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自治体業務の省力化における課題と取組事例【自治体事例の教科書】

2019/4/26

自治体業務の省力化における課題と取組事例【自治体事例の教科書】

先進的なICT技術などを導入し、住民サービスの向上を実現する業務省力化を取り入れる自治体が増加しています。自治体業務の省力化を進めるうえでの注意点や実際の効果はどうなのか? 事例などを通じて、そのポイントを探りました。
 
【目次】
■省力化の取り組みが求められる理由とは
■事例①【と技術の“役割分担”】塩尻市(長野県)
■事例②【AIマッチング】港区(東京都)
■事例③【知恵袋】大阪市(大阪府)
■3自治体が実施したRPA実証実験の全容
■官民協働で業務自動化
■“RPA+OCR”で住民サービス向上
■“脱アナログ”が公共施設利用者の利便性を高める

省力化の取り組みが求められる理由とは

少子高齢化の進展により、日本の人口構成が大きく変化しています。2040年前後には団塊ジュニア世代が65歳以上となる一方、その頃には20歳代前半となる者の数は団塊ジュニア世代の半分程度にとどまります。

人口構成の変化や生産年齢人口の減少は、当然、自治体のあり方にも影響を与えます。具体的には、将来、従来の半分の職員でも自治体として本来担うべき機能を発揮でき、量的にも質的にも困難さを増す課題を突破できるような仕組みを構築する必要があります。

人口減少と高齢化で「公共私」それぞれの人々のくらしを支える機能が低下するなか、自治体は「プラットフォーム・ビルダー」として住民生活に不可欠なニーズを満たすことが求められるようになるでしょう。このような環境変化に対して、自治体が住民サービスを持続的、かつ、安定的に提供していくためには、AIやロボティクスによって処理できる事務作業はすべてAI・ロボティクスにまかせ、職員は職員でなければできない業務に特化することが不可欠です。

そのため、今後、すべての自治体で業務の自動化・省力化につながる破壊的技術を徹底的に使いこなすことが必要な時代になっていくでしょう。AI・ロボティクスなど、省力化につながる先進的なICT技術を自治体業務に取り入れて活用する「スマート自治体」への転換が求められている、と言えます。

次に、スマート自治体を具現化したと言える、自治体の実証実験事例などを紹介します。

事例①【人とICTの“役割分担”】塩尻市(長野県)

塩尻市(長野県)は平成30年度に実施した「保育業務改革プロジェクト」のなかで保育園申請受付にRPA・OCRを、利用調整にAIを活用する実証実験を実施し、その精度や効果を検証しました。これは 、職員が「人でなければならない業務」に注力できる環境を整備するとともに市民の利便性向上を目的とした実証実験で、保育課業務がその先行モデルとなったものです。

実証実験では、AIが算出した利用調整の結果と人手で行った調整結果の差などを確認するとともに、その結果を行政経営システム(PDCAサイクル)にフィードバック。次年度以降からの全庁的な業務改革に活用していくことにしています。

自治体におけるRPA・AI等の活用可能性・ 効果を分析し、ロボットと人の「役割分担」に着目した取り組みです。

事例②【AIマッチング】港区(東京都)

港区(東京都)は令和元年10月に保育所入所AI(人工知能)マッチングシステムを導入することを決定しました。保育園の入所選考について、時間短縮など事務の効率化により区民サービスの向上を図るとともに、職員の負担軽減を図ることが目的です。

従来の保育所入所選考会議(一次)の振り分け作業は、区民課長(1名) のほかに、区民課保健福祉係長(1名)、各地区保健福祉係保育担当職員(10~15名)、保育課保育支援係職員(2名)を基本として、約30時間かけて行い、4月(二次)の選考や毎月の入所選考についても同様の体制により選考会議を行っていました。

今後、AIを活用した入所選考の実現により職員の負担の軽減が見込まれ、人件費の削減効果は年間400万円程度(1,400時間)になると試算されています。

導入決定に先立って実施した実証実験は、平成30年4月入所の一次選考のデータを基に実施しました。その結果、1回目の実証実験では職員による選考との一致率は85%程度となり、その後、職員による選考結果と不一致となったデータの原因について検証を重ね、特別な利用調整が必要となる障害児を除くなど、提供するデータの選択やAIシステムの改善などを実施。5回目の実証実験では、港区における保育の利用調整基準に基づく保育所入所選考の作業を100%一致させることができました。

AIシステムが有用であることが実証実験で立証でき、今後、AIシステムの導入により、入所申込みが集中する4月の選考などで大きな効果が期待されています。

また、AIシステムによる選考結果は保健福祉総合システムへ取り込み、内定通知の発行や保育料決定を行うことから、今後、RPA(Robotic Process Automation 業務自動化)を活用し、入所選考結果を保健福祉総合システムへ取り込む仕組みの構築も進めることにしています。

保育所入所AIマッチングシステムは、さいたま市(埼玉県)が全国に先駆けて導入・運用を開始し、大きな話題を集めました。港区が本格運用を開始することで、今後、全国に波及していきそうです。

事例③【知恵袋】大阪市(大阪府)

大阪市(大阪府)は、平成30年3月から職員の業務支援におけるAIの活用事業について、モデル運用を開始しています。

大阪市では、各区役所において業務に精通したベテラン職員の大量退職、職員数の削減、人事交流の活発化による短いサイクルでの人事異動、雇用形態の多様化による再任用職員・嘱託職員・臨時任用職員・窓口業務委託事業者からの派遣職員の増加等を背景に、“即戦力不足”と次世代を担う人材の育成が大きな課題となっていました。

そこで、銀行窓口業務や保険業務におけるサポートセンターの業務支援など、AIが人間に代わって業務を行う実績が民間で出てきたことから、区役所の職員に対して担当業務に必要となる知識をサポートするAIを導入することで業務効率化と市民サービスの質の向上を図るとともに、ベテラン職員がこれまで培った知識・技術の継承を支援できないかを実証することとし、平成30年3月から2つの区役所でAIサービスのモデル運用を開始しました。

いわば「職員の知恵袋」としてAIを活用しようという試みです。

まず、制度が比較的安定しており、ノウハウが蓄積されている戸籍業務にスポットをあてて、届出人から受付した届出書類についての「審査」業務と、当該書類を適法なものとして受付を認容(受理)するか、もしくは不適法なものとして受理を拒否(不受理)するかの「判断」業務に着目しました。

これらの業務では、事務処理に要する時間や手間が専門知識や経験の多寡に左右されることが多く、業務従事年数の浅い職員は関係法令や戸籍実務書等の紙ベースによる調べもの、管轄法務局等への問い合わせに時間と労力をかけて対応していました。

平成30年度においては、2区役所でモデル運用を継続し、AIの有効性について評価・検証を進めるとともに、利用者からのフィードバックをもとにAIの再学習(チューニング)を行い、今後、戸籍業務支援AIの全区役所への展開や他業務への適用等について、調査・検討していくことにしています。

大阪市はAIを活用することで、業務の経験年数を問わず、職員の知識サポートを行い、市民対応の時間短縮と正確性向上を図り、業務の効率化と市民サービスの向上につながることを期待しています。

自治体業務の省力化についての関連記事

多くの自治体が住民サービスの向上につながる業務省力化を模索しているなか、これについて先進的な自治体トップや担当職員、支援企業に取材した「自治体通信Online」掲載の事例記事を紹介します。是非、参考にしてください。

3自治体が実施したRPA実証実験の全容

支援企業名:事例自治体:①奈良市(奈良県)②加賀市(石川県)③茨城県
支援企業名:UiPath株式会社
関連記事 :RPAによる「生産性革命」
URL  :https://www.jt-tsushin.jp/interview/jt15_uipath/
記事内容
・それぞれのRPA実証実験の内容
・実証実験結果
・職員や住民などからの反響
・支援企業の視点

 

官民協働で自治体業務を自動化

事例自治体:港区(東京都)
支援企業名:株式会社JSOL
関連記事 :自動化技術の導入で実現させる職場環境の改善と区民サービス向上
URL  :https://www.jt-tsushin.jp/interview/jt16_jsol/
記事内容
・自治体業務の自動化における課題とは
・その解決方法
・どのような取り組みか
・支援企業の視点

 

“RPA+OCR”で住民サービス向上

支援企業名:株式会社大塚商会、株式会社ハンモック、キューアンドエーワークス株式会社
関連記事 :業務を飛躍的に効率化させるRPA + OCRは行政サービス 向上の切り札になる
URL  :https://www.jt-tsushin.jp/interview/jt16_ict_professional/
記事内容
・行政サービス向上における課題とは
・その解決方法
・どのようなシステムか
・支援企業の視点

 

“脱アナログ”が公共施設利用者の利便性を高める

支援企業名:ソリマチ株式会社
関連記事 :施設予約管理のIT化で利用者サービス向上と稼働率アップを図る
URL  :https://www.jt-tsushin.jp/interview/jt15_sorimachi/
記事内容
・公共施設における課題とは
・その解決方法
・どのようなシステムか
・支援企業の視点

<参照元>(最終閲覧日:2019年4月24日)
内閣府 経済財政運営と改革の基本方針 2018 について
内閣府 平成30年度 業務改革モデルプロジェクト事業委託団体一覧    等

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