
鹿児島県西之表市の取り組み
ICTを活用した鳥獣被害対策
鳥獣被害対策で成果を上げるカギは、「業務負担の軽減」と「情報の利活用」
※下記は自治体通信 Vol.23(2020年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
近年、深刻化・広域化する野生鳥獣被害を受け、ICTを活用した被害対策が全国各地で進められている。そうしたなか、対策が強化されるに伴い、自治体の担当職員の業務負荷増大が指摘されるケースが増えている。これに対し、西之表市(鹿児島県)では、新たなシステムの導入で業務を効率化し、鳥獣被害対策の成果を上げている。担当者に導入の経緯や効果などを聞いた。

捕獲実績の向上に伴う、職員の業務負担増大が課題に
―西之表市における鳥獣被害の状況を聞かせてください。
サトウキビやイモ類を中心とした農業が基幹産業の当市では、年間数千万円におよぶ鳥獣被害は深刻な問題でした。特に深刻だったのがシカによる被害であり、金額ベースで全体の8割前後を占めていました。そこで当市では、捕獲や防護に力を入れ、一定の成果を上げてきました。一方で、捕獲申請を処理する市職員の業務負担が別の課題として浮上してきました。
―詳しく教えてください。
狩猟者が捕獲後、1頭ごとに写真を添付した書類を役所に持参します。それを担当者は確認、登録し、写真を台帳に貼り付け、保存。また、捕獲位置と捕獲件数は地図上に手書きで記録していました。多い時には月400頭にのぼる捕獲申請を処理しなければならず、この業務負担は無視できません。
さらに、県や国に申請を提出する場合、データを取り出し、指定の帳票につくり直さなければなりません。こうした作業に追われるなかで、被害状況や捕獲実績を迅速に共有できず、情報の利活用も十分ではありませんでした。そこで業務のシステム化を検討。システム会社の協力を得て、「鳥獣害対策クラウド」というシステムを平成28年度から試験導入しました。
―どのようなシステムですか。
複雑な入力操作をなくし、プルダウン入力で簡単、迅速に登録を行える仕組みです。被害場所や捕獲場所を地図情報に表示する機能があり、集計が進むと色分け表示されるなど、被害や捕獲の状況が可視化され、正確かつ迅速に把握することができるようになりました。さらに、登録データは正式な申請書類をはじめ、さまざまな帳票に合わせて出力することができるのも特徴で、担当職員の業務負担が大きく軽減されました。


近隣自治体と連携し、被害の広域化に対応
―鳥獣被害対策にも、なにか効果はありましたか。
被害・捕獲情報が可視化された結果、被害傾向の分析や捕獲対策への活用といった情報の利活用が可能になりました。その効果もあり、平成29年度の被害額は、前年度比約30%、平成30年度はさらに約25%削減することができました。
このシステムには、デジタルカメラやスマートフォンなどのGPS機能と連動し、撮影地を自動で登録する機能もあります。すでに一部の狩猟者には実験的に運用してもらっていますが、これが本格運用できれば、さらに正確な情報をリアルタイムで把握できるようになると期待しています。
また近年は、被害の広域化が進んでいますので、近隣自治体と連携し、「鳥獣害対策クラウド」の共同運用で島全体で鳥獣被害を減らす取り組みも検討しています。
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