支援企業の提言

血圧測定の機会を増やして脳・心血管疾患の発症ゼロ社会を実現したい
ウォーキングを取り入れた健康事業が自治体に浸透していくなか、健康医療機器、サービスのリーディングカンパニーでもあるオムロン ヘルスケアは、毎日の家庭での血圧測定を提唱している。ここでは、同社代表取締役社長の荻野氏を取材。なぜいま、血圧測定が必要なのかを聞いた。
※下記は自治体通信 Vol.11(2018年2月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
日ごろの血圧測定で脳・心血管疾患を未然に防ぐ
―自治体が展開する健康事業をどのように見ていますか。
住民が健康で幸せに暮らすというのはとても大事なことですし、それによって街も活気づきます。
糖尿病などの生活習慣病は、自分で予防できますので、自治体が健康にかんする気づきを与えることは非常にいいと思います。「自分の健康状態を知る」ことが、健康管理上、もっとも重要ですから。
―オムロン ヘルスケアでは現在、血圧測定の重要性を訴求していますね。
はい。当社はいま、脳・心血管疾患発症ゼロをめざす「ゼロイベント」を展開しています。
依然、脳・心血管疾患は、高い確率で発症しており、日本における死因の上位に位置しています。脳卒中や心筋梗塞などは、高血圧が起因となり引き起こされる病気。ですから高血圧だということを把握して、早期に治療を開始することが、未然に重篤な病気の発症を防ぐ対策につながります。そのためには日ごろの血圧測定が重要なのです。
住民が血圧測定する場を自治体に用意してほしい
―簡単に高血圧患者を発見する方法はありますか
とにかく血圧を測定する機会をつくることです。じつは当社では、全社員を対象に「オムロン ゼロイベント チャレンジ」という取り組みを実施しています。
これは毎日、血圧測定を行ってもらい、各自で適正な血圧値をめざしてもらうというものです。実施してわかったのは、社内に思った以上に高血圧患者がいたことです。しかも30、40代の働き世代の人が多かった。これと同じことを自治体にも実施してもらいたいですね。ウォーキングのイベントなど参加者が集まる機会があれば、血圧測定も同時に実施する。そして高血圧の人がいれば、病院に行くようにうながしてもらう。そのようにして参加者には血圧を測る習慣をつけていただきたい。
―今後、住民の健康管理に対し、どのような支援を考えていますか。
まずは、商品開発を通じて支援していきたいです。ストレスなく、日常の生活の中で意識することなく計測できたらいいですよね。すでにウェアラブル血圧計といった商品も開発していますが、いまは血圧値や脈拍など測定した生体情報しか知ることができません。今後は、血圧を測定した場所や状況などが情報として一緒に残る血圧計があれば、いままで以上に精密な健康管理ができますね。たとえば、「あなたは運動した後、血圧が上がりやすいから気をつけたほうがいい」とか、「寒いところに行ったら血圧が上がるから注意しよう」など、生活のなかでも心がけるポイントが把握しておけます。
近い将来、脳・心血管疾患発症ゼロを実現するためにも、血圧計を通していろいろな情報を提供していきたいですね。

埼玉県と横浜市が展開する健康事業に参画したオムロン ヘルスケア。担当者の松田氏に、成功の秘訣と健康事業がもつ今後の可能性を語ってもらった。
自治体が示す「本気」が地域や民間を巻き込む原動力
―健康事業を成功させるコツはなんでしょうか。
「インセンティブ」「楽しさやわくわく感」「成果や効果の実感」。この3つのポイントを参加者目線で導入することです。どれかひとつが欠けても継続することは難しいでしょう。
また、「自治体がすべての住民を健康にするんだ」という「本気」を示すことも必要です。スタートする前の準備段階で、その姿勢を示さなければ、誰も前向きには取り組んでくれませんし、地域や民間を巻き込むこともできないでしょう。
―どのように地域や民間を巻き込んだのですか。
すべては仕組みづくりの段階から始まります。ウォーキングでいえば、測定機器も歩数計だけではなく、スマートフォンで計測できるアプリやリストバンド型のウェアラブルデバイスを用意したこと。
また、ポイント付与する仕組みや歩数のランキングなど、楽しみながら続けることができるコンテンツを用意し
て、住民に対して「すごい」と思わせたことです。
自治体の横のつながりが地域振興のきっかけになる
―逆に注意すべきことはなんでしょう。
運営側が成果を急ぐあまり、参加者にひんぱんな測定を義務づけたり、行動を督促してしまったりするということですね。
予算をかけた取り組みをするわけですから、事業成果にかんする報告や説明責任は避けられません。しかし、それをそのまま参加者に義務のように押しつけてしまっては本末転倒になってしまいます。
―今後、健康事業をどのように発展させていきますか。
ウォーキングを通して地域間交流ができないかと考えています。事業を通じて、それぞれの地域の参加者同士がウォーキングコースを訪問し合い、交流が生まれるとさらに住民の関心も高まるのではないでしょうか。自治体のなかでも行政の横連携ができると、地域産業を巻き込んで、より活力をもたらすと思います。
荻野 勲(おぎの いさお)プロフィール
昭和37年、東京都生まれ。日本大学理工学部電気学科卒業後、昭和60年、立石電機株式会社(現:オムロン株式会社)に入社。その後、オムロン ヘルスケア株式会社 新規事業開発センター事業開発部長、医療機器事業統轄部長、オムロンコーリン株式会社 代表取締役社長、オムロン ヘルスケア株式会社 執行役員常務、取締役執行役員専務、取締役執行役員副社長などを経て代表取締役社長に就任。
松田 高明(まつだ たかあき)プロフィール
石川県生まれ。オムロンアルファテック株式会社(現:アルファテックソリューションズ株式会社)に入社し、社会システムの開発業務に従事。平成26年にドコモ・ヘルスケア株式会社に出向し、プラットフォーム企画、ソリューション営業の責任者を歴任。平成29年より現職。
オムロン ヘルスケア株式会社
設立 | 平成15年7月 |
---|---|
資本金 | 50億円 |
売上高 | 1,013億円(平成29年3月期:連結) |
従業員数 | 680人、グループ 4,398人(国内715人、海外3,683人、平成29年3月末現在) |
事業内容 | 家庭用・医療用健康機器の開発・販売、健康管理ソフトウェアの開発・販売、健康増進サービス事業の展開など |
URL | http://www.healthcare.omron.co.jp/ |
お問い合わせ電話番号 | 03-6718-3765 (平日9:00〜17:00) |
お問い合わせメールアドレス | cd_japan@ssa.omron.co.jp |
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