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テクノロジーによる業務効率革命 ~ICTプロフェッショナル鼎談~

業務を飛躍的に効率化させるRPA + OCRは行政サービス 向上の切り札になる

株式会社大塚商会 営業本部 Total Solution Group エグゼクティブリーダー 山口 大樹
株式会社ハンモック 取締役 DCS事業部長 中山 憲二
キューアンドエーワークス株式会社 代表取締役社長 池邉 竜一

自治体で人手不足が深刻になりつつあるなか、質を落とすことなく行政サービスを提供するには、業務効率を一層高めることが求められている。そうしたなかで注目を集めているのが、テクノロジーの力によって業務を自動化するRPA(※)とOCR(※)だ。本企画では、3人の専門家に登場してもらい、RPA・OCRの詳細や、導入によって自治体業務にどのような変革をもたらすのかなどを聞いた。

※RPA:Robotic Process Automationの略。パソコン業務における定型的な作業を自動化するソフトウェアのこと
※ OCR:Optical Character Recognitionの略。光学的文字認識。手書きや印字文字をスキャナなどで読み取り、パソコン処理できるようにデジタルデータへと変換する技術

※下記は自治体通信 Vol.16(2018年12月発刊)から抜粋し、記事は取材時のものです。

「人にしかできない業務」に多くの人材を配置できる

―そもそもRPAとは、どのようなものですか。

池邉:デジタル技術によって、人が行うパソコン業務の一部を代行するソフトウェアのことです。具体的にできるおもな業務は、データの抽出や転記、ファイル作成、システム間のデータ受け渡しといった定型的なもの。これらの業務を進めるマニュアルを設定すれば、RPAが自動で行います。私たちはRPAのことを、作業を便利にする「ツール」ではなく、作業を代行する「人材」だととらえています。そのため、「デジタルレイバー」とも呼んでいるのです。

―どのような効果が期待できるのでしょう。

池邉:人と違って「24時間365日フル稼働」できるので、業務処理のスピードが格段に上がります。また、マニュアル通りに動き人為的ミスの心配がないため、正確性も担保される。そして、ルーティン業務の代行によって空いた時間を、「人にしかできない業務」に回せます。たとえば自治体業務なら、子育てや福祉相談、高齢者宅への巡回訪問といった「フェイス・ツー・フェイス」の業務、地域振興や魅力的なまちづくり施策を考える戦略的な業務など。それらの業務にたずさわる人員を増やせば、結果として住民サービスをより向上できると考えています。

山口:企業や自治体にRPAによる業務改善を提案している当社でも昨年、自社の一部業務でRPAを導入しました。システム保守・管理を手がける当社には、顧客から修繕依頼のメールが多数届きます。これまでは、スタッフがその内容をみて対応するエンジニアを選び、メールで依頼していました。この一連の業務をRPAで自動化したのです。また、ホームページに掲載された他社システムの新機能やバージョンアップ情報の収集業務もRPA化。何十のサイトをくまなくチェックしていた作業を自動化しました。この業務にたずさわっていたスタッフはアフターメンテナンス部門に回り、顧客対応に奔走してくれています。

作業のルールと条件の指示で次のステップへ自動的に進む

―RPAの導入でどれくらいの業務を代行できますか。

池邉:断続的なひとつの工程のみに限らず、一つひとつのシンプルな作業を組み合わせることによって、自動化できる業務の幅が広がります。たとえば、RPAの基本的なパソコン作業は、「次へ」や「閉じる」のボタンをクリックする「項目指定、操作」、氏名やアドレスなどの「入力」、情報を転記する「コピー&ペースト」など。これらについて、一定のルールや条件で次のステップにいくよう事前に指示しておけば、業務を連続的に進められるのです。

 そのため、「作業が終了したら、完了報告のメールを送信する」「新たな情報がホームページに掲載されたら、コピー&ペーストしてまとめる」といった一連の流れを指示することができるのです。

山口:当社では、業務効率化や働き方改革をテーマに、RPAを活用した業務改善にかんするセミナーを、全国で月に5~6回開催しています。「どういう業務が自動化できるか」「効果はどれほどあるのか」と、みなさん興味をもって聞いてくれています。1年ほど前から自治体職員の方が参加されるようになり、今年度からは倍増していますね。

深刻化する自治体の人手不足突破口としての期待が集まる

―自治体の間で、なぜRPAが注目され始めているのでしょうか。

池邉:予算削減の一環で職員が減る傾向にあり、人手不足が深刻化しているからです。そのため、「仕事は増えているのに、人は減っている」と悩む自治体は多い。そこで、人の代わりとなって働いてくれるRPAへの期待が高まっているのです。たとえば、当社が開発したRPAサービス『RoboRoid(ロボロイド)』に対する自治体からの問い合わせも、月間十数件にのぼっています。

山口:国の方針として、自治体のRPA導入を推進していくことが決まったことも、注目が高まっている大きな理由のひとつです。政府主導のデジタル・ガバメント閣僚会議が定めた「デジタル・ガバメント実行計画」では、RPAなどのデータ処理技術を活用する地域数を、平成32 年度末までに300まで拡大する方針を立てています。これは、住民中心の行政サービスを実現するために業務をデジタル化していくにあたって、その中心となるのがRPAだということを示しています。この計画の推進をひとつの大きな目的としている「デジタルファースト法案」が、平成31年1月の通常国会に提出される見込みです。

中山:私はこのRPAと、紙文書の文字を自動認識してデータ処理するOCRを連携させることで、業務自動化の範囲がさらに広がると考えています。 総務省が自治体の業務改革支援を目的に実施している「業務改革モデルプロジェクト」において、今年度に採択された7自治体のうち5自治体が、RPAによる業務改革をメインとする内容でした。そして、そのうち4自治体はOCRを組み合わせた提案だったのです。RPAとOCRを連携させて業務効率化の検討を図る自治体が、今後ますます増えていくと考えています。

AI技術の伸展で文字認識の精度が格段に向上

―RPAとOCRの連携について詳しく教えてください。

中山:RPAで業務を進める前提として、情報が電子データ化されていなければなりません。なぜなら、RPAはパソコンのなかで動くからです。ただ、自治体業務では、紙文書を介したやり取りが多く存在します。そのため、それらを電子データ化するために、人が手作業で入力する業務が発生している。業務のRPA化を検討するなかでこの手作業部分も自動化できれば、「入口」から「出口」まで一気通貫した業務の自動化が実現します。たとえば、申請書の情報を集約して基幹システムに落とし込む業務では、これまで手作業で申請書をデータ化していたところをOCRで自動化。そして、その情報をRPAが集約し、基幹システムに落とし込む。この申請が多ければ多いほど、、自動化による業務効率効果は高まります。

―どのような文書でも自動認識できるのでしょうか。

中山:OCRの認識精度は技術の伸展で格段に向上しました。当社が開発し、バージョンアップを続けている『Any Form OCR』は、独自の技術により従来のOCRでは認識が難しかった非定型の文書フォーマットに対応します。また、画像品質が悪くても搭載した辞書エンジンをフル稼働して認識率を高めます。さらに申請書類に多くみられ、従来は認識が難しかった手書き日本語もAI技術で認識できるよう機能強化を続けています。

山口:紙文書でのやり取りをなくし、すべてを電子データにすれば、RPAによる業務の自動化は進めやすい。そのため、「デジタルファースト法案」でも、行政手続きの電子化を推進する内容が盛り込まれる予定です。ただ、ITリテラシーの格差などの諸事情により、紙文書はなかなかなくせないでしょう。そのため、RPAとOCRの連携が、自治体業務の自動化を一気に進めることになると思います。

業務の見直しでムダをなくしRPA効果を最大限に高める

―RPAを導入するうえでのポイントはなんでしょう。

山口:専門性が高いので、RPAをあつかう専門家への相談がいちばんでしょう。じつは、RPAの導入でもっとも重要なのは、業務フローの見直しなのです。「この作業に人は必要か」「進める手順はこれでいいか」ということをイチから見直し、ムダを排除する。そうすることで、人が介在せずにすむ業務フローを構築でき、RPAの導入検討が進むのです。そして、どうしても人の手が必要な場合は、その作業を最後にもってくる。または業務の中間に集約し、その前後のRPA化を考えるのです。

池邉:私たちは、RPA導入に特化した最適なBPR(※)を判断するツール『RoboRoid-HIT.s』を用いて、RPAの導入効果を最大化させる提案を行っています。これにより、全庁的に業務ごとの状況を可視化でき、改善方法を提案できる。また、現状と改善後の比較も行い、RPA化しやすい業務の選定や導入効果を測ることができる強みがあります。

※BPR:Business Process Re-engineeringの略。業務の流れを分析し、最適なフローに再構築すること

業務改善の抜本的な課題はワンストップで解決が可能

―今後の自治体支援の方針を聞かせてください。

山口:メーカーではない当社は、マルチベンダーとしてその時々の先端技術による最適なソリューションを提供できます。RPAとOCRの組み合わせは、業務の効率化で働き方改革を実現し、人手不足の問題も解決する強力なソリューション。また、今後はAIを活用した会話ツールのチャットボット(※)の導入が、自治体で進むと考えられています。業務を効率化する先端技術を、いつでも自治体に提供できる体制にしていきます。

中山:既存の基幹システムを変更しなくても、RPAとOCRで業務を効率化できることを広く伝えたいですね。基幹システムのプログラムを修正、または新たに入れ替えて業務を改善していくことは、コストと労力の両面で大きな負担となります。人が行っている作業を代行するだけの指示系統を構築すれば、RPAとOCRで業務は効率化できるのです。

池邉:私たち3社の強みを活かした今回のソリューションを、ひとつでも多くの自治体にご紹介したいです。RPA導入に最適な業務フローの構築、自治体の特徴に合わせたRPAとOCRのカスタマイズ、研修会の実施、そしてアフターフォローまでワンストップで提供します。また、RPAを自分たちで開発したいという要望にも応えられる体制もある。RPAの導入を検討しているようであれば、ぜひ私たちに相談してください。

※チャットボット: AIを用いて、リアルタイムな会話をテキストや音声を通じて行うプログラム。対話(chat)とロボット(bot)を組み合わせた言葉 略。業務の流れを分析し、最適なフローに再構築すること

山口 大樹(やまぐち ひろき)プロフィール

昭和44年、東京都生まれ。帝京大学教育学部卒業。中小企業診断士平成4年に株式会社大塚商会に入社し、ITソリューションにたずさわる。平成12年から現職につき、外部の中小企業診断士等と協力し経営支援業務やAI・IoTサービスなどの経営支援サービスを展開している。
経営支援サービス: https://www.otsuka-shokai.co.jp/products/keiei-shien/

中山 憲二(なかやま けんじ)プロフィール

昭和35年、福岡県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。外資系大手ITベンダー、SI企業を経て、平成28年から自治体向けセキュリティソフトウェアでも実績豊富な株式会社ハンモックのドキュメントソリューション事業の責任者として『AnyForm OCR』を展開している。

池邉 竜一(いけべ りゅういち)プロフィール

昭和46年、大分県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。平成11年に株式会社アークパワー(現:キューアンドエーワークス株式会社)を設立し、平成13年に代表取締役就任。エンジニア育成・派遣事業を中心に、RPAソリューションサービス『RoboRoid』『RoboRoid-HIT.s』を展開している。

問い合わせ先

《株式会社大塚商会》
LAプロモーショングループ 公共支援課
☎ 03-3514-7521(平日9:00~17:30)
✉ kanbun-h@otsuka-shokai.co.jp



株式会社大塚商会

設立 昭和36年12月
資本金 103億7,485万1,000円
売上高 6,911億6,600万円(平成29年12月期:連結)
事業内容 システムインテグレーション事業、コンピュータ・複合機・通信機器・ソフトウェアの販売および受託ソフトの開発など
URL https://www.otsuka-shokai.co.jp/


株式会社ハンモック

設立 平成6年4月
資本金 2,000万円
売上高 23億円(平成30年3月期)
従業員数 180人
事業内容 法人向けソフトウェアの開発・販売、自社ソフトウェアによるソリューションサービス
URL https://www.hammock.jp/


キューアンドエーワークス株式会社

設立 平成11年7月
資本金 9,746万円
売上高 54億7,000万円(平成30年3月期)
従業員数 420人
事業内容 人材派遣事業、RPA/BPOソリューションサービス、ITエンジニアサービスなど
URL https://roboroid.jp/

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