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鹿児島県西之表市 の取り組み

❝西之表市発❞の認知症対策をモデルケースとして世に広げたい

西之表市 高齢者支援課 高齢者支援課長 森 真樹
高齢者支援係長 兼 包括支援センター長 山中 寿和
[提供] 株式会社アクアバンク

高齢化社会が急速に進む日本において、健康寿命の延伸は積極的に取り組むべき行政課題のひとつである。そんななか、種子島にある西之表市(鹿児島県)は、高齢者の認知症対策の一環として、産学を巻き込んだ「認知症リスク測定会」を平成29年に実施した。同市の担当者2人に、測定会が実施された背景と取り組み内容などを聞いた。

※下記は自治体通信 Vol.16(2018年12月発刊)から抜粋し、記事は取材時のものです。

鹿児島県西之表市データ

人口: 1万5,476人(平成30年9月末現在) 世帯数: 8,080世帯(平成30年9月末現在) 予算規模: 148億3,379万6,000円(平成30年度当初予算) 面積: 205.66km² 概要: 種子島の北部に位置し、東・西・北は海に面し、南は中種子町と接しており、島の総面積の約45%を占めている。歴史は古く、縄文・弥生(やよい)時代の遺物を出土。『日本書紀』には「多禰嶋(たねのしま)」と記されている。農業、漁業といった第一次産業が盛んで、さとうきびを原料とする黒糖やさつまいもを利用した菓子や焼酎、ザコ、トビウオなどの海産物の干物などが製造されており、『種子鋏(たねばさみ)』は特産品。

―西之表市が「認知症リスク測定会」を実施した背景について教えてください。

森:そもそも本市では、全国のなかでも特に高齢化が進んでいます。日本全体で「2060年には高齢化率が40%程度になる」と予想されるなか、本市ではじつに2025年と予想。まさに、日本の将来を映す縮図だといっていいでしょう。

山中:そのため本市は、「健康寿命の延伸」に向けた取り組みを行ってきました。地域サロンの開催や、歌にあわせてムリのない簡単な運動をする「元気アップ体操」など。都市部よりも地縁が強いという特徴を活かし、市内各地の54コミュニティにおいて住民主体のもと、現在も活動しています。

森:ただ、こと認知症でいいますと、もう少し踏み込んだ取り組みが必要だと感じていました。

―それはなぜですか。

森:本市で要介護に認定された高齢者の約3割が、認知症患者でした。まだ認定されていない方や予備軍まで考えると、その対策が急務だったのです。

山中:ただ、対策といっても状況を把握しないとなにも始まりませんし、専門的な知識も必要。もともと本市では、サトウキビの研究など、大学と連携した取り組みを積極的に行っており、そのつながりから認知症対策に取り組んでいる筑波大学の教授、矢田幸博先生を紹介してもらったのです。

 そして、矢田先生が主体となって取り組みを開始。まずは、認知症の割合も含めて域内における高齢者の状況を確認するため、測定会が実施されたのです。

―結果はどうだったのでしょう。

森:市内の高齢者に声をかけ、約500人が測定会に参加。平成29年から1年かけて調査を行い、結果として約2割の方が認知機能低下の疑いがあり、なかには「すぐに治療が必要」という方もいることが判明したのです。結果を受けて、「そんなにいたのか」というのが率直な感想でしたね。改めて状況を認識するとともに、認知症対策の重要性を実感しました。

介入試験により3つの商材を改善に活用

―その後、どのような対策を行ったのでしょう。

森:測定会によって、認知症の疑いをはじめとしてさまざまな症状を示す方がいました。そこで矢田先生の紹介により、3社の民間企業に参加してもらい、介入試験を行うことにしたのです。その商材が、認知機能改善に影響があるとされる水素吸入器、頻尿・軽失禁に対処する紙おむつ、睡眠効果が期待される紅茶の3つです。

 参加者の症状や希望にあわせて、それぞれの商材を実際に使ってもらい、その効果を検証しようという取り組みです。

山中:現在は実験結果を矢田先生のほうで取りまとめている最中なので、データにもとづく結果が出るのはまだこれから。ただ、利用者からは好意的な意見が出ています。じつは私も水素吸入で特別に参加させてもらっており、「よく眠れるようになった」など、個人的な効果を実感しています。

森:二日酔いをしなくなったという高齢者の方もいましたね(笑)。特に水素吸入は、ポータブルで気軽に吸えるうえに、「認知機能の改善に直接効果があるのでは」と、考えられているので期待しています。

―一連の取り組みにおける今後の方針を教えてください。

山中:引き続き、検証を行っていきます。今回の取り組みは「認知症は誰もがなりえる病気なんですよ」という啓発活動も意図していたので、それも達成できているのでは、と思いますね。

森:もともとは現状の把握、意識の浸透が目的でしたが、今回は具体的な改善策まで踏み込むことができました。今後、この取り組みが発展し、西之表市発の認知症対策のモデルケースとして全国に広まっていけば、と考えています。

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