全国の自治体トップ・職員・議員に贈る 自治体の"経営力"を上げる情報サイト

真の利用者ニーズをつかまえ地方バスの隠れた需要を掘り起こす

三重県東員町 /北海道夕張市 の取り組み

真の利用者ニーズをつかまえ地方バスの隠れた需要を掘り起こす

真の利用者ニーズをつかまえ地方バスの隠れた需要を掘り起こす

総務部 政策課 課長補佐 兼 政策係長 小河 信彦
総務部 政策課 主事 早川 卓磨
 
[提供] 株式会社ユニ・トランド

財政事情が厳しさを増し、人口減少が進むなか、地域の公共交通網をいかに維持・存続させていくか。いまや多くの自治体に共通した社会課題といえよう。そうしたなか、東員町(三重県)では、県と一体となって新たなシステムを導入し、ICTの力でコミュニティバスの利便性向上を図り、利用者増加に効果を上げている。そこで、同町担当者の小河氏と早川氏に取り組みの詳細や効果などを聞いた。

※下記は自治体通信 Vol.18(2019年6月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

三重県東員町データ

人口: 2万5,802人(平成31年4月末現在)世帯数: 9,726世帯(平成31年4月末現在)予算規模: 146億7,922万8,000円(令和元年度当初)面積: 22.68km²概要: 三重県の北部に位置し、町の中央を員弁川が東流する。北部にゆくにつれ標高100m前後のゆるやかな丘陵を形成し、東は桑名市、西はいなべ市、南は四日市市に隣接する。明治21年の町村制実施以来、純農村として平和な歩みを続け、昭和29年11月に町村合併促進法が公布されると、員弁郡のトップをきって神田村、稲部村、大長村の3ヵ所が合併して東員村となる。翌30年2月には久米村中上地区を編入し、昭和42年4月に町制を施行し現在にいたる。

―公共交通の利便性向上に取り組んだ背景を教えてください。

早川:当町では、町営コミュニティバスの利用者が減少傾向にあったため、平成26年にルート・ダイヤ改正を実施しました。利用目的の異なる多くの利用者に利便性を感じてもらうため、通勤・通学利用者が多い朝夕の便は駅への接続を強化する一方、高齢者や買い物客が多い昼便は、病院やスーパーが集積する市街地への接続を重視するルートに変更したのです。

小河:しかし、その後実施した利用者へのヒアリングによって、意外な実態がわかってきました。

―どういうことでしょう。

小河:変更の結果、ルート・ダイヤが複雑になったため、逆に一部の住民が利用から遠ざかっていたのです。色も形も変わらない同じバスが、朝と昼で行き先が違うわけで、「目的地に行くのに、どのバスに乗ればいいのかわからない」と不安を感じていたようなのです。

早川:なぜ乗っていただけないのか。その理由は、ルートやダイヤの不便さに対する“不満"よりも、「バスがどこに行くのかわからない」という“不安"のほうが大きかったわけです。そうした経緯から、必要な情報をわかりやすく伝えることが重要と判断。三重県が進める「公共交通ネットワーク見える化事業」と連携し、インターネットを活用したコミュニティバスの「見える化」に着手したのです。

バス利用者数の増加に寄与

―具体的に教えてください。

早川:利用者の不安を解消すべく、昨年4月から3つのシステムを新たに導入しました。ひとつは、バス路線検索アプリ『MOKUIKU(もくいく)』。利用者一人ひとりが、目的地に行くにはどのバスに乗ればいいのか、スマホで簡単に知ることができるようになりました。もうひとつは、バスロケーションシステム『PINA(ピナ)』。『もくいく』と連動したアプリで、乗りたいバスの現在地や遅延状況を随時確認できるようになりました。

小河:さらに、利用状況を正確に把握するため、バス本体には乗降センサーを設置しています。

―導入効果はいかがですか。

小河:「便利になった」と利用者からは好評で、昨年は平成26年度以降で初めてバス利用者数が増加に転じましたが、それにも寄与したとみられます。一部の高齢者からは「操作が難しい」との声もありましたが、開発元のユニ・トランドの協力を得て、高齢者向けにピナの操作を大幅に簡易化した『楽ピナ』を導入。幅広い利用者に利便性を感じてもらっています。

早川:また、乗降客センサーで収集した正確な乗降客数データは、現在進行中の車両買い換え議論のほか、今後のバス運営効率化議論にも有効に活用しています。

小河:今回の取り組みで、ICTの可能性を強く感じています。東員町でも予想される住民の急速な高齢化に備え、「使えるバス」を整備しておくことが重要です。高齢者がスマホを使いこなす近い将来に備え、今後もICTを活用したさらなる利便性向上に取り組みます。

 三重県では、公共交通の維持・確保を目的に「モビリティ・マネジメント」を推進しています。これは、自家用車と公共交通機関を適切に使い分けるなど、一人ひとりの移動が社会的にも個人的にも望ましい方向へと変化を促す交通施策のことです。

 これを実現するためには、公共交通機関の乗換情報をインターネット上で検索可能にするなど、移動手段としての使いやすさを高めることが重要です。県内の自治体運営コミュニティバスにおいても、そうした対応が重要であると考え、県では平成27年度に「三重県内の公共交通ネットワーク見える化プロジェクト」を開始しました。

 現在、公共交通機関のうち65%が複数の乗換検索サービスへのデータ掲載を達成。東員町や伊賀市で導入されているバスロケーションシステムは、こうした「見える化」をさらに進めるものです。

 公共交通の利便性向上は、生活の質の改善はもちろん、観光促進を通じた地域振興にもつながります。「存在しない」と思われていた移動手段を「見える化」し、多くの方が自由に移動できる地域をつくることで、今後もまちづくりを支援していきます。


三重県東員町 /北海道夕張市 の取り組み

真の利用者ニーズをつかまえ地方バスの隠れた需要を掘り起こす

高校生の郷土意識まで変えた地方公共交通の運行改革

北海道夕張市 企画課 企画係事務員 豊巻 雄平
[提供] 株式会社ユニ・トランド

前ページの東員町(三重県)と同様、地域の公共交通機関の維持・存続を課題とする夕張市(北海道)。平成19年の財政破綻以降、新たなまちづくりを模索するなかで、市内の交通体系の効率化が大きな課題となっていた。そこで同市では、市内の交通体系を見直す過程でスクールバスのオンデマンド化に着手。運行形態の最適化と運行経費の削減で大きな成果を上げている。ここでは、同市の担当者に取り組みの詳細とその効果を聞いた。

※下記は自治体通信 Vol.18(2019年6月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

北海道夕張市データ

人口: 8,033人(平成31年4月30日現在)世帯数: 4,772世帯(平成31年4月30日現在)予算規模: 150億5,121万3,000円(令和元年度当初)面積: 763.07km²概要: 北海道のほぼ中央に位置する。夕張岳から流れる夕張川とその支流が市内のほぼ中央を貫き、流域に沿って帯状に街が形成されている。明治時代の炭鉱開始以来、炭鉱の街として栄え、昭和18年に市制が施行される。一時は大小24の鉱山、人口12万人を数えた。

―スクールバスのオンデマンド化を開始した背景はなんですか。

 人口減少が著しい夕張市では、市がまちづくりマスタープランを策定し、コンパクトシティへの移行を進めています。それにあわせて、市内交通事業者の厳しい経営状況の慢性化や運転手の担い手不足などを受け、より効率的で持続可能な交通体系への再編が急務となっていました。その中の課題のひとつであったのが、スクールバス運行事業の見直しでした。夕張市では、市内の中学・高校の統廃合を図り、それぞれ1校ずつに集約し、遠方から通学する生徒向けにはスクールバスを市で運行するようにしました。しかし、平日部活動後の最終便と、休日部活動などで利用する休日便において、生徒の利用状況を把握しきれず、空でスクールバスを走らせるなどの問題を抱えていました。そこでスクールバス予約システム(通称『ピコピコシステム』)を導入し、生徒自らが乗車予約することでスクールバスの配車の最適化を図ったのです。

―予約システムの運用方法を教えてください。

 中学校と高校の玄関に設置した専用タブレット端末のほか、高校生には各自のスマートフォンから『ピコピコシステム』にアクセスしてもらい、部活便と休日便を利用する生徒に事前予約をお願いしています。「時間になったらバスは来てくれるもの」という認識だった生徒たちでしたが、現在は「ピコる」という言葉が流行るほど予約システムに馴染んでくれています。

「公共交通は自分たちが守る」

―導入の効果はいかがでしたか

 予想以上の効果が得られました。スクールバスは大きさによって4種類の車両を使い分けていますが、予約状況で利用者数を正確に想定できることから、最適な車両を選択したり、利用者がいない場合には運行を休止したりすることができました。その結果、年間の運行便数は40便、運行経費は136万円も削減。そればかりか、当初の想定には無かった思わぬ成果を実感することもできたんです。

―思わぬ成果とはなんでしょう。

 生徒たちの間に「公共交通は自分たちが守っていく」という意識が芽生えたことです。じつは今回の予約システムには、高校生のアイデアも活かされています。夕張高校では、高校生の視点を活かした地域課題の解決を考える取り組みを推進していますが、その一環として予約システムの開発に参画してもらったのです。取り組みを通じて、生徒たちが地域の発展をともに考える意識を少しでももってくれた。これこそ、今回得た最大の成果かもしれませんね。


三重県東員町 / 北海道夕張市 の取り組み

真の利用者ニーズをつかまえ地方バスの隠れた需要を掘り起こす

システムの力で利便性が向上すればバス利用者はまだまだ掘り起こせる

株式会社ユニ・トランド 代表取締役社長 高野 元 / 支援自治体:三重県東員町 / 北海道夕張市
[提供] 株式会社ユニ・トランド

―公共交通機関の維持に苦慮する自治体は多いようですね。

 はい。特にバスは利用者が減少傾向にあり、費用対効果の悪化に悩む自治体もあります。その原因のひとつは、時刻表や路線図といった情報が利用者へ可視化されていないこと。ネット上で乗換案内や目的地検索を利用するのが当たり前の鉄道に比べて利便性が低いのです。

 しかし、この利便性を向上させることができれば、利用者を掘り起こす余地はまだ十分にあります。当社のバスロケーションシステムを導入した東員町やほかの自治体でも利用者増加に成果を上げており、また、スクールバスをオンデマンド化した夕張市でも運行経費の減少に当社システムが貢献しています。

―システムの特徴はなんですか。

 費用対効果の大きさとサービスの将来性です。当社は「公共交通品質」を標榜する高精度の位置情報技術を駆使したシステムを低コストで提供。財政事情が厳しい自治体でも導入が可能です。さらに、システムはクラウドで展開し、更新費用なしで最新の開発成果を享受できます。この結果、バスロケーションシステムは全国4000台以上のバスに導入されています。

―今後の自治体支援方針を聞かせてください。

 当社は、最新のICT・IoT技術やAI技術・データサイエンスを駆使したシステムを提供していきます。そこから得られるデータを解析し、公共交通の利便性向上、ひいては地方活性化やまちづくりに活かす提案にもつなげ、地方創生に少しでも貢献していきたいと考えます。


2020/05/01
公共交通網の維持管理
サービスガイドブック
ユニ・トランドは、「ひとも、街も、会社もうれしい」をいつも考えながら、サービス開発に取り組んでいます。弊社サービスをご利用いただくことで、地域に住むひとやバス会社さま、そして国や自治体まで、「街に貢献し、街を盛り上げ、街を好きになる」を心がけています。もちろん、1つ1 つのサービスはとっても優秀。でもそれらが合わされば、もっと大きな価値になる。ユニ・トランドのサービスは、組み合わせてご利用いただくことでバス利用者の不安や不満をより早く解決し、もっとバスが愛される街づくりを叶えることができるのです。
導入自治体東員町(三重県)、夕張市(北海道)
支援企業 株式会社ユニ・トランド
無料トライアル:-
無料プラン:-
-円/月~

高野 元(たかの はじめ)プロフィール

昭和42年、北海道生まれ。東京のSI企業に就職し、SEとして従事。損害保険会社を経て、ユニリタグループに入る。同グループの災害対策企業、株式会社ビーティス代表取締役社長などを務め、平成28年5月に株式会社ユニ・トランドを設立し、現職。

 

株式会社ユニ・トランド

設立 平成28年5月
資本金 8,000万円(平成31年3月現在)
売上高 1億8,000万円(平成30年3月期)
従業員数 10人(平成31年3月現在)
事業内容 移動体向けIoTソリューション事業など
URL http://www.unitrand.co.jp/
お問い合わせ電話番号 03-5479-5750
(平日9:00~17:30、祝日・年末年始を除く)