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「DXで実現する社会・地域課題解決とそれを支えるデジタル人材とは」

ADXOセミナーシリーズ 第1回「デジタル立国に向けたデジタル人材戦略」対談


新型コロナウイルスの感染拡大により、人々の生活・働き方が大きく変化しています。
また企業においてはビジネスモデルの見直し、政府機関においては抜本的な政策変更が迫られているといっても過言ではありません。

デロイト トーマツ グループは、この大きな環境の転換期こそ、デジタル技術を積極的に活用し、既存ビジネスの構造を変容させ、新たな価値を創出する流れを強化/ 加速することが重要で、これを推進することが企業の競争力、ひいては日本の国際競争力の強化へつながるものと考えています。そして、現在の日本が取り組むべきは、地域や企業においてこの変革を担うための組織作りであり、その組織を構成する「デジタル人材の確保」です。

また、デロイト トーマツ グループでは、変革の推進を担うデジタル人材を、単にデジタルのスキルや知見を持つ人材ではなく、デジタルとビジネスをかけ合わせて新しい価値を生み出せる人材と考え、これを実現するための統合的なソリューション(DHR Platform)をご用意しております。

上記課題につきまして、2022年4月21日(木)に「デジタル立国に向けたデジタル人材戦略」と題したWebinar を開催させていただきました。
本Webinar では、DX を活用して社会・地域課題解決に取り組んでいる株式会社東邦銀行様をゲストに迎え、デロイトの人材戦略の専門家とともに、デジタル人材を確実に育成するためのDX 人材戦略と施策についてお話しいただきました。



デロイト トーマツ コンサルティング合同会社
執行役員/パートナー
小野 隆

HR Transformation 領域の事業責任者。
20 年の人事コンサル経験をもち、昨今はDigital HR 領域を中心に支援。
DHR Platform の責任者。

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株式会社東邦銀行
デジタル戦略・業務改革部部長
齋藤 貴浩 氏

東邦銀行のデジタル戦略、並びに業務改革を統括する部署である「デジタル戦略・業務改革部」の責任者


株式会社東邦銀行
営業統括部チャネル・カード戦略課調査役
瓶子 裕子 氏

インターネットバンキングやホームページなど、デジタル関連商品のサービスの運営企画を行う

小野:
本日は、社会・地域課題解決のために地方銀行が果たすべき役割につきまして、東邦銀行デジタル戦略・業務改革部部長の齋藤様よりお話をいただきたいと思います。よろしくお願い致します。

齋藤:
東邦銀行は福島県を地盤とする地方銀行です。福島県はかなりの広域圏で、人口や産業は福島、郡山、会津、いわきなどの地域に分散しています。その地域をカバーする形で県内に約100 の店舗があります。

「地域を見つめ、地域とともに」を企業理念として掲げており、地域の皆様の信頼に応えるべく総合的な金融サービスを提供してきました。そのおかげもあり、2021 年には創立80 年を迎えることができました。

東邦銀行についてお話をさせていただく上で触れなければならないのが、2011 年の東日本大震災です。震災発生後の原子力発電所事故により、一時は県内から16 万人の避難者がでました。

これによって、県民の皆様の生活が大きく変わってしまいました。風評被害も発生し、かなりの経済的ダメージもありましたが、現在は避難地域の解除も徐々に進んでおりますし、農産物などの出荷額も震災以前を上回る水準に戻っています。

当行の復興支援の取り組みとしては、震災の影響を受けたお客様に対する金融の支援にとどまらず、県産物の風評被害への対策として県外へのアピールや食の商談会を開催するなど、お客様の本業の支援にも尽力してきました。

これからの福島県をさらに強く活性化していく活動としては、「未来の新エネルギー社会の実現」を目指し、再生可能エネルギーに取り組んでいるお客様への支援を行うほか、新たな産業集積や農林水産業の研究開発を行う福島イノベーション・コースト構想推進機構に対して人を派遣するなど、福島全体の復興・成長への支援を行っています。

ここ数年では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響がかなり出ています。震災から回復してきた観光業や飲食業も大きなダメージを受けました。これについては、アフターコロナ・ウィズコロナプロジェクトとしてさまざまな外部専門家と連携し、資金繰りの支援や本業の支援、経営計画の策定支援などを行っています。

さらに、人口の減少やSDGs への対応、生活様式や働き方の変革といった社会変化に対応するためのビジネスを構築していく必要もあります。これまで以上に社会貢献や環境への取り組みが求められていると感じています。

そのような中、2021 年4 月からスタートした当行の中期経営計画「とうほう『輝(かがやき)』プラン」には、伝統的な金融サービスにとどまらず様々な分野に拡大していく必要があることや、福島のさらなる復興への貢献が使命だと明記しています。

東邦銀行は、社会の変化や技術革新、規制緩和などの動きに対しても積極的にチャレンジしながら、地域やお客様が求めている役割を果たすべく、新たな事業領域を切り拓き、金融サービス以外の分野でもしっかりと地域を支えていけるような会社を目指しています。

預貸業務を中心としたレガシー領域をベースにしながらも、地方創生や新たな価値創造につなげていく新事業の領域についても取り組んでいます。いずれの領域においてもデジタルの活用や外部連携は不可欠だと考えています。

小野:
齋藤様、ありがとうございました。それでは引き続き「DX の活用で実現する社会地域貢献」として、東邦銀行様でこれまで行われてきているDX 活用やデジタル人材育成に関する取り組みについてご紹介いただければと思います。

齋藤:
当行では、これまでもインターネットバンキングなど、非対面チャネルでのサービスを整備・拡充してきました。行内業務についてはペーパーレスやRPA などを活用し、業務の効率化を推進しています。

従来の金融サービスを充実させつつ、金融以外のサービスや価値提供を行うには、外部連携を容易にできるシステムやIT インフラを整備する必要があるため、勘定系ホストの移行作業についても実施しています。

デジタル戦略の中には短期的に達成できないものもありますが、「ムーンショット目標」を定めて活動しています。

1つ目は、「コンサルティング・相談」という分野についてです。当行は、地域ナンバー1 のDXリーダーを目指し、お客様におけるDX やデジタルの活用を支援しようと考えています。金融に限らず、地域の課題を捉まえて解決するようなコンサルティングや支援の取り組みについてもこの分野で実施してきます。

2つ目は「バンキング」。こちらはお客様との各種お取引の部分になりますが、「来店が要らない」「紙が要らない」「判子が要らない」といった簡単・便利でスマートなサービスを目指しています。Web 化や非対面化といったサービスを拡充しつつ、ご来店いただいても簡単・便利にご利用いただけるサービスを充実させようとしています。

3つ目が「行内業務」です。行内業務においてもペーパーレスを実現することで、効率よく、どこでも働ける環境づくりを進めています。変化に対して柔軟に対応できる組織を作るため、引き続き新しい働き方・多様な働き方の実現に向けた取り組みをしていきたいと考えています。

いずれにしてもデジタル技術の活用は欠かせません。また、デジタル人材がいなければこれらの取り組みも進みません。そこで、育成したい人物像として「IT 人材のプロファイル」を設定し、取り組みを進めています。

具体的には、① IT のコンサルティングをするような「コンサルティング力」のある人材、②銀行サービスの変革・デザインに積極的に取り組める「デザイン力・企画力」のある人材、③安全性を確保したシステムをしっかり運用できる「システムスキル」をもつ人材、という3つの人材を設定しています。

「コンサルティング力」をつけるため、行内での研修やシステム系のグループ会社でのフィールド・セールス・トレーニングを中心とした実践的な研修などを行っています。一方で「デザイン力・企画力」を高めるための体制・仕組みが十分でないと課題認識しています。

デザイン力・企画力という領域では、現状をしっかり把握し、対処すべき具体的なアイデアを出し、行内横断的なコンセンサスを得てそれをしっかり実行していくような人材が求められています。

しかし、当行にはそのような取り組みを体系的に経験し、習得できる仕組み・機会がなく、大きな課題として認識していました。今回、デロイト トーマツ グループのご支援をいただき、このような人材育成にも着手することができました。

小野:
今回、東邦銀行様では、当社が提供しているADXO(エリア・デジタルトランスフォーメーション・オーガナイゼーション)をご利用いただきました。ここでは、デロイト トーマツ グループが提供しているデジタル人材育成のポイントやADXO の取り組みについて、ご説明致します。

最近、 DX という言葉をよく聞きます。デロイト トーマツが考えるDX の本質は、デジタルを活用した事業および業務のトランスフォーメーションです。

これを実践するには、組織の変革が不可欠です。変革を推進できるデジタルスキルと変革マインドを持った人材のほか、DX のリテラシーを備えた社員や、産業のDX と絡めた地域企業のデジタル人材の確保、デジタルコーディネーターなどが必要になるケースもあるでしょう。

デロイト トーマツでは、デジタル人材の育成のみならず、地域を中心とした産業創造、DX 推進が日本全体の社会課題だと捉えています。こういった取り組みを通じ、人材の高付加価値化と日本全体としての労働移動の実現に貢献できればと 考えております。そのために、地域、自治体、企 業などと連携しています。

今回は、東邦銀行様向けのデジタル人材育成プログラムをご支援させていただきましたので、そちらについて説明致します。

まず、東邦銀行様でプログラムの受講者を選定いただき、オリエンテーションなどを行いました。その後、e ラーニングの形式で基礎知識を習得していただいたあと、ワークショップで、ビジネスの企画案の策定や発表プレゼンなどを行っています。

実際にデジタル人材育成プログラムを受講された瓶子様から「現場が考えるDX を活用した個人向けの社会・地域貢献」についてお話しいただきます。

瓶子:
私は、主にインターネットサービスの企画・運営を担当しています。今回は、当行のホームページを8 年ぶりに全面リニューアルした際の取り組みについて紹介します。

私自身、リテール営業を中心に担当していたため、デジタル関連の商品や技術・サービスについての経験がないまま、ホームページの更改を担当することになりました。その際に重視したのは「お客様の利便性の向上」です。お客様自身が、ご自身で必要なことをお調べいただけるようにAI チャットボット機能を搭載しました。これにより、24 時間365 日、お客様が営業店やコールセンターなどに照会することなく、質問などの回答を得られるようになりました。また、サイトをご利用していただくお客様に最適なコンテンツや情報を提供するレコメンド機能も搭載しました。

さらにUI・UX を改善し、ご利用いただきやすいデザインにしています。このホームページはお客様のお役に立つ非対面チャネルの1 つとして、今後も更新し続けることが重要だと思っています。

現在は新たな非対面チャネルを構築すべく、新しいプロジェクトを担当しています。行内の関連部署と横断的に協力・連携しながら、より良いサービスをお届けできるものと自信を持って取り組んでいます。

小野:
瓶子様、ありがとうございました。今回、個人向けビジネスの企画案についても考案されていらっしゃいますが、そちらについてもご紹介いただけますか。

瓶子:
人材育成プログラムのワークショップでは、個人のお客様ビジネスの企画案を担当致しました。まず、チームのメンバーとビジネスプランを策定するための意見交換をしました。その際、「東邦銀行はお客様を取り込むストーリーが弱く、ライフステージに対して面でサポートできる仕組みが不十分なのではないか」と考えました。そこで、お客様の課題を解決できるサービスをご用意したいと考えたものです。

たとえば、当行をご利用していただくお客様を「個人」として捉えるのではなく、「家族ぐるみ」で捉え、継続的なサポートを行うことで、お客様に一生涯にわたってお付き合いいただけるのではないかと考えました。そこで、ファミリー層向けのサービスとして、お子様向けの金融リテラシー教室の開催やご高齢のお客様向けに警備会社と連携した見守りサービスの提供など、お客様がお困りの時にいつでも対応でき、家族が安心できるサービスをサブスクリプション形式で継続的にご提供できるチャネルを構築できないかと考えました。

東邦銀行は、地域密着銀行として「金融サービスの枠を超えて、地域社会に貢献する」会社でありたいというビジョンを掲げています。そのビジョンを実現するには、お客様のことをよりよく知るための分析や新サービスについて十分検討する必要があります。私個人の考えになりますが、新商品やサービスの導入について、お客様の分析や新サービスの検討を行う専門部署は必要だと感じています。そういった中で、お客様の成功体験を生み出すご支援をしていきたいと考えています。

小野:
ありがとうございました。続いて、法人向けのビジネスについて、デジタル人材育成プログラムをリードされた齋藤様よりご説明いただきます。

齋藤:
事業を営んでいるお客様は、復興や新型コロナウイルス感染症の感染拡大からの克服に加え、人口減少やSDGs など社会変化への対応を課題として捉えていると感じています。その中で東邦銀行がご支援できるのは、事業を成長につなげることで産業活力を復活させること。それによって雇用を維持・創出し、地域経済や社会の成長を促すということだと考えています。そういったことに地域金融機関がしっかりと関わり貢献していくことが重要だと考えています。

また、地域全体や地域の活性化、地方創生という観点でも取り組む必要があります。こちらについては、金融機関だけではなく、自治体や外部の団体や専門家などとも連携し、金融機関がご支援できる部分に関しては積極的に取り組んでいこうと考えています。

これまでも、スタートアップ企業から安定・成熟期の企業まで、ライフサイクルに合わせたラインアップを揃えてきました。

人材育成プログラムの受講生は、お客様目線でどういったサービスが必要なのかということを考えることができました。これらのサービスで不便な部分はないかといったことを徹底的に見直しています。

その中で、エコシステムやビジネスマッチングなどについても検討を進めています。お客様の販路拡大だけでなく、新しいビジネス創出のPoC というニーズもあると考えています。お客様のニーズや行動に合わせ、我々が必要なサービスをお届けすることで、Time to Market の短縮などにも寄与すると考えています。

検討できたことだけでなく、お客様目線でサービスなどをきちんと考える体験ができたことは、人材育成プログラムの大きな成果だと感じています。

小野:
瓶子さまにお伺いしたいのですが、今回のデジタル人材育成のプログラムを受講しての感想や今後の課題、気づきなどがあれば共有いただけますか。

瓶子:
正直、難易度が高いと感じましたが、講義には場面設定に対応したワークが多く盛り込まれており、実際の業務をイメージしながら取り組むことができました。

ワークショップについては、実際にお客様に企画提案する際の業務フローをゼロから作るといったものがありました。これまでベンダー等から「お客様の立場」で提案を受けたことはありましたが、業務フローやワークフローの作成は経験がなく、大変参考になりました。また、自分の体験を含めながら講義に参加できたことは、とてもいい経験になりました。

今回受講したメンバー全員が、個人だけの知識の習得にとどめることなく、今後は講師として情報共有できるようにしていきたいと考えています。

DX については、サービスやシステムが本格稼働して終わりではなく、その後、継続してお客様のサポートを行い、一緒に成功体験を生みだすことが重要だと強く感じました。そういった機会をいただくことができ、本当にありがたいと感じました。

小野:
まさに自分事として捉えながら受講されていたということが感じられました。それでは、齋藤様から、デジタル育成プログラムを実施した感想や課題についてお聞かせいただきます。

齋藤:
IT 人材戦略の中でビジネスを創造したり、新しい価値を作っていくデザイン力のある人材を育てたりしたいと考えていました。今回、こちらに繋がる経験ができたのは非常に大きな収穫だと感じています。

これまでの人材育成はOJT が中心で、修得に時間がかかるという課題がありました。今回のプログラムで、体系的に学べば定着するということを目の当たりにし、その課題を解決するための道筋が見えてきました。

さらに、人材育成プログラムの中でデロイト トーマツ様と意見交換をすることで、受講生たちは俯瞰した視野を持つこともできたようです。業務の延長線上ではなく、その幅を広げて考えることができるなど、受講生にとっていい経験になったと思います。

小野:
今回、東邦銀行様のお話を伺い、社会課題や地域課題に対して強い思いを持って取り組まれていることが分かりました。また、デジタル人材のプログラムにおいて、お客様目線、地域目線ということを重視されていることも分かりました。

今後、東邦銀行様がデジタル人材育成についてどのように取り組まれていくのか、お話を伺えますでしょうか。

齋藤:
我々は地方銀行として、福島の成長に貢献していくことが重要だと考えています。社会の変化やデジタル技術の進歩は非常に早く、それに合わせて貢献できるよう、我々のビジネスをデザインし直しフィットさせていくことが重要になります。そういったことを実施できる人材をしっかりと育成し、我々が地域に貢献できるようにしていきたいと考えています。

小野:
ありがとうございました。

■サービスの詳細
デロイトトーマツ グループの人材育成プラットフォーム (DHRプラットフォーム)

 

【デロイト トーマツ グループ】
デロイト トーマツ グループは、日本で最大級のビジネスプロフェッショナルグループのひとつであり、各法人がそれぞれの適用法令に従い、監査・保証業務、リスクアドバイザリー、コンサルティング、ファイナンシャルアドバイザリー、税務、法務等を提供しています。
また、国内約30都市以上に1万5千名を超える専門家を擁し、多国籍企業や主要な日本企業をクライアントとしています。

【関連リンク】
デジタル立国に向けたデロイト トーマツ グループのデジタル戦略
https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/public-sector/articles/gv/digital-strategy-for-digital-nation.html