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東京都豊島区

視覚障害者支援①

AI搭載機器が実現する、視覚障害者の「読書バリアフリー」

豊島区立中央図書館 館長 大須賀 裕子
豊島区長 高野 之夫
豊島区立中央図書館 職員 田中主任
[提供] OrCam Technologies Ltd.

※下記は自治体通信 Vol.21(2019年12月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。


今年6月、国会において「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律」、いわゆる「読書バリアフリー法」が可決、成立した。今後、国や自治体は、視覚障害者等の読書環境を整備する施策を策定・実施する責務をもつことになる。この動きに先駆け、早くから視覚障害者支援に取り組んできたのが、豊島区(東京都)である。同区での取り組みなどについて、担当者に聞いた。

豊島区データ
人口:28万9,817人(令和元年10月1日現在) 世帯数:18万326世帯(令和元年10月1日現在) 予算規模:2,078億5,100万円(令和元年度当初) 面積:13.01km² 概要:昭和7年10月、東京市郡合併により近郊82ヵ町村が東京市に編入され、新たに20区が設けられた際に誕生。それまで北豊島郡下にあった巣鴨町・西巣鴨町・長崎町・高田町の4つの町が統合されたもので、以降、今日までその区域に大きな変化はない。区名については、4町協議の結果、北豊島郡がなくなることから、この郡の中心にあたるこの区に、その由緒ある名前を残すことが決められ、「豊島区」が誕生した。
豊島区立中央図書館
館長
大須賀 裕子おおすが ゆうこ

新しい技術や機器の、積極的な活用も重要に

―豊島区ではこれまで、どのような視覚障害者支援を実施してきたのでしょう。

 もっとも代表的な施策が、点字図書館「ひかり文庫」の整備です。来年、設立50年を迎える歴史があり、「視覚障害者情報提供施設」として国の認可を受けています。ここでは、対面朗読の支援のほか、ボランティアによる点訳や音訳等の資料制作、さらには資料制作のための人材育成も担っています。そのため、利用者は区民だけではなく、全国の視覚障害者の方々にも資料を提供しています。

―今年6月から、読書バリアフリー法が施行されています。

 これにより、視覚障害者の読書環境がさらに整備されることを期待していますし、その責務も感じています。全国の私立・公立の図書館における蔵書数は4億2,000万部といわれているのに対して、点字など視覚障害者に対応した資料は現状、100万部程度。点字等資料は制作に大変な手間と時間がかかることが背景にあります。同法の施行によって、このギャップを少しでも埋める環境が整えば望ましいです。

 しかし、現実にはまだまだ時間を要するでしょう。そこで、視覚障害者が蔵書や文書を読むための支援策として、また、点字の読めない方への支援策として、新しい技術や機器を積極的に活用することも重要だと考えています。そこで当館では、AIを搭載した視覚支援デバイス『オーカムマイリーダー』に注目し、この9月から試験導入することを決めました。

「すぐに読める」「ひとりで読める」

―どのようなデバイスですか。

 眼鏡に取りつけ、指で示すだけで、カメラが文字を認識し、合成音声で読み上げてくれるデバイスです。これを活用できれば、点訳等されていない新刊図書や毎週発刊される雑誌なども手にできます。いまの情報化社会のスピード感に少しでも対応できるのではないでしょうか。また、図書以外にも個人宛の文書なども従来とは違い、人手を借りずにある程度読むことができます。このデバイスは、「すぐに読める」ことと「ひとりで読める」ことが大きな価値だと感じます。

―視覚障害者が手にできる資料の幅が一気に広がりますね。

 そう期待しています。さらに、図書館利用者のみならず、点字図書館で働く視覚障害者の職員にも利用してもらいたいですね。一般の文書をひとりで読むことができるので、事務効率もあがりますし、視覚障害児や発達障害児の学習支援にも有効でしょう。活用の幅はとても広いです。


豊島区長
高野 之夫たかの ゆきお

視覚障害者の安全対策は、豊島区の重要施策

 豊島区は平成24年11月、世界保健機関(WHO)が推奨する安全・安心まちづくりの国際認証「セーフコミュニティ」を取得した、日本で5番目の自治体となりました。この国際認証を受けるにあたり、区が施策テーマとして進めてきたのが「障害者の安全」です。なかでも、視覚障害者の安全は、区の調査からも特に重要との認識をもっており、「まちのバリアフリー」「情報のバリアフリー」「こころのバリアフリー」という3つのテーマで施策を「オールとしま」で展開してきました。

 このうち、「情報のバリアフリー」については、図書館を文化・情報・学習の拠点と位置づけ、約50年の歴史をもつ点字図書館の充実に努めてきました。しかし、私はいまの視覚障害者の文化・情報へのアクセス環境に満足していません。そのような折、今回、豊島区立中央図書館で試験導入したAI視覚支援デバイスには大きな期待をしています。

 このデバイスによって、視覚障害者の方々は、支援者の手を借りることなく、自分の好きな時間に、好きな場所で、好きな図書や文書を読むことができ、機種によっては、人物や色も判別することができるとも聞いております。今後、まちで利用することで、視覚障害者の安全対策にも貢献できるでしょう。

 平成26年5月、日本創生会議から「消滅可能性都市」と指摘を受けた豊島区は「持続発展都市」としての取り組みを着実に進めています。視覚障害者支援は重要施策のひとつと位置づけており、その一策としてAI視覚支援デバイスの活用も進めてまいります。


豊島区立中央図書館
職員
田中主任

機器の軽さと読み取り速度の速さが、強く印象に

 使用してみた際の最初の印象は、その「軽さ」でした。パソコンやスキャナーといった周辺機器が一切必要なく、装着での違和感はほとんどありませんでした。実際に書籍で試してみましたが、読み取り精度は高く、読み取る時間も従来の機器に比べて圧倒的に早かったですね。私は図書館でどの本を点字・録音図書等に制作するかを決める「選書」の役割も務めているので、書籍を読む必要があります。このデバイスを使って、他の職員に補助を頼むことなく、ひとりで資料を読めるようになれば、業務の効率はあがると期待しています。

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