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スマートシティにおけるヘルスケアの展望【Vol.1 ~ 自治体に期待されること ~】

自治体を取り巻く超高齢化社会やデジタル化による環境変化に伴い、国が推進するスマートシティ構想の実現に向けた検討の優先度は高まり、住民の安心・安全に向けたデータ蓄積や、自治体が提供しているサービスの統合・パーソナライズ化が求められています。

健康・医療分野(ヘルスケア)においては、Covid-19がデジタル化をさらに加速させ、住民の行動変容を伴う活動において自治体の役割もこれまで以上に期待されることが推測されるため、自治体の特徴に応じた検討とアクションが求められています。

1. スマートシティ構想の概要と目的

・ スマートシティとは、ICT 等の新技術を活用しつつ、マネジメント(計画、整備、管理・運営等)の高度化により、都市や地域の抱える諸課題の解決を行い、新たな価値を創出し続ける、持続可能な都市や地域のことです。国の政策においても、新技術や各種データ活用をまちづくりに取り入れたスマートシティの推進を支援しています。

・ 多くの都市・地域においては、人口減少、高齢化、災害など、様々な社会課題に直面しています。
デジタルの活用により、それらの課題を解決し、新たな価値を創出し続けることで、そこで暮らす人々にとって、安心して働ける、安心してくらすことができる魅力的な地域づくりを行うことを目的にスマートシティの取り組みが行われています。具体的には下記の取り組み等が行われています。

① 健康・医療分野:ICTデータの活用により、健康寿命を延伸
② 地域:地域の見守りを支援し、安心・安全な街を実現
③ 防災:災害の情報をリアルタイムで取得・発信し、迅速な 避難・復旧を実現
④ 金融:キャッシュレス社会を実現し、取引をデジタルで完結
⑤ 自動走行・自動配送:いつでもどこでも必要な移動・配送サービスを提供
⑥ エネルギー、水、廃棄物:エネルギー、上下水、リサイクルなどを地域内で最適管理

・ 特に、健康・医療分野においては、地域差はあるものの高齢化を起因とした大きな課題があります。
現在は4人に1人(25%)が高齢者であり、更に2040年までその割合は増加していくことが確実視され、このままだと社会保障費の増大、ひいては、財政破綻を招く恐れがあります。その一つの対応策として、医療費抑制にも繋がる健康寿命の最大化に向けた取り組みが期待されています。

・ 本編では、健康・医療分野に特化した取り組みついて述べます。

2. Covid-19による住民意識の変化

・ 新型コロナウイルス感染症の感染拡大を背景に、デジタルの活用が加速しました。身近なところでは、コロナ追跡システムの導入や、e-コマースの拡大、テレワークの進展など、市民生活や経済活動などの各場面において急速なデジタル化が進行しています。

・ 新型コロナウイルス感染症の感染拡大は住民意識にも影響を与えました。新型コロナウイルスを始めとする感染症や病気にかからないよう、免疫力を上げる目的で栄養のある食事を摂取することや運動に対する意識の高まりも確認されます。

・ 「フォーネスライフ株式会社」の調査では、長引くコロナ禍がきっかけとなり、約94%の人々が健康意識が高まったと回答しています。健康意識が高まった人の約16%は、アプリやWebの健康サービスの利用も開始していました。このようなデジタル技術を活用した健康管理は、サービスが充実することに伴い、今後も増えていくことが想定されます。

3. 自治体に期待されること

地域住民が安心して暮らすことができる活気あるまちづくりの実現に向けて、多様化された価値観・行動様式に基づいた体験向上に加え、行動変容を伴うサービス提供が求められています。

・ これは、日常生活に溶け込んだヘルスケアの在り方を意味しており、各地域の気候、住民の興味・嗜好、疾患、生活習慣などを加味したアドバイスが有効です。このため、各地域の特徴に合わせた取り組みの検討・実施が望まれています。

・ 生活基盤としての役割を担う自治体に期待されることは、住民を中心としたプロアクティブな取り組みを通じた質の高いコミュニケーションを通じてQoLを高めることです。具体的には下記3つの検討が必要と考えられます。

① 住民の深い理解
 ✓ 地域ごとの特性を踏まえた、地域住民の特徴や課題のインサイト導出
 ✓ 住民の属性情報だけでなく行動/ヘルスケアデータ(PHR,EHR)を収集と、それによる健康情報・課題の見える化

② 効果的で有効なサービス開発
 ✓ 地域ごとの特徴や課題を踏まえたサービス設計/運用
 ✓ ウェアラブル・医療機関・医療機器・保険会社等との連携によるサービスの統合

③ 住民へのアプローチ/フォローアップ
 ✓ 様々なチャネル(家族・パートナーの見守り・働きかけも含む)を通じて、住民に働きかけが出来る仕組み
 ✓ サービスの利用/継続に関するマーケティング視点での施策充実化

4. 自治体が取りうるアクション

・ テクノロジーの進化と活用の広がりにより、これまで以上にデジタルを介した住民側へのプロアクティブな対応が自治体には求められています。スマートシティの実現にむけて住民にその自治体ならではの提供価値を提供するために重要なこととして、以下3点があげられます。

① 住民目線で一貫性ある体験設計
 ✓ 各医療健康情報をライフステージや健康状態、受診した医療機関・施設を問わず、市民のオプトイン(本人の意思による選択)のもと、すべてのデータが一元的に利用できる仕組みの構築

② 住民のインサイトを集約・個別化されたサービスを可能にするテクノロジーの導入
 ✓ データを取得・蓄積できるテクノロジーであり、他データとの紐づけやインサイトへの転換できるようなテクノロジーの導入
 ✓ 多様なデータを医療・患者データベースと連携し、分析基盤やデジタルソリューションと有機的に結びつけることによる新たな価値提供

③ 施策を推進できる人材や組織体制
 ✓リード部門の設置による横断型での推進
 ✓テクノロジーやマーケティングの知見を有した人材の採用・育成

・ 上記3つのアクションを実行することで、ヘルスケア関連企業・医療機関とエコシステム形成することができ、自治体単独では実現できない機能・サービスを住民に提供することができます。

・ 住民に対して何らかのヘルスケアサービスを提供する事業者や医療機関は、スマートシティが提供するテクノロジー(住民の医療情報を管理・統合・連携できるデータ基盤)を通じて情報を適切に入手・活用することで、住民1人ひとりにあったヘルスケアサービスが提供できるようになります。

・ そのことは、住民の健康を都市や地域全体で管理する体制の整備を促し、健康を推進するまちづくりにもつながると考えられます。

<本サービスに関する問い合わせ先>

担当:デロイト トーマツ コンサルティング合同会社
Customer & Marketing Technology 大林 謙太
E-mail: keobayashi@tohmatsu.co.jp

<関連リンク>
・スマートシティにおけるヘルスケア|ヘルスケア|デロイト トーマツ グループ|Deloitte

 

【デロイト トーマツ グループ】
デロイト トーマツ グループは、日本で最大級のビジネスプロフェッショナルグループのひとつであり、各法人がそれぞれの適用法令に従い、監査・保証業務、リスクアドバイザリー、コンサルティング、ファイナンシャルアドバイザリー、税務、法務等を提供しています。
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