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高知県高知市 の取り組み

毎年破棄されていく現実と向き合い志ある自治体と健康社会をつくりたい

京都大学 教授 大学院医学研究科 社会健康医学系専攻 川上 浩司
[提供] 株式会社学校健診情報センター

高知市が、学校健診情報のデータベース化に踏み切るきっかけとなったのが、京都大学教授である川上氏の提案だった。このページでは、同氏にインタビューを実施。改めて学校健診情報をデータベース化する意義や、自治体への支援方針などを聞いた。

※下記は自治体通信 Vol.16(2018年12月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

昔の記録が残っていれば後のスムーズな治療に役立つ

―学校健診情報をデータベース化して活用する意義はなんでしょう。

 学校健診情報というものは、本来であればもっと個人や地域に役立てるべき。それが、私たちが提唱しているデータベース化という発想の原点なのです。

 中学校を卒業後、5年経てば紙で保管されている健診情報はまず破棄されます。破棄され続けます。つまり、せっかく学校健診を受けて大人になっても、「そういえば昔健診を受けたな」という思い出は残っても、データは残らないんです。これが非常にもったいない。

 そうした観点から、まずは個人向けの話をしましょう。たとえば、大人になって病院で診察を受けた際、過去のデータを突き合わせることで、治療の意思決定が早まる可能性が高まります。「ちょっと疲れやすい」と病院に行き、「過去にタンパク尿が出た」などの情報がわかっていれば、従来では「ちょっと様子をみましょう」だったのが「すぐ治療しましょう」と迅速な対処につながるのです。

―地域向けではどうでしょう。

 高知市が検討しているように、学校健診情報をまとめて分析すれば、今後の健康施策に活かせます。こうしたことから我々は、学校健診情報をデータベース化した後に、学校を通じて個人に健康レポートを還元。自治体に対しては、ほかに参画いただいている各自治体の情報をまとめたうえで、「あなたのまちは全国にくらべてどういう特徴があるか」などを分析したレポートを還元しているのです。

 我々は、以上の話をデータの一次利用と定義。そして学術的な観点でいうと、ゆくゆくは二次利用していくことを考えているのです。

研究が進んでいけば未解明の難病への対処も

―詳しく教えてください。

 日本における医療の根幹は「国民皆保険制度(※)」ですが、健診は学校保健安全法にもとづく学校健診、母子保健法にもとづく乳幼児健診が行われています。さらには、人間ドックなどの健診記録やカルテ、レセプト、要介護認定調査情報といったさまざまな健康にかんする情報が本来個人には集積される。そうした情報を、すべてデータベース化することにより、紐づけて分析をしようと考えているのです。我々は、こうした一連のデータを『健康ライフコースデータ』と呼んでいます。

 このデータを活用することで、たとえば「どのような赤ちゃんがどのように学童期に移行するのか」「どのような子どもが病気になっていくのか」といった因果関係が判明する可能性があります。事実、「タバコを吸う家庭に生まれた子どもは、吸っていない家庭にくらべて3歳を過ぎるとむし歯が2倍増える」ということがすでに判明ずみ。さらに研究が進めば、未解明の難病理解や治療にも大いに活用できる可能性を秘めています。

 我々は別事業として、全国約200の病院と契約し、個人情報を除外した、約2000万人の電子カルテをデータベース化しています。まずはこれらの情報と、同じく個人情報を除外した学校健診情報および乳幼児健診情報を軸に、分析を進めようと考えているのです。

※ 国民皆保険制度:すべての国民をなんらかの医療保険に加入させる制度。医療保険の加入者が保険料を出しあい、病気やけがの場合に安心して医療が受けられるようにする相互扶助の精神にもとづいている

―今後の自治体への支援方針を教えてください。

 今年度で、計120自治体ほどの協力をえる予定です。現在は、補助金などによって無償で自治体への支援を実施。今後は二次利用として、個人情報を除外した集計データを産業界や学会関連が活用することにより、志がある自治体を社会が応援するカタチで、引き続き自治体へは無償で取り組んでいく予定です。

 1年取り組みが遅れると、そのぶん子どもの貴重なデータが破棄されてしまいます。ですから少しでも早く、全国の自治体に啓発を図っていきたい。志ある自治体と我々の仕組みによって、未来を見すえた健康支援を永続的に行っていきたいですね。

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川上 浩司(かわかみ こうじ)プロフィール

昭和47年、神奈川県生まれ。平成9年、筑波大学医学専門学群を卒業。平成13年、横浜市立大学大学院医学研究科頭頸部外科学を修了。在学中から、米国連邦政府食品医薬品庁(FDA)にて臨床試験審査官、研究官を歴任。東京大学大学院医学系研究科客員助教授を経て、平成18年に33歳で京都大学大学院医学研究科教授(社会健康医学系専攻)に就任。『健康ライフコースデータ』の基盤整備に尽力している。

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