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埋もれていた「気づき」の共有が、量と質の問題に好循環を生む

支援企業の視点

ICTによる保育現場の改善②

埋もれていた「気づき」の共有が、量と質の問題に好循環を生む

気づきデータ解析研究所 客員研究員/保育士 髙山 聖
[提供] 一般社団法人気づきデータ解析研究所

※下記は自治体通信 Vol.21(2019年12月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。


このページでは、美濃加茂市の取り組みを支援している気づきデータ解析研究所を取材。客員研究員の髙山氏に、「保育の質」についての考えなどを聞いた。

一般社団法人気づきデータ解析研究所
客員研究員/保育士
髙山 聖たかやま さとし

保育の「質」向上によって、保育の「量」問題にアプローチ

―保育業界の課題をどのようにとらえていますか。

 待機児童・保育士不足という「量」の問題は依然、深刻です。幼児教育・保育の無償化により、さらに悪化もするでしょう。「量」の問題で私たちが特に深刻だと考えているのは、保育士は本来子どもが大好きなのに、あるいは大好きであるがゆえに、「忙しすぎて一人ひとりの園児にていねいに向き合えない」「自分の保育に自信がもてない」「まわりも忙しいので悩みや不安を共有できない」といった理由で離職してしまうことです。

 この離職が、「量」問題をさらに悪化させる悪循環に。ただ私たちは、この課題認識の裏側に解決のアプローチがあるとも考えています。

―どのようなことでしょう。

 保育士のやりがいや保育の質向上のために、「保育の振り返りや仲間同士での語り合い」の重要性を多くの有識者が指摘しています。この促進のために、ICTを活用するのです。たとえば、当団体が提供している『MIMOTE』もそのひとつです。

―詳細を教えてください。

 慶應義塾大学の神成淳司教授による、介護施設における研究・実証からスタートしたサービスです(『MIMOTE』=「見守る手」の意)。介護も保育と同様、利用者一人ひとりの個性や状況に合わせて対応していく必要があります。個別具体的な判断・行為に先立つものとして、「気づき=利用者の状態把握」があり、その「気づき」こそが、職員のスキルや介護の質を左右する重要な要因であるとして着目したのです。

 保育現場においても、同じく保育士の園児に対する「気づき」をタブレット端末に入力。「気づき」の内容や保育士間の違いを可視化し、話し合うことで、自分の保育を振り返るとともに、園児一人ひとりを深く理解し、次のアクションをチームで共有する。こうした一連のサイクルは『MIMOTE』の取り組みにおいて不可欠なものです(下図参照)。

 なお、「振り返り・語り合い」を実践するには、当然、絶対的に多忙な現場に時間を生み出さなければなりません。そのためには、現状の業務をそのままICT化するのではなく、書き物や行事、人員配置の見直しなど、本当の意味での「働き方改革」やそのための行政のリーダーシップが必要になると思われます。


データを活用しさまざまな子育て施策を支援したい

―保育現場における今後の支援方針を聞かせてください。

 「アプリを提供して終わり」ではなく、導入後の支援、たとえば、保育課程や新指針にある「10の姿」の理解を深めるための、気づきデータを活用した園内研修ツールなどを提供しています。また、これまで蓄積した約2万件(※)の気づきデータを分析することで、保育士の専門性の可視化や、早期熟練化を支援するツールなどを整備したいですね。「気づき」のような、これまでは見えなかったデータが現場を変える原動力になると考えています。

 保育園だけでなく、自治体全体として保育の質向上に取り組むことは今後ますます重要になってきます。私たちはそうした保育園および自治体のパートナーとなれるよう、これからも研究と実践を重ねていきます。

※約2万件:『MIMOTE』を導入している美濃加茂市、および鳥取県米子市を含む


学校法人岐阜済美学院
中部学院大学短期大学部 幼児教育学科 教授
Dalrymple 規子だーりんぷる のりこ

短いキーワードでも、保育の省察には非常に有効

―美濃加茂市の保育施設において、保育士同士の話し合いに参加しているそうですね。

 はい。約1年にわたって参加してきましたが、これを定期的にやっていくことに重要性を感じていますね。

 経験や考え方の異なる保育士の方同士が「気づき」を話し合うことで、「こんな園児がいて困った」という話でも、「なぜその園児がそういう行動をとったのか」という話にシフト。そこから「園児もお母さんも大変なので、私たちになにができるか」という話にまで発展するのです。こうした手法を続けることで保育士の見方がどんどん深まり、ものごとをポジティブにとらえたり、いままでと違う考え方ができるようになるのではないでしょうか。

―これらの取り組みに期待していることを教えてください。

 これがひとつのモデルとなって、保育士が園児の成長を楽しめる保育ができるようになればと考えています。特に新任の先生は、「それは大変だったね」と共感してもらえるだけでも救われることがある。話し合いの場は、若手に「しっかり見てもらえている」と思ってもらう意味合いももつのです。

 また、私はもともとエピソード記録を専門にしており、当初は「コメントを一文、二文書くくらいでどうなのか」と思っていました。しかし、たとえ記録が少しずつでも、 年間を通すとひとりの園児に対して凄い量の情報が得られることになります。それは、その子の成長を見ていくうえでとても大事なデータになるし、学術的にも活用できると期待しています。

髙山 聖 (たかやま さとし) プロフィール
昭和54年、東京都生まれ。外資系ITコンサルティングファーム、東京大学公共政策大学院を経て、平成20年に大手監査法人に入所。自治体における行政改革や、IT調達支援などの業務に従事する。平成28年から、現職にて保育事業の立ち上げから関与。日本保育学会会員。2児の父。
Dalrymple 規子 (だーりんぷる のりこ) プロフィール
お茶の水女子大学家政学部児童学科を卒業後、幼稚園教諭を経て、イギリスのタビストック・クリニックで精神分析学的赤ちゃん観察コースに入学。修士課程を修了し、現職へ。日本乳幼児精神保健学会副会長も務める。
一般社団法人気づきデータ解析研究所
設立平成28年4月
目的ヒューマンサービスにかかる気づきデータを蓄積し、解析することによって同サービスの品質および生産性を向上すること
URLhttp://www.kizkey.jp/
お問い合わせメールアドレスinfo@kizkey.jp
この記事で紹介している
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