
民間企業の取り組み
「世界に1つだけの特別な絵本」で、子どもの読書推進を支援
※下記は自治体通信 Vol.39(2022年6月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
近年、子どもの読書離れが叫ばれて久しいが、乳幼児期の読み聞かせ体験がその後の読書習慣や学力の成長に関連性があるとの指摘もあり、読書推進に力を入れる自治体は多い。そうしたなか、子ども向け絵本の製作を手がけるNTT印刷の泰地氏は、「科学的エビデンスに基づいた『パーソナル知育絵本』なら、取り組みの効果をさらに高められる」と提案する。パーソナル知育絵本とはどのようなものか。導入効果とともに、同氏に聞いた。

言葉や心の発達状況に合わせ、子どもごとに内容が変わる
―「パーソナル知育絵本」とは、どのようなものでしょう。
一人ひとりの子どもに合わせて内容が変わる「世界に1つだけの絵本」です。物語の主人公は子ども自身となり、名前と性別が変わるほか、言葉の成長段階に合わせて絵本の内容も変化します。内容はNTTコミュニケーション科学基礎研究所が蓄積してきた「子どもの語彙発達に関する科学的エビデンス」に基づいて設計されています。実際に導入した自治体で行った調査では、「『これぼくの本』と喜んでいる」「読み聞かせがしやすい」との声が寄せられています。
―開発の経緯を教えてください。
我が子が一番喜ぶ絵本をつくろう、子どもたちに絵本好きになってほしい、といった想いを込めて開発しました。多くの自治体では乳幼児期から絵本になじめるような施策に力を入れていますが、昨今のコロナ禍の影響により、図書館への来館を促しづらい、絵本の読み聞かせ会を開催できないといったケースも増えています。パーソナル知育絵本は我が子が主人公ですので、保護者も気軽に読み聞かせができますし、0~4歳までの言葉の成長段階に合わせて3シリーズを提供することで、継続的に子どもの成長を支援できるのも特徴です。このほど「心の発達」に着目した3~6歳用の新ラインアップを用意し、この継続的な支援体制をさらに強化しています。
―子育て支援に力を入れる自治体をどう支援していきますか。
自治体が感じている課題をお聞きし、パーソナル知育絵本のさまざまな活用法をご提案していきます。たとえば、絵本の申し込みや受け取りを地域の図書館で行えば、来館を促し、読書習慣醸成のきっかけをつくれますし、定期健診の場で行えば、子育ての不安や悩みを聞き出す機会をつくり、次のサポートにつなげる効果も期待できます。オリジナル絵本の特徴を活かして絵本の表紙に自治体のマスコットキャラクターなどを入れることや、絵本の奥付に自治体からのメッセージや事業に込めた想いを載せることもできます。多様化する課題やニーズがあるなか、一人ひとり違う絵本がそれらの支援につながればと思っています。
利用自治体の声(北海道新十津川町)
お子さんが主人公になる絵本なら、家族で喜んでもらえると採用

当町では、絵本を通して子どもと保護者が心安らぐ時間を分かち合うことを応援する「絵本ふれあい事業」を行ってきました。プレゼントする絵本を毎年検討するなかで、お子さん自身が主人公となる「パーソナル知育絵本」は、「世界に1つの自分だけの絵本」として家族で喜んでもらえるのではないかと考え、令和3年度から採用しました。2歳5~6ヵ月児健康相談の際に、お好きな2冊を選んでいただいています。パーソナル知育絵本を受け取った保護者からは「大きくなったときにこの本が残っていたらうれしい」「娘だけの絵本なので大人になっても大切にしてほしい1冊です」などの声が届いています。
利用自治体の声(北海道東神楽町)
子育て世代の図書館利用促進へ期待。郷土愛育成にもつなげたい

『自治体通信』の「パーソナル知育絵本」の記事を読んだ教育長からの、「当町でもこの絵本を取り入れてみては」との提案がきっかけで令和3年度に導入しました。1歳6ヵ月健診の案内とともにパーソナル知育絵本注文チケットを発送し、届いた絵本を図書館でお渡ししています。これまで保護者の方々から、「図書館に行ったことがない」という声を聴くことがあったため、絵本の受け取りをきっかけに、子育て世代の図書館利用促進につなげることができればと考えています。また、絵本の表紙には当町のキャラクター「かぐらっき~」を登場させたオリジナル表紙を採用できることから、子どもたちの郷土愛育成にもつながることを期待しています。
利用自治体の声(福島県伊達市)
「読み聞かせの時間が増えた」と、保護者からの声が多数届いた

当市では、親子の絵本の読み聞かせのきっかけづくりとして「ブックスタート事業」を展開してきましたが、それ以降に絵本にかかわる事業がありませんでした。そこで、親子で絵本に触れる機会を増やそうと、新たに絵本をプレゼントする事業を検討していた際に「パーソナル知育絵本」を知り、導入に至りました。当初は1歳6ヵ月健診と3歳6ヵ月健診の2回配布する予定でしたが、パーソナル知育絵本はそれぞれの年齢に合ったラインアップが用意されているため、2歳での配付もあったほうが良いと考え、追加しました。保護者からは「読み聞かせの時間が増えた」との声が多数届いており、来年度も継続して行う予定です。
利用自治体の声(福島県川俣町)
絵本への興味・関心だけでなく、地元愛もはぐくんでもらいたい

一人ひとりの子どもの年齢や言葉の成長段階に内容を合わせた「パーソナル知育絵本」に魅力を感じ、コロナ禍で増えた在宅時間で、子どもが絵本と触れ合う機会を増やしてもらおうと、従来の「ブックスタート事業」に追加するかたちで導入を決めました。利用者からは、「子どもの名前を呼びながら絵本を読んでいます」との声があり、パーソナル知育絵本を通して家族のつながりが増えたのではないかと感じています。絵本の表紙・裏表紙には、当町のイメージキャラクターである「小手姫様」が描かれています。子どもの絵本への興味・関心だけでなく、地元愛をはぐくむことも目的として、今後も活用を続けたいと考えています。
設立 | 昭和44年4月 |
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資本金 | 1億円 |
従業員数 | 706人(令和4年3月現在) |
事業内容 | 一般商業印刷物の企画・編集・製版・印刷・製本・加工・封入・封緘・梱包・配送・発送および販売など |
URL | https://www.nttprint.com/ |
お問い合わせ電話番号 | 03-6453-7429 |
お問い合わせメールアドレス | ehon@nttprint.com |
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