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【事例】24時間止まらない設計開発環境でのモノづくりデジタルトランスフォーメーション

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日立アドバンストサーバ HA8000VにNVIDIA P40やT4を装填したサーバで
設計部門のテレワークに貢献

「優れた自主技術・製品の開発を通じて社会に貢献する」を企業理念に、2020年に創業110週年を迎えた日立製作所。同社の産業・流通ビジネスユニット エンタープライズソリューション事業部では、産業デジタルソリューション開発本部のDXクラウドソリューション部が、設計業務向けのクラウドソリューション事業を推進している。同部では、2016年から本格的なvGPU-VDIの導入を推進し、2017年から3次元CADに対応した「日 立クラウド型 設 計 業 務 支 援 サ ービ ス(DSC/DS)」を 提 供して きた。 vGPU-VDIの構築にあたっては、ITプロダクツ統括本部も協力し、エンジニアリングとユーザーという両方の立場から、設計者が求めるリモートワーク環境を構築してきた。


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チャレンジ:
2014年からvGPU-VDIの可能性に向けた取り組みを開始

vGPU-VDIによる設計業務向けの「日立クラウド型設計業務支援サービス(DS/DS)」について、株式会社日立製作所(以下、日立)産業・流通ビジネスユニット DXクラウドソリューション部 主任技師の田中良憲氏は、次のように説明する。

「日立グループでは、2004年からシンクライアントを活用したVDIソリューションをい ち早く導入し、コロナ禍においても、多くの従業員がテレワークを行っています。しか し、設計製造部門では、高性能なワークステーションでCADソフトを使っているので、 在宅勤務が困難な状況にありました。こうした課題を解決するために、vGPU-VDIを活 用できると考えてきました」

vGPU-VDIによるクラウドソリューションの構築に携わってきたITプロダクツ統括本 部 ハードウェア開発本部 応用技術設計部 GL主任技師 中村和義氏は、システム構築 の背景を次のように振り返る。

「CAD設計が2次元から3次元に移行するようになると、より高いスペックのマシンが 必要となります。高性能なマシンはコストが高くなるだけではなく、準備にかかる時間 や運用管理なども大きな負担となります。そこで、2014年からvGPU-VDIに注目し て、設計のための本環境をデータセンターに構築することで、運用コストの低減とセ キュリティ強化を両立できると考えました」

ITプロダクツ統括本部 ハードウェア開発本部 応用技術設計部の和泉守洋氏も、 vGPU-VDIのテストや環境構築などに携わってきた。その経緯について和泉氏は「評 価は、2013年にvGPUが発表されてからスタートしました。3次元CADソフトとして 広く使われていたSOLIDWORKSをインストールして、仮想環境のVDIでリモートか ら利用できるか検証しました。しかし、当時はまだWindows 7が主流で、OSもアプリ ケーションも32bitだったため、我々の希望する体感や性能を実現できませんでした」 と振り返る。

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2014年の検証から2年後に、SOLIDWORKSがバージョンアップして64bit対応となり、 Windows 10の64bit版が普及してきたことで、パフォーマンスが劇的に向上した。

和泉氏は「SOLIDWORKSのバージョンを2012から2016に更新することで、リモート での処理が飛躍的に改善されました。その結果、操作性は大幅に向上し、実運用が可能 なレベルの描画性能を実現することができました。Windows 10 64bit版の展開タイミングも重なり、vGPU-VDIで容易にユーザーに 広げることができました」と話す。

ソリューション:
マシン利用コストの30~40%の低減を実現

vGPU-VDIによる設計業務向けのクラウドソリューションは、HA8000VにNVIDIAの P40とT4を搭載し、SOLIDWORKSなどの3次元CADをリモートで利用できる環境 を提供している。

中村氏は「これまでは、高性能なワークステーションを専用の部屋に 設置し、設計者がそこに移動して利用していました。その稼働率は、40%程度でした が、vGPU-VDI環境を導入してクラウド化したことによってマシン稼働率を70%以上 に引き上げられました。加えて、設計者や設計量の増減に応じてマシンリソースを調整 できるようになるなど、仮想化によるメリットも合わせると、我々の試算では vGPU-VDI導入によって、マシン利用コストを30~40%低減できました」と説明する。

さらに田中氏は「コスト以外の効果として、リモートワークで設計者の働く環境をフレキ シブルにできました。設計者の利便性は飛躍的に向上しました。また、設計データなど の集中管理を実現し、安全性も向上しました」と評価する。

リザルト:
設計製造部門のデジタルトランスフォーメーションに貢献

ストレージ装置の設計・開発を行っている日立製作所 神奈川事務所では、コロナ禍に なる前からvGPU-VDI環境を活用し、リモートで業務が推進できる環境を構築してい た。そのおかげで、コロナ禍になってもスムーズにリモートでの業務に移行でき、従業 員の健康を守るとともに、設計業務も継続できた。2020年4月初旬には、従業員の構 造設計者全員にvGPU-VDIが利用できる体制が構築されている。

コロナ第一波時には、リモートワーク者が一気に増えたため、ネットワーク帯域を増強し、快適なリモート 設計環境を維持している。ITプロダクツ統括本部 ハードウェア開発本部 プロダクツ第 1設計部 主任技師の上村修氏は、設計者という立場から3次元仮想デスクトップサービ ス(DS-VDI)のユーザーとして、その利便性や可能性を次のように評する。

「コロナ禍で設計者の5割が出社しなくても業務が推進できたのは、素晴らしいと思い ます。以前は、CAD用のPCを保持していましたが、vGPU-VDIを使うようになって、 返却しました。これからさらに利用が広がれば、業務効率改善がさらに進むと考えてい ます」

NVIDIAのvGPUを採用した3次元CADソフトのVDI化対応により、設計部門でのモ ビリティとセキュリティが向上し、サーバ集約による効果も期待できるようになった。 中村氏は「NVIDIA P40やT4によるvGPU-VDIは、現在3次元CADを主に利用して いるが、今後は、構造解析や電磁界解析、熱流体解析などへの適用範囲を拡大し、さら なるマシン共有効率の向上に取り組んでまいります。機械学習やDeep Learning、 AIなどの活用も深め、設計開発や解析業務を加速することで、モノづくりを支援してい きます」と話す。

田中氏も「3次元仮想デスクトップサービス(DS-VDI)は、SOLIDWORKSをはじめとして、Siemens NX、Dassault Systems CATIA、PTC Creoなど、主要な3次元CADに対応し、セキュアで効率的に設計業務を推進するために必要な機能を統合的にクラウド上に実現しています。今後はAmpere世代のGPU基盤の採用を進め、vGPU-VDIでCADなどのグラフィックス環境の強化、CAEやDeep Learning、AI などのコンピューティング環境の強化を進め、サービスの拡充を進めてまいります。

クラウド内でvGPU-VDIを活用して、CADやCAE、AIを実現、同じデータセンター内で ネットワークアクセスが高速な環境にPLMやPDMサーバ、ファイルサーバや関連シ ステムなど、設計情報や機密情報をセキュアにデータ管理し、共通設計開発環境を整備 することでファイルアクセスの高速化が可能です。国内拠点のみならず、海外も含めた グローバルでの設計開発の実現、共通化が加速します。

24時間止まらずにどの場所からでもリモートでセキュアに利用できる設計開発環境の実現が、あたりまえに必要な時 代になってきました。ITプロダクツ統括本部が実践してきた技術者の働き方のフレキシブル化の実績を今後は、日立グループの別事業部門やビジネスユニットにも広げて提供したいと考えております。vGPU-VDIを採用したDS-VDIで、日本全体の設計開 発力の向上を支援してまいります」と抱負を述べる。

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エヌビディア合同会社
設立 1993年
売上高 1兆2,000億円(2020会計年度)
従業員数 約1万8,000人
会社概要 1999年にGPUを発明。現代のコンピュータ グラフィックス、ハイパフォーマンス コンピューティング、そしてAIを再定義した。また、NVIDIAの仮想化プラットフォームの開発により、さまざまな産業における生産性を向上させている
URL www.nvidia.com/ja-jp/
お問い合わせメールアドレス NVJ-Inquiry@nvidia.com