
東京都足立区の取り組み
エビデンスにもとづく健康寿命の延伸
健康データの一元化で切り拓く、疾病予防の新たな可能性
衛生部 データヘルス推進課長 物江 耕一朗
衛生部 データヘルス推進係長 湯本 要
※下記は自治体通信 Vol.23(2020年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
医療費削減は、自治体にとって大きな課題のひとつだ。この課題に対し、足立区(東京都)は、独自の取り組みを行っている。各部署に点在する健康データを一元化し、経年で分析。そこから、生活習慣と疾病の関係をあぶり出そうというのだ。「データヘルス計画」として、プロジェクトを推進する同区の担当者2人に、その背景や展望を聞いた。


根拠にもとづく分析で、的確な疾病予防策を発掘
―「データヘルス計画」に取り組んだ背景を教えてください。
物江 全国的な課題である医療費増大への対応だけでなく、区の課題でもある健康寿命延伸に向けた取り組みとして始めました。
湯本 データの活用は、EBPMの観点からも重要と考えています。疾病予防といっても、その根拠の有無で、説得力は異なります。そこで当区は、保有する住民の乳児期、学齢期、成人期の各健診データなどを一元化。経年による分析で、健康状態の変化をとらえます。
―具体的に聞かせてください。
物江 たとえば、当区では成長過程における年齢と肥満の関係などを調査しています。こうしたデータを、その人の成長後の健康データと照合したとき、どんな傾向があるのか。幼児期の肥満と就学後の肥満。さらに、成人後にかかりやすい疾病。そうした相関がデータ分析で読み取れれば、早い段階から、具体的な疾病予防に取り組めるようになるでしょう。
―計画実行にあたって、どんな課題がありましたか。
湯本 各部署からデータを集めるので、その統合作業が大変でした。たとえば、学校のデータには識別コードがなく、いわゆる名寄せをするのも、大変な手間。ですから、計画の遂行には、各種データをつなぐ、識別コードの生成は不可欠でした。そこでたどり着いたのが、『学校保健統計システム』です。管轄が異なるデータでもコードの自動作成により、異なるデータの紐づけ作業はほぼ不要になりました。
物江 これまでの例でいうと、保育施設の歯科健診データにはコードがなく、100人のデータを取り込むと10人くらいは各種情報を突合する際に不一致が起きていました。学校のデータは年間約5万件ですから、不一致を手作業で修正することは考えられませんでした。システムを導入したおかげで、大量のデータを円滑にミスなく一元化することができています。

目指すのは、住むだけで健康になれるまち
―最後に、今後の展望を聞かせてください。
湯本 データ分析の専門知識をもつ人員にもくわわってもらいながら、集めたデータを分析することで、これまで見いだせなかったような疾病の予防策につながる相関を発掘できれば、と考えています。
物江 ゆくゆくは、「住むだけで健康になれるまち」として、定住の推進につなげられるよう、この計画を発展させたいですね。

無料プラン:-
-円/月~
「自治体通信オンライン」の最新記事や、イベント情報などをいち早くお届けします。

この記事が気に入ったら
いいねをお願いします!
関連記事記事をすべて見る
「東京都」カテゴリーの記事



「健康福祉」カテゴリーの記事

※このサイトは取材先の企業から提供されているコンテンツを忠実に掲載しております。ユーザーは提供情報の真実性、合法性、安全性、適切性、有用性について弊社(イシン株式会社)は何ら保証しないことをご了承ください。自己の責任において就職、転職、投資、業務提携、受発注などを行ってください。くれぐれも慎重にご判断ください。
自治体の取り組みを探す
- 課題から探す
- 地域から探す

自治体通信は経営感覚をもって課題解決に取り組む自治体とそれをサポートする民間企業を紹介する情報誌です。
自治体関係者の方に無料配布しております。
自治体通信への取材希望の方
自治体通信編集部では、「自治体の"経営力"を上げる」というテーマのもと紙面に登場いただける自治体関係者・自治体支援企業の方を募集しております。
取材のご依頼はこちら- 地域別ケーススタディ
-
- 課題別ケーススタディ