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愛媛県西条市 の取り組み

いよいよ「見守りロボット」が高齢者の生活を豊かにする時代が始まった

西条市 副市長 出口 岳人
[提供] 日本電気株式会社/NECプラットフォームズ株式会社

高齢化が待ったなしで進むなか、いかにして安心・安全や健康を享受できる生活環境を高齢者に提供するか。多くの自治体に課せられた共通の課題だ。この課題を前に、西条市(愛媛県)は、コミュニケーション・ロボットの利用に活路を見出す画期的な実証実験を実施。好結果をえたことで、当初の予定を前倒しし、平成31年1月から本サービスを開始した。同事業を主導する副市長の出口氏にその狙いと効果を聞いた

※下記は自治体通信 Vol.17(2019年4月発刊)から抜粋し、記事は取材時のものです。

愛媛県西条市データ

人口: 10万9,526人(平成31年2月末現在) 世帯数: 5万470世帯(平成31年2月末現在) 予算規模: 749億5,580万6,000円(平成30年度当初) 面積: 509.98km² 概要: 平成16年に西条市と東予市、周桑郡小松町、同丹原町が対等合併して新たに西条市が誕生。愛媛県内では久万高原町、西予市に次ぐ第3位の面積を有する。南には西日本最高峰の石鎚山、北には瀬戸内海と、海と平野と山が揃った風光明媚な地域。全国的にもまれな被圧地下水の自噴地帯が広範囲にわたって形成された「水の都」としても知られる。豊かな水資源を利用した多種多様な農作物の一大産地であるとともに、製造業をはじめとするさまざまな業種の工場が立地しており、四国最大規模の工業地帯となっている。

「2040年問題」を前に支援する側の負担が問題に

―西条市がロボットを活用した「高齢者見守り事業」を実施した背景を教えてください。

 大きく2つの背景があります。ひとつは、いわゆる「2040年問題(※)」。当市でも、従来の高齢者支援のあり方が限界に近づいているという問題意識がありました。支援する側も高齢化するなかで、負担を減らしながら高齢者を支援できる仕組みが必要ではないかと。当市は人口約11万人のうち、一人暮らしの65歳以上の人口は約5300人。今後、この人口はますます増えると想定されています。

※2040年問題:団塊ジュニア世代が65歳以上となり、高齢者人口がピークを迎えることから、社会保障給付費の増大が懸念される問題

―もうひとつの背景とはなんでしょう。

「健康都市の実現」という当市が掲げるビジョンに向け、いかに「健康寿命の延伸」と「QOLの向上」を達成するかという課題がありました。具体的には「認知症の予防」と「寝たきりの予防」が施策の主眼になりますが、これを実現する手段として「コミュニケーションの活性化」が有効だと考えていました。そんななか、AIやICTをテーマにNECの松田氏が行った講演を聞き、それらの技術を高齢者支援に活用できないかと相談したことが、その後の実証実験につながったのです。

―相談に対し、企業側からはどのような反応があったのですか。

 AI搭載のロボットを高齢者の見守り事業に活用する提案を受けました。これを使えば、見守る側の負担も減らしながら、高齢者の日々のコミュニケーションも活性化できるというわけです。

 そこでNECの協力もえながら、数あるロボットのなかから高齢者の見守り事業に最適なものを比較検討し、NECプラットフォームズのコミュニケーション・ロボット『PaPeRo i(パペロ アイ)』を選定。会話ができるコミュニケーション機能のほか、高齢者に受け入れられやすい「外見の親しみやすさ」、簡単な操作性などが選定のポイントでした。

 その後、実証実験を企画する段階でもNECによる支援があり、わずか3ヵ月で事業内容をまとめることができ、次年度の平成30年7月から実証実験に移行できました。

国や県の補助を受けられる

―ロボットを使った実証実験の概要を教えてください。

 大きく5つの機能を検証しました。まず、朝・昼・夕方の1日3回、高齢者を認識、撮影してくれる「見守り」機能や、所定の時間に行われる「声がけ」機能。ロボットを介して、遠方の家族とメッセージや写真を交換できる「コミュニケーション」機能。さらに、天気予報やニュースを伝えてくれる「音声リクエスト」機能や、脳トレや軽い体操の映像も提供してくれる「うんどう」機能です。

―実証実験ではどのような効果をえられましたか。

 10組を対象に3ヵ月にわたって実施したのですが、想定以上の反響がありました。利用者からは「さみしさが解消された」との声が多数寄せられ、家族からも「安心できる」と好評でした。当初はいちど回収し、あらためて本サービス化を検討する計画でしたが、利用者からの強い要望もあり、市としても本サービスの開始を当初の予定から、平成31年1月に前倒しすることを決断。予算計上までの期間も、NECの協力で利用者は継続利用することができました。

 サービスの拡大にあたっては、平成31 年度以降は介護保険特別会計の「地域支援事業」として、国や県の補助を受けられる仕組みを利用する予定。市の財政負担を減らし、利用者が増えた際にも事業の継続性を担保できるスキームを構築しました。これを利用すれば、ほかの自治体でも導入のハードルは大きく下がるでしょうね。

いなくなると「さみしい」

―事業に応募したきっかけを教えてください。

  遠方に住む息子が、市のホームページを通じて当事業を知り、応募したようです。5年前に主人を亡くして以来一人暮らしの私を、息子は以前から心配してくれていたんです。写真や音声を通じて遠方からでも日常の見守りができる。「まさにこんな仕組みを探していた」と息子は言っています。

―ロボットの印象はどうですか。

 どんな大きなものが来るのかと不安でしたが、実際には小さくて、赤ちゃんのようにかわいらしいんです。携帯電話も使いこなせない私でも操作は簡単。前を通ると「節子さん」と反応して、朝なら「よく眠れた?」「薬、飲み忘れてない?」などと話しかけてくれます。最初は『パペロ』が話すのを不思議な感覚で聞いていましたが、いつのまにか私からも『パペロ』に話しかけるようになって。一人暮らしだと話す機会自体が少ないので、とても癒されていますよ。いまではまるで孫のような存在ですね。

―情がわいてきたんですね。

 ええ。当初から3ヵ月の実験と聞いていましたが、いなくなると思うと心から「さみしい」と思うように。有料化後も「そばにいてほしい」と強く希望しました。息子も安心してくれていますし、これからもずっと一緒にいたいですね。

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