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最新のICT環境を整備しすべての生徒に豊かな学びの場を提供

京都府 の取り組み

最新のICT環境を整備しすべての生徒に豊かな学びの場を提供

最新のICT環境を整備しすべての生徒に豊かな学びの場を提供

京都府教育庁指導部 高校教育課 課長 山本 康一
[提供] 株式会社ベネッセコーポレーション

「すべての生徒に豊かな学びの場を」―。そうした理念から、教育現場におけるICTの利活用を積極的に進める自治体が増えている。京都府もそのひとつ。北部の府立高校12校で学習支援サービスを導入し、生徒の学力向上をサポートしている。そのねらいなどについて、京都府教育庁指導部の山本氏に聞いた。

※下記は自治体通信 Vol.8(2017年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

京都府データ

人口: 260万3,032人(平成29年2月1日現在) 世帯数: 116万2,721世帯(平成29年2月1日現在) 予算規模: 1兆2,810億4,600万円(平成28年度当初) 面積: 4,612.20km² 概要: 延暦13年の平安京遷都以来、天皇の御所がある。南北に細長く広がる京都府は、そのほぼ中央に位置する丹波山地を境に、気候が日本海型と内陸型に分かれる。北部の丹後・中丹地域の海岸線は、変化に富むリアス式海岸で、豊富な景勝地や天然の良港に恵まれている。一方、京都市を中心とする南部には桂川、宇治川、木津川の三川合流を要に山城盆地が広がっている。

地域による学習環境の違いを最新のICTでカバーする

―府立高校でICT利活用を進めている背景を教えてください。

 京都府は南北に長く広がっており、京都市を中心とする南部と日本海に面する北部では、人口分布や交通事情など環境条件が大きく異なります。学習環境についても同様です。全国有数の大学密集地域である京都市内に対し、北部には大学はもとより、学習塾や予備校といった教育機関が少ない。しかも遠方より通学せざるをえない生徒も多く、学習時間の制約も多い。

―学習環境は地域の実情によって大きな違いがあるのですね。

 ええ。これまでは現場の先生たちの努力によって、北部の府立高校の学力レベルは一定以上に保たれてきました。しかし昨今、国が教育現場のICT化を後押しするなか、多くの学習システムが開発されているのを受け、京都府としても北部の府立高校12校を対象として、3年前にプロポーザル方式でICTを活用した学習支援サービスの導入を決めました。さらに昨年には生徒の学力向上をサポートすべく、新たなツールの導入を決めました。

―それはどのようなものですか。

 学習支援クラウドサービス『Classi』がそれです。1校につき40台のパソコンを利用し、幅広い教科・分野の講義がおさめられた「学習動画」や2万問の「Webドリル」にアクセスできる仕組みです。生徒はテキスト代などの負担がなく、自分の学習状況や苦手分野に応じてコンテンツを自由に選択できます。しかも、学習動画は短時間に内容がまとめられているため、放課後など限られた時間を有効に使うことができる。基礎の学び直しから難関大学の受験まで、それぞれの目的に合わせて生徒が個々のペースで学習効果を高めることができるのです。

 希望する生徒には個人IDを付与することで、各校のパソコン教室での利用にくわえて、自宅のパソコンからもアクセスし、予習・復習に利用することもできるようにしています。

最新かつベストの成果を生徒たちに還元していきたい

―利用状況はいかがですか。

 今回はあくまで、学習意欲のある生徒に学びの環境を与えることが目的です。そのため参加は生徒の自由で、個人別の利用状況を細かく測定していませんが、多くの生徒がアクセスしているようです。以前、他社のサービスを導入していましたが、『Classi』の導入により生徒のエントリー数が増えたと聞いています。

 利用する生徒からは、「授業でわからなかったところが確認できた」「短時間で重要なポイントが押さえられる」などの声が伝わっており、学習効果を実感しているようです。また、先生からも「授業のふり返りや学び直しがしやすくなった」との声が届いています。

―教育現場のICT化についてのビジョンを聞かせてください。

 先生たちによるすぐれた進学指導とICTツールがうまく組み合わさり、生徒たちが自分の進路設計に見合った学力を身につけてくれることが理想です。そのためのツールとしてICTの可能性を見きわめたいと思っています。

 京都府では、こうしたICTによる最先端の成果を投入し、多様な教育ニーズに対応する未来型の高校として、府立清明高校を2年前に新設しています。この清明高校をひとつのモデルとして、開発が進む教育ICTの最新かつベストの成果を取り入れ、府内の生徒たちに還元していきたいと考えています。


京都府 の取り組み

最新のICT環境を整備しすべての生徒に豊かな学びの場を提供

多様な生徒に「自分に合った高校生活」を高邁な教育理念をICTで実現

京都府立清明高等学校 校長 山岡 弘高 / 生徒支援部長 ICT教育推進委員 瀧本 徹
[提供] 株式会社ベネッセコーポレーション

教育現場のICT化を積極的に進める京都府教育庁がひとつの先進モデルと位置づける府立清明高校。どのような教育環境が実現されているのか。校長の山岡氏と生徒支援部長の瀧本氏に、同校のICT環境整備の背景やめざす姿などを聞いた。

※下記は自治体通信 Vol.8(2017年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

ひとつの教室でまるで複数の授業が同時進行

―清明高校の概要を教えてください。

山岡 「さまざまな志望動機や学習経験をもつ生徒が、自分に合った高校生活を送れること」。この理念のもと、平成27年4月に開校しました。京都府では29年ぶりの新設高校となります。教育課程は「昼間二部、単位制、普通科」と、京都府にはこれまでなかった新しいタイプの高校です。

 多様な生徒を受け入れている本校の場合、個々の学力レベルの幅は通常の高校よりも広いです。そのため、従来の一律の全体指導では「個々の生徒に応じた教育」を実現できません。そこで本校では、最先端のICT環境を整備し、積極的に活用しています。校内全域に無線LANを開通させ、すべての生徒が1台ずつタブレット端末を使用しています。

瀧本 タブレット端末は学校生活全般で活用しています。たとえば授業では、学習支援クラウドサービス『Classi』を活用し、資料やアンケートのほか、復習用テストや解説動画を生徒のタブレット端末に直接配信。学習内容の定着に役立てています。配信されるテストは難易度を選択できるため、生徒は自分の学力に応じて問題に取り組める。教室というひとつの空間で、複数のレベルの授業が同時進行する状況がつくれるのです。

―まさに「個々の生徒に応じた教育」が実現されているわけですね。

山岡 そのとおりです。さらに、補習や放課後の自学自習など授業外でもさまざまな場面で活用しています。10分トレーニングも、そのひとつ。これは、授業開始前、昼休み、放課後の自由時間を利用し、『Classi』の「Webドリル」を解く、という本校独自のカリキュラムの一部です。自由時間を有効に使い、苦手科目や分野、難易度など自分の課題に合った学習に取り組めます。現在の学習指導要領では、学校が授業時間をある程度柔軟に設定できます。そのため、本校では一定の回数をクリアすることを条件に、この10分トレーニングを単位認定しています。自由参加ですが、生徒の8割ほどが参加しています。

瀧本 いままでは、10分トレーニングをしようとすると、問題の作成や採点はおろか、出欠をとるだけでもひと苦労。授業の準備に使うべき時間を奪われ、教員の負担は膨大なものになります。しかし、『Classi』には2万問の問題がレベル別に用意されており、採点や達成度も生徒個々に管理することができる。ログを利用すれば、出欠確認の必要さえありません。教員の負担は圧倒的に低く抑えられ、そのぶん、生徒と直接ふれ合う時間を増やすことができます。

山岡 本校は生徒との面談や家庭訪問の数が格段に多いのも特徴です。なかには年間200回の面談や家庭訪問をこなす先生もいるほどです。その意味では、『Classi』の導入効果をもっとも実感しているのは、先生たちかもしれませんね。

社会と同じ環境を用意するのは教育の責任

―今後のICT活用ビジョンを教えてください。

山岡 生徒は、学校だけに閉じこもっている存在ではありません。社会に生きる存在である以上、学校も社会と同じようなICT環境を用意してあげなければ本来はおかしい。社会に出て、企業に勤めた後、「初めてタブレット端末を使います」ではいまの時代、通用しません。生徒の社会的自立をうながす本校としては、ICT活用をますます積極的に推進していきたいと考えています。

瀧本 デジタルネイティブ世代であるいまの高校生は、SNSなどを通じてICTの利便性を日常的に享受しています。一方で、適切な使い方を知らずに利用してしまっている現実もあります。適切なITリテラシーを養うことも今後の教育の役割です。その点、学校や家庭といった閉じた環境でプラットフォームを構成する『Classi』は、ITリテラシーを養う導入ツールとしても最適です。

 全国の高校では、生徒の学力の多層化が進み、それに対応する先生の多忙が問題視されるなか、ICTを活用した学習指導のあり方が検討されています。京都府教育庁では、「内容・時間・場所」を問わず、生徒が個々の状況に合わせて学習に取り組める環境を構築するために、学習支援クラウドサービス『Classi』を導入しています。平成29年度からは、使用する先生たちの意見を反映して、ビッグデータを用いたアダプティブ・ラーニングも可能になります。各高校で導入されている学生調査「ベネッセアセスメント」の結果から、個人に最適な学習動画や問題が自動配信されます。多忙な先生に負荷をかけることなく、これまで以上に「個々の生徒に応じた学習指導」を実現できるサービスです。

株式会社ベネッセコーポレーション

設立 昭和30年1月
資本金 30億円
売上高 4,441億9,000万円(平成28年3月期:連結)
従業員数 2万607人(平成28年3月31日現在:連結)
事業内容 通信教育「進研ゼミ」、模擬試験、雑誌など
URL http://www.benesse.co.jp/
お問い合わせ電話番号 0120-755640(平日8時~19時、祝日・年末年始を除く土 8時~17時)
お問い合わせURL http://classi.jp/