
スマホを活用した地域振興
既存の施設を結びつけて「点と点を面に」スマホで地域活性化する仕組み
地域振興策の一環として「観光」ははずせない要件だ。しかしすべての自治体が有名な観光スポットに恵まれているわけではない。だが、そうした自治体でも「既存の文化・レジャー施設を上手に利用して集客に結びつける策はある」と語るのは、ジェイティービーの企画・開発担当部長・花園氏。スマートフォンを使った電子チケットサービスによる、地域活性化の取り組みについて聞いた。
※下記は自治体通信 Vol.4(2016年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
観光客が訪れても回遊する仕掛けがなかった
―地域活性化のための取り組みが全国各地で行われています。にもかかわらずムーブメントとならないのはなぜでしょう。
情報発信力に課題があるからです。告知はしているものの、効果的な情報発信とはなっていないケースが多いように見受けられます。くわえて、魅力的なレジャー施設や伝統的な商店街があるにもかかわらず、観光客が訪れても、うまく回遊する仕掛けがなく、一過性の訪問で終わることが多いからです。こうした理由から地域の認知度が上がっていかないのです。
―どうすれば情報発信を効果的に行えますか。
いまや国内の(※)スマホ普及率は49.7%。裾野の広さはプラットフォームとして強大です。スマホを軸にSNSと連動したサービスを活用すれば、地域に点在している魅力的な施設やスポットを網羅的にPRできます。たとえば当社が提供している「PassMe!」は、スマホ専用の電子チケットサービスでLINEとも連携。施設にひもづいたトピックスを「動物園のトラに子どもが生まれた」のようにライブで配信もできるのです。
※スマホ普及率は49.7% : 「携帯電話・スマートフォン“個人利用”実態調査2015」(日経BPコンサルティング調べ、平成27年8月31日発表)
―サービス内容を教えてください。
「PassMe!」の画面にイベントやレジャー施設の情報が掲載されます。ユーザーは利用したい施設のチケットをスマホからクレジットカードなどで購入します。入場の際はスマホにチケット画面を表示させ、その画面上に専用のスタンプを押してもらい、これで認証が完了できる簡単さが特長です。
―導入する側のメリットはなんでしょう。
初期費用も月額費用もカード決済のコストなど、固定費用がかからないことです。送客に応じた手数料を、チケット代から利用実績に基づき差し引いた代金が、JTBから翌月入金されるというシンプルなサービスだからです。これまでクレジットカードの決済端末を設置できなかった施設でも導入が容易。その結果、クレジット利用が習慣化している外国人観光客にも対応できるので、インバウンド需要の喚起にもつながっていくのではないでしょうか。
―利用者はどういう人たちですか。
ファミリーユースが目立ちます。熊本県の動物園、阿蘇カドリ
ー・ドミニオンのチケットを1人300円引きで売り出したところ、家族連れがコンスタントに来場しています。4人家族でしたらランチ1人分となる割引額に主婦の方が敏感に反応したのかもしれません。神戸どうぶつ王国、夏の東京サマーランドも人気でした。これらは利用の軌跡からユーザーデータを導き出した結果です。
データを活かすことで、たとえば「A施設はリピーターが多い」といったことがわかります。こうしたデータは集客エリアの把握、効果的なPRに役立てることができます。
地域のスモールデータを集め、活性化につなげたい
―地域振興の具体例はありますか。
秋田県湯沢市では、地域として「PassMe!」をどう使ったらよいか討議する場を設けていただきました。湯沢市ならではのコンテンツをどのようにして発信していくのか、現場の声を聞きながら私たちも協力していきます。
―今後のビジョンを聞かせてください。
ビッグデータ全盛の時代ですが、地域に密着したデータを集めて地域活性化につなげていきたいですね。
全国にはその魅力を知られていない既存のレジャー施設やスポットがたくさんあります。「お客さまが来ないから閉鎖します」ではあまりにもったいない。「施設」「商店」「スポット」「グルメ」など組み合わせ次第では魅力を再発見できるし、その魅力をいちばんよく知っているのは地域のみなさんです。当社は自治体・地域の方々と協力して、点と点を結びつけ、線にして、それを面にしながら地域への集客と回遊に役立てることを目指していきます。
花園 聡一郎(はなぞの そういちろう)プロフィール
昭和38年、長崎県生まれ。昭和60年に株式会社ジェイティービーに入社。新規事業開発を中心に取り組む。
株式会社ジェイティービー
設立 | 昭和38年11月(創業明治45年) |
---|---|
資本金 | 払込資本 23億400万円(授権資本 32億円) |
従業員数 | 2万6,194名(グループ全体 平成27年3月末現在) |
事業内容 | 旅客鉄道会社およびその他の運輸機関の乗車船券類の発売に関する事業、観光地の開発並びに旅行及び観光施設に関する事業、健康保養施設の開発、運営に関する事業など、旅行業全般にかかわる事業。 |
URL | https://pass-me.jp/ |
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