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県下一体でICT環境整備を推進愛媛全体の教育レベルを底上げしたい

愛媛県 の取り組み

県下一体でICT環境整備を推進愛媛全体の教育レベルを底上げしたい

教育現場のICT化①

県下一体でICT環境整備を推進愛媛全体の教育レベルを底上げしたい

教育委員会事務局指導部 高校教育課長 長井 俊朗
[提供] ソフトバンク株式会社

愛媛県教育委員会は3月15日、教育現場でのICT利活用に対する理解を深めようとの目的で、「ICT教育フェスタ」を松山市のえひめ青少年ふれあいセンターにて開催した。参加したのは、県内すべての県立高等学校(分校を含む)と中高一貫の中等教育学校、計55校を代表する生徒107名、教員56名。すべての県立高校を一堂に集め、ICT整備を積極的に推進する県の姿勢を、各校に強く浸透させることを目的とした取り組みである。このイベントを発案し、開催を主導したのが愛媛県教育委員会事務局指導部高校教育課長の長井氏である。愛媛県におけるICT整備のキーパーソンである同氏に、ICT整備の将来ビジョンを聞いた。

※下記は自治体通信 Vol.5(2016年7月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

愛媛県データ

人口: 137万8,634人(平成28年4月1日現在) 世帯数: 59万2,702世帯(平成28年4月1日現在) 予算規模: 8,327億3,600万円(平成28年度当初) 面積: 5,676.11km² 概要: 四国地方の北西部から北中部に位置する県。県庁所在地は松山市。温暖な気候を利用した果樹栽培が盛ん。県下各地で柑橘類が生産され、みかん・いよかんが有名。

―今回、はじめて「ICT教育フェスタ」を開催した背景を教えてください。

 ICT教育のための環境整備は国が進める喫緊の課題であり、これを各校の主体性に任せるだけでは、積極的に整備を進める学校とそうでない学校の差が広がっていくばかりです。県立高校間におけるこうした格差は望ましいことではありません。
 そのため、県が明確な方針を掲げ、県下一体となった整備を進める必要があります。この動きを着実に進めるうえで、直接学校側にICTの利活用を働きかける場が必要と考えたのです。そこで開催したのが、今回の「ICT教育フェスタ」でした。

―ICTを活用することで教育現場にどのような変化を期待していますか。

 協働型、双方向型授業によって、知識偏重のジグソーパズル型学力から方向転換して、自分で考え、組み立て、問題解決していくレゴ型学力を身に付けさせたいと考えています。タブレット端末を駆使し、複数の生徒らが一緒に課題を見つけ、調べ、解決していく協働学習を定着させる必要があります。県として、いつでもどこでもタブレット端末が利用できる通信環境の整備を支援していきます。
 同時に、教員側の変化にも期待しています。これまでの学校現場には、「授業の達人」ともいえる教員の指導力に依存するような側面がありました。しかし今後は少人数の「達人」ではなく、「組織だった授業力」を構築し、県下の公立高校全体の教育レベルを底上げしていく必要があります。ICTはそれを実現するための重要なツールになりえると期待しています。

教育現場のICT化はスピード感をもって進める

―ICT普及は生徒のみならず、教員側の変化をももたらすのですね。

 そのとおりです。ICT教育に対する教員の理解をさらに深めるためには、授業だけではなく、校務のICT化も進めたいとも考えています。生徒指導や通信簿作成などをすべての県立高校が同じシステムのもとでおこなえれば、事務処理を効率化でき、転勤に際しても教員の負担が大きく減るでしょう。そのぶん、生徒と向き合う時間を増やすことができると期待できます。
 ICTの導入によって教員と生徒による相互のコミュニケーションを促進し、学習効果を高めることが最大の眼目ですが、それだけではなく、ICTを使えば教務上の負担が減るということを教員が実感できれば、ICTの必要性がより深く教育現場に浸透していくと期待しています。

―今後のICT整備のビジョンを教えてください。

 国は2020年までに生徒1人に1台のタブレット端末導入を計画しています。
 人工知能やロボットの発達で将来、いまある仕事の半分以上が自動化によって失われるとの予測があります。それを考えると、愛媛県としては未来をになう若者を育てる教育現場のICT化はさらにスピード感をもって進めなくてはならないという危機感をもっています。

新しい教育スタイルを生徒と教員が同じ目線で体験

 愛媛県教育委員会が県下の全公立高校に参加を呼びかけ、自ら普及啓蒙活動に乗り出すべく開催した「ICT教育フェスタ」。タブレットなどを使った試験授業に参加した生徒、教員は熱心に取り組んだ。

 今回の「ICT教育フェスタ」は、愛媛県としては初めての試み。県が指導力を発揮し、県下すべての公立高校の関係者を一堂に集めてICT活用を支援するイベントというのは、全国的に見てもユニークな取り組みといえる。

 タブレット端末を使った体験授業では、学習支援クラウドサービス『Classi』を利用し、愛媛県の魅力をシートにまとめ、県外の人にアピールするという課題に取り組んだ。生徒3人が1チームとなり、生徒には1人1台、ソフトバンクのセルラータブレットが配布された。タブレット初体験の生徒も多かったようだが、そこはスマホ世代の若者。インターネット検索で即座に疑問を調べ、必要な画像を取り込むなど、使いこなすまでに時間はかからなかった。チーム内で議論を交わしながら、タブレットに手書きの文字やイラスト、写真などを貼りつけ、思い思いのプレゼンテーション資料が次々とできあがる。

 各チームの作成資料は集約され、瞬時に大型のスクリーンに表示されることで、他チームとの比較が可能。それぞれの発表内容に対する参加者の投票結果や、どこに共感したかなどの具体的なコメントも映し出されるなど、各人の反応が教室内でリアルタイムに共有される仕組みに生徒たちは新鮮な驚きを示していた。

 実際に生徒からは、「タブレットは便利なだけでなく、タブレットを使うことにより、楽しく授業を受けることができた。早くタブレット学習を導入してほしい」「セルラータブレットは使いやすく、将来導入されるならばこの型がよい」との声が聞かれ、タブレットによるICT教育に対する興味・関心の高さが伝わってきた。

 イベントを通じ、生徒と教員、県がICT教育の必要性を共有したことで、愛媛県の教育現場におけるICT整備には、確かな勢いが加わったようだ。


愛媛県 の取り組み

県下一体でICT環境整備を推進愛媛全体の教育レベルを底上げしたい

最先端ツールを浸透させるに 使いやすさの追求が必要

ソフトバンク株式会社 執行役員 法人第三営業本部 本部長 小菅 良宏 / 支援自治体:愛媛県
[提供] ソフトバンク株式会社

※下記は自治体通信 Vol.5(2016年7月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

―タブレットの普及で教育現場はどう変わっていきますか。

 現在は生徒個々の学習習熟度や能力診断結果などがリアルタイムで把握できるサービスが充実し、タブレットもそれらを使いこなすための双方向のコミュニケーションツールとして利用されています。タブレット本来の機能が活用されはじめたのです

―タブレット導入に際し、重要なことはなんでしょう。

 ネットワークへの常時接続性です。アクティブラーニングでタブレットを利用するには、あらゆる場所でデータにアクセスする必要があるからです。また、双方向のコミュニケーションツールとしても、常時接続は必須です。先生や生徒が“いま、なにかを伝えたい”場合、この“いま”こそが大事だからです。
 さらに、生徒の個人データをあつかう以上、セキュリティはきわめて重要です。当社では、ソフトウェアによる遠隔操作で、紛失時の情報漏えいを防ぎます。これらも常時接続のセルラータブレットだからこそできるセキュリティ技術なのです。

―今後ICT教育の普及をどのように支援していきますか。

 最先端のツールも使いやすくなければ、現場では浸透しません。タブレットで利用されるソフトウェアは、マニュアルを見なくても直感的に使える操作性に優れたユーザーインターフェースにより、タブレットの使い勝手は格段に向上しました。これを変えたのがスマートデバイスであり、それを普及させてきたのがソフトバンクです。今後も最先端のテクノロジーをわかりやすいカタチで届けていきます。

小菅 良宏(こすげ よしひろ)プロフィール

昭和39年、埼玉県生まれ。平成22年に営業統括法人第三営業本部本部長に就任し、金融をはじめとして多くの業界において、タブレット導入を精力的に支援している。Classi株式会社の取締役を兼務。

ソフトバンク株式会社

設立 昭和56年9月
資本金 1,772億5,100万円
売上高 9兆1,535億4,900万円(連結)
従業員数 約1万7,700人
事業内容 移動通信サービスの提供、携帯端末の販売、固定通信サービスの提供、インターネット接続サービスの提供
URL http://www.softbank.jp/
お問い合わせ電話番号 03-6889-9237(平日10 : 00~17 : 00)