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新イベントの企画・開催

一過性の賑わいづくりで終わらせない、eスポーツを地域に根づかせる方法

株式会社RIZeST ビジネスデベロップメント部 プロデューサー 山口 雄大
[提供] 株式会社RIZeST

※下記は自治体通信 Vol.22(2020年2月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。


コンピュータゲームの対戦をスポーツと捉える「eスポーツ」が、地域に賑わいを生む取り組みとして、自治体でも注目を集めている。こうしたなか、eスポーツの企画・運営を手がけるRIZeSTの山口氏は、「必要なノウハウの蓄積がなければ、一過性の施策に終わってしまう」と指摘する。eスポーツに求められるノウハウや、地方創生につなげるためのポイントを同氏に聞いた。

株式会社RIZeST
ビジネスデベロップメント部 プロデューサー
山口 雄大やまぐち ゆうだい

地域に対する若者の関心を、ゲームでひきつける

―日本でeスポーツに注目が集まっている背景はなんですか。

 ひとつに、「日本eスポーツ連合」が平成30年に発足し、プロライセンスの発行を開始したことがあげられるでしょう。このほか、茨城県が国民体育大会で都道府県対抗のeスポーツ選手権を開いたり、石川県金沢市がeスポーツの関連予算を盛り込むなど、自治体の動向にも注目が集まりました。スポンサー費や広告費などを含むeスポーツ市場の規模は平成30年に約48億円と、一気に前年比13倍に拡大したとの統計もあります。

―具体的にどれくらいeスポーツが広まっているのでしょう。

 もともと、eスポーツイベントは集客の見込める東京圏や大都市での開催がほとんどでした。しかし、eスポーツという言葉が一般化するのにともない、少子高齢化に悩む地方の自治体も、若者を誘致する取り組みとして注目しているようです。実際、eスポーツのプレイヤーや観客は30代前半以下の若者が全体の7~8割を占めると言われます。当社の受託案件だけでも、東京以外の地方で開かれたeスポーツイベントは、平成29年度から平成30年度の1年で460%増と急速に増加しました。

地方創生へのポイントは、地域の特色×eスポーツ

―自治体がeスポーツに期待できることはなんですか。

 多くの若者をイベントの開催地に集め、賑わいを創出できることです。eスポーツは、従来型のスポーツと同様、会場現地に多くの観客を集められるほか、競技のオンライン中継を通じて、若者を中心とした多くの人に視聴されます。ゲームをきっかけに、まちや地域企業の魅力を若年層にアピールする機会をつくり、周辺市場・産業の振興といった地方創生にもつなげる効果が期待されているのです。

―eスポーツを地方創生につなげるためのポイントについて教えてください。

 地域独自の特色を、eスポーツに盛り込むことです。たとえば、富山県砺波市では、酒蔵でイベントを開催。日本酒を振る舞ったり販売したりすることで、来場者に地酒の魅力を伝える場としても盛り上がりました。大分県別府市では、「温泉」を前面に打ち出したイベントで、若者に対する別府温泉のアピールが行われました。

 このように、eスポーツに取り組みたい自治体は、イベントをいかに地域活性化につなげていくか、明確なビジョンを描くことが先決です。そのうえで、eスポーツをまち独自の取り組みとして根づかせるよう、段階を踏みながら推進していくことが大切なのです。

―詳しく聞かせてください。

  「イベントの実施・誘致」「人材の育成」「施設の提供」という3つのステップを踏んでいくのがいいでしょう。

  eスポーツと言っても、選手が数日かけて予選を戦い、何千人もの観客が来場する大型の集客イベントもあれば、数十人規模でゲーマーが自由に対戦を楽しめるような小規模イベントもあります。ターゲット層や規模に合わせ、会場が盛り上がるゲームタイトル選びや、機材の準備など、多くの要素を考慮する必要があります。ただ、ノウハウをもたない自治体が、単独でイベントを企画・運営するのは難しいでしょう。そのため、最初のステップでは、eスポーツに関するノウハウが豊富な民間企業の支援を受けながら、イベントの実施や誘致を行うのが有効です。


―具体的にどのような事例がありますか。

 たとえば、兵庫県神戸市は当社が運営する大型のeスポーツイベント「RIZeST Gamers Base」を平成30年に誘致しました。

 同イベントは、当社が前年に東京都・高田馬場で開いたのが1回目で、その際は2日間で観客が約700人集まりました。神戸市での開催では、3日間で約1,000人が来場。その5割ほどは関西圏の来場者でしたが、約3割は1回目の東京からの参加者たちが占めました。このように、イベントの誘致は、既存イベントのファンを地域に呼び込めるというメリットも見込めるのです。

―専門的なノウハウがなくてもイベント開催による効果を得られるのですね。

 ええ。しかし、イベントの誘致は、企画から運営まですべてを企業に委託するため、そのぶんコストがかかってしまいます。それに、将来、継続的にeスポーツに取り組んでいくのに必要なノウハウも地域に蓄積されにくい。そのため、eスポーツを一過性の賑わいづくりではなく、新しい産業として地域に根づかせていくには、庁内や地元企業にeスポーツに関するノウハウを蓄積させていくことが重要になるのです。eスポーツを地方創生につなげるための2つ目のステップに「人材の育成」をあげているのは、このためです。

人材の育成で、ノウハウを地域に蓄積

―どのように人材を育成すればいいのでしょう。

 先ほど言ったとおり、イベントの開催には多くのノウハウが求められます。そこで、短期間でイベントの企画・運営に関する知識を学べる民間企業のサービスを活用するのが有効です。

 たとえば当社では、eスポーツイベントの制作現場に求められる人材を育成する事業『RIZeSTアカデミー』を昨年から展開しています。約1週間で、イベントの企画・運営に必要な知識を身につけてもらう座学や、当社が運営するeスポーツ施設を利用した実践を経験できるコンテンツを提供しています。出張した事例も含め、これまでに100人以上を教育しています。

コミュニティづくりで、eスポーツを根づかせる

―第3のステップである「施設の提供」について教えてください。

 単発的なイベントの開催だけでは、イベントが頻繁に開かれる大都市に人が流れてしまうでしょう。そのため、特別なイベントがないときでも人を恒常的に呼び込める施策が必要です。

 そこで、eスポーツを長期的な地域活性化策として活用するには、地域のゲーマーへの施設提供を通じたコミュニティづくりが欠かせません。日本のeスポーツは、同じゲームを楽しむ人たちの小さなコミュニティが少しずつ成長し、発展してきた経緯があります。eスポーツを地域に根づかせるには、こうしたゲーム好きの人たちが気軽に集える場をつくることが大切なのです。


―今後どのように自治体を支援していきますか。

 イベントの企画・運営から人材の育成、施設運営に関するアドバイスまで、eスポーツにかかわる業務を幅広く支援していきたいと考えています。当社の事業はもともと、平成23年に千葉県市川市にある雑居ビルの一室に国内初のeスポーツ専用施設を開いたことから始まりました。10年近くeスポーツに特化した事業を手がけて培ってきたノウハウを自治体に還元しながら、日本全体をeスポーツで盛り上げていきたいですね。


一般財団法人神戸観光局・神戸コンベンションビューロー
課長補佐
勝利 哲也しょうり てつや

 神戸市では、急激な人口減少を克服し、賑わいのあるまちであり続けるために、次代を担う若者に選ばれるまちづくりを、5ヵ年の実行計画「神戸2020ビジョン」に掲げています。こうしたなかで我々ビューローは、若者を呼び込むための施策としてeスポーツに着目。「神戸といえば、eスポーツ」という新しいまちのイメージをつくろうと考えたのです。そうした折に、RIZeSTから提案を受け、同社のイベント「RIZeST Gamers Base」を誘致しました。

 同イベント内では、日本最大級のアマチュアeスポーツ大会「Logicool G CUP」を実施。エキシビションマッチには、俳優のケイン・コスギさんがゲストとして登場し、市民の来場者と対戦するなど、大きな盛り上がりを見せました。会場ではこのほか、来場者が持参したPCやスマホで自由に参加できるLANパーティー(※)ゾーンも設けられました。

 イベントには当初目標を200人ほど上回る約1,000人が来場。女性や家族連れも多かったのが印象的で、eスポーツの盛り上がりを実感しました。さらに、オンライン中継で1万人ほどの視聴者を集めたほか、イベントも新聞やラジオなどで取りあげられ、「eスポーツのまち」として神戸をPRする大きなきっかけになったと感じています。将来は、海外からも参加者が訪れるような国際大会を誘致していきたいと考えています。

※LANパーティー:人々がノートPCやスマートフォンを持ち寄り、互いにローカル・エリア・ネットワーク(LAN)で接続することでコンピュータゲームを楽しむ集まりのこと


山口 雄大 (やまぐち ゆうだい) プロフィール
昭和60年、東京都生まれ。株式会社ロジクールなどを経て、平成28年、株式会社RIZeSTに入社。企業のeスポーツを活用した取り組み全般、eスポーツイベントの人材育成を行う『RIZeSTアカデミー』、施設プロデュースなどに携わる。
株式会社RIZeST
設立平成28年10月
資本金1,000万円
従業員数14人(令和元年12月31日現在)
事業内容eスポーツに関する大会・イベントの企画制作、eスポーツ施設「e-sports SQUARE AKIHABARA」の運営など
URLhttps://www.rizestinc.com/
お問い合わせ電話番号 03-6661-0391(平日10:00〜19:00)
お問い合わせメールアドレスinfo@rizestinc.com
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