滞ってしまうという課題があります。

―そうした課題によってなにが起こりえますか。

 たとえば、健康リスクの高い住民の抽出が難しくなります。中高リスク者への保健指導は、保健師や医師など医療の専門家が行いますが、健診受診者から保健指導の対象者を抽出する業務は、自治体職員が行います。もちろん、抽出にあたっては、健診の各項目に基準値を設けて評価を行うのですが、単純に基準だけで見れば「中リスク」である場合も、専門家の視点から「高リスク」と判定されるケースも起こりえます。

 さらに、レセプトデータや過去の病歴といった複数のデータを組み合わせて分析するとなると、専門的な知識は不可欠になるでしょう。そこで、いかに専門家と同じレベルでデータを分析できるかが課題解決のカギになります。

―どのような解決策が考えられるでしょう。

 AIの活用で、精度の高いリスク評価を自動化することができます。ただしこの場合、専門家が健診結果を使って実際にリスク評価を行ったデータが十分に蓄積されていることが前提です。その評価結果を、ディープラーニング(※)でAIに教えこめば、専門家と同じレベルでリスク評価を行えるAIモデルをつくれるのです。その際は、地域特性を熟知した専門家によるデータから、AIモデルをつくることを我々は強く推奨します。

※ディープラーニング:コンピュータによる機械学習で、コンピュータみずからがデータに含まれる潜在的な特徴をとらえ、より正確で効率的な判断を実現させる技術や手法。深層学習

専門家の頭脳をもった、AIを構築せよ

―それはなぜですか。

 特定地域における住民の健康・医療データを分析するには、過去における公害発生の有無や、住民の食事や運動など生活習慣の特徴、多い疾患の傾向など、その地域ならではの特性を踏まえていなければ、正確な評価を行えないからです。ディープラーニングという技術が知られるようになり、世の中にはAIソリューションを提供する企業が数多く出ています。しかし、既成の標準化されたAIでは、地域特性にあった細やかな分析は難しい。つまり、AIを活用するには、地域を熟知した医療の専門家から協力を得つつ、いわば「地域密着型」のAIモデルを構築することが重要になるのです。


人手によるモデル構築は、数ヵ月を要する

―AIモデルを構築するための専門家も必要となりますね。

 ええ。確かに、AIモデルの構築は、データサイエンティストやプログラマなどの専門家が行うのが一般的です。こうしたなかで当社は、AIの専門家がいなくてもAIモデルを自動で構築できるプラットフォーム『HAMPANAI(ハンパナイ) AI』を開発しました。同プラットフォームでは、AIに学習させたいデータをインポートするだけで、ディープラーニングでAIモデルを構築できるのです。

 技術的な話になりますが、ディープラーニングでは、データを取り込んだ後、「チューニング評価指標の選択」「モデルのパラメータ調整」といった工程を経てAIモデルを構築します。『HAMPANAI AI』ではこれらの工程を一つひとつ自動化。結果的に、利用者はAIの専門知識がなくても、データを取り込むだけでAIモデルを構築できるようになるのです。

―人による構築と比べてどのようなメリットがあるのでしょう。

 AIモデルの構築を外部に委託する場合、1件あたり2,000万円以上の高額な費用がかかります。AIモデル構築に付随する職員の負担はほとんどありませんが、「健診結果からリスク評価を行うAIをつくってもらったが、レセプトデータも評価基準に盛りこみたい」と、新たなモデルを構築するとなると、さらに同様の費用を負担しなければなりません。

 現場の担当者みずからAIを構築できる我々のプラットフォームなら、外部委託よりも安く、そして柔軟に、地域特性に即したAIモデルをつくれるのです。

―AIモデルの精度はどれほど担保されているのですか。

 AIの専門家が構築する場合と遜色のない正確性を検証できています。しかも、画像認識を行うAIにいたっては、むしろ人よりも短時間でモデルを構築できます。

 たとえば、胸部X線画像から異常の有無を診断するAIについて、『HAMPANAI AI』では、45分の学習時間で、正解率91%のモデルを構築。一方、AI開発のスピードや精度を競うサイトでもっとも成績が良かった他社の開発チームは、人海戦術により正解率87%のモデルをつくりましたが、約2ヵ月の時間がかかりました。通常、ディープラーニングによるモデルの構築には、データサイエンティストやプログラマが試行錯誤を重ねながらAIのロジックを組むので、長い時間がかかってしまうのです。

 当社のプラットフォームはさらに、少ないデータ量でも一定の正確性を担保したAIモデルを構築できます。


ノウハウのAI化は、 医師不足の解消にもつながる

―詳しく聞かせてください。

 これも画像認識を行うAIの例となりますが、Amazon.comやGoogleがAIモデル構築に使ったデータ量に対し、30~50%少なくても、同程度の正確性を担保できることを検証しています。

 『HAMPANAI AI』の開発に際しては、IT大手がオープンソースで提供する技術から、AIの研究・開発が盛んな中国の技術など、ディープラーニングに関する先端のテクノロジーを数多く取り込んでいるため、速く、かつ少ないデータ量でも、高精度のAIモデル構築を可能にしているのです。

―今後における自治体の支援方針を教えてください。

 自治体のデータヘルス計画を、さらに前進させる支援をしていきます。『HAMPANAI AI』は、AIで分析したデータをほかのシステムと連携することも可能です。今後、費用対効果の高い保健指導を提案したり、指導結果を検証したりするAIが開発されれば、データ連携により、データヘルス計画のPDCAサイクルをより効率的に回せるようになるでしょう。

 データから特徴を捉えて判定を行う作業ならば、当社のプラットフォームを幅広く活用できます。医師のノウハウそのものをAI化すれば、医師不足の解消にもつなげられるでしょう。データはあるが、活用しきれていない、そんな課題をもつ自治体のみなさんは、ぜひ当社にお問い合わせください。


日本大学
理工学部 数学科 特任教授 工学博士
吉開 範章よしかい のりあき

先端の「転移学習」技術で、効率的なディープラーニングを実現

AIの専門家がいなくてもAIモデルを自動で構築できる、ソホビービーの『HAMPANAI AI』。その開発に携わった日本大学の吉開氏に、プラットフォームとしての強みについて聞いた。


 『HAMPANAI AI』は、広島大学が中心となって取り組む「AIを活用した保健指導システム研究推進事業」において研究開発されたものです。

 『HAMPANAI AI』は、「転移学習」という先端技術を用いている点が強みです。転移学習とは、ある領域で学習したことを別の領域に役立たせ、効率よくAIに学習させるというもの。たとえば、「サックスを吹く技術を習得していれば、ほかの管楽器を吹く際にもその技術を応用でき、ゼロから始めるよりも効率よく学べる」といったイメージです。

 今回の事業において私は、ソホビービーと共同で、ディープラーニングによって構築するAIモデルの高精度化について、検証を行いました。その結果、ある統計学上の定理を使うことで、AIモデルが高い精度を担保していることを証明できています。最先端の技術と数学的な根拠に裏づけられたロジック設計により、『HAMPANAI AI』では、速く、かつ少ないデータ量で高精度のAIモデルをつくれるのです。

葛 煒 (かつ い) プロフィール
昭和52年、中国・上海市生まれ。同済大学で物理学を専攻し、平成12年に卒業。平成13年、中国に本社をもつシステム会社の日本支社に入社し、OJTでWebシステムの開発に携わる。平成16年から中国本社に勤務。平成18年、ソホビービー株式会社の設立に携わり、COOに就任。現在は、AIソリューション開発を統括している。
沈 天毅 (ちん てんき) プロフィール
平成6年、中国・上海市生まれ。華中科技大学でコンピュータ科学を専攻し、平成29年に卒業。同年、ソホビービー株式会社に入社し、『Salesforce』やiOSアプリの開発サービスに従事。現在はおもにAIソリューションの開発に携わる。
吉開 範章 (よしかい のりあき) プロフィール
昭和29年、熊本県生まれ。昭和54年、電信電話公社(現:日本電信電話株式会社)に入社し、電気通信研究所に勤務。昭和63年、東京工業大学より工学博士授与。平成16年より、日本大学総合科学研究所教授や日本大学大学院総合科学研究科教授などを歴任。平成21年より現職。
ソホビービー株式会社
設立平成18年4月
資本金900万円
売上高2億円(令和2年3月期見込み)
従業員数18人(令和2年3月現在)
事業内容『Salesforce』の導入・開発支援、AIソリューションの開発・提供など
URLhttps://www.sohobb.jp/
お問い合わせ電話番号 03-5826-4275(平日10:00〜18:00)
お問い合わせメールアドレスstaff@sohobb.jp
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