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新学習指導要領における自治体の課題と取組【自治体事例の教科書】

2019/7/31

新学習指導要領における自治体の課題と取組【自治体事例の教科書】

令和2年から同4年にかけて小学校・中学校・高等学校に順次に実施される新学習指導要領では、教育の目的が従来から大きく変化します。こうした“新しい教育”を実現するには、どのような取り組みや工夫が必要なのか? 事例などを通じて、そのポイントを探りました。

 
【目次】
■「新しい教育」とは
■事例①【公立校に国際バカロレアを導入】広島県
■事例②【福祉と教育の一体化】日野市(東京都)
■事例③【公営塾と高校教育を結ぶ】能登町(石川県)

「新しい教育」とは

新学習指導要領に基づいたこれからの“新しい教育”の目的は、学びを通じて「何ができるようになるのか」という観点から、「実際の社会や生活で生きて働く知識及び技能」「未知の状況でも対応できる思考力・判断力・表現力」「学んだことを人生や社会に生かそうとする学びに向かう力、人間性」を総合的にバランスよく育むことです。

新学習指導要領では、小学校3・4年生からの外国語教育、小学校でのプログラミング教育、道徳教育などの新課程・教科に注目が集まっていますが、もっとも肝心なことは、AIなどの新しい技術が社会や生活を大きく変えていくと予測されるなか、変化が激しく、未来予測が困難な非連続で不確実な社会が到来しても、それを前向きに受け止め、社会や人生をより豊かにものにしていく力(ちから)を養う教育をどのようにして確立するか、という点でしょう。

こうした新学習指導要領が目指す新しい教育を実現するには、既存の教育の枠組みでは対応が難しく、学校のICT基盤整備をはじめ、子どもたちを総合的にバランスよく育むための新しい仕組みの導入が必要になっていくと予測されます。

次に、先駆的な取り組みで新しい教育の実現を推進している事例を紹介します。

事例①【県立校に国際バカロレアを導入】広島県

広島県は「世界のどこでも活躍できるリーダーを育成する」との教育ビジョンのもと、県立の全寮制中高一貫校「広島県立広島叡智学園」(以下、叡智学園)を平成31年4月に開校しました。中学は1学年40人、高校は外国人留学生20人をくわえた60人を予定している少数生徒の学校で、授業は英語で行われ、高校卒業時に世界統一の卒業試験で一定の成績をとれば国内外の大学に進学できる国際バカロレア(以下、IB)・ディプロマプログラムを導入しているのが特徴。公立校でIBを導入しているのは珍しいケースです。

叡智学園の設立を推進した広島県の湯﨑英彦知事は「いまの時代は『正解のない課題』に対して自ら考えて、ほかの人と協働しつつ、リーダーシップを発揮しながら解決策を見出していく力が求められている。グローバルな視点も必要。それを現状の教育現場で展開することは難しいため、そうした教育を徹底的かつ純粋に取り組む学校を設立する必要があった」と話しています。叡智学園が掲げるこうした教育ビジョンは大きな反響を呼び、同学園が行った初の入試には県内外から受験者が集まり、合格倍率は9倍に達しました。

IBを採用している学校は国内で約140校ありますが多くはインターナショナルスクールや私立の学校。学費は年間400万円前後になることもあり、学費が比較的低額な公立校がIBを導入することで、高額な学費負担ができない家庭なども進学が可能になります。

県は叡智学園の開設に合わせて、リクルート出身で女性初の公立中学校民間人校長として横浜市立市ヶ尾中学校に着任した平川理恵氏を広島県教育長に招へいしました。平川氏は中央教育審議会教育課程企画特別部会委員として新学習指導要領改訂作業にも携わりました。叡智学園は新学習指導要領が目指す新しい教育を体現する学校となりそうです。

事例

広島県が進める新しい教育について湯﨑英彦知事にインタビューした記事はコチラから




事例②【福祉と教育の一体化】日野市(東京都)

日野市(東京都)は、0歳から18歳までの発達面・行動面・学校生活面において支援を必要とする子ども児童生徒の教育支援について、福祉と教育という部局の枠を越えた一貫性のある「発達・教育支援システム」を構築し、平成28年度の小・中学校、公立の幼稚園、保育園を皮切りに、私立の施設にも枠を広げ、市内の約80拠点で導入を進めています。

同市では平成26年に福祉部門と教育部門の部署を設置し、保護者の総合的な相談・支援機関として「日野市発達・教育支援センター」を開設。全国でも珍しい、福祉と教育が一体となって子どもの育ちに関する相談窓口を一本化する先進的な仕組みをつくりました。

しかし、就学や進学にあたって、支援情報が小・中学校間など子どもの各所属先の間でうまく引き継がれない状況があったことから、平成28年度から情報を電子化し、ネットワークを通じて関係機関の間で共有する仕組みとして「発達・教育支援システム」を導入。支援情報を単に保管するのではなく、利活用して支援を充実させる体制を整備しました。

最大の特長は、市内のすべての小中学校に導入されている校務支援システム内の個別指導計画とデータ連携している点。支援情報の重複を避け、かつ保育園・幼稚園・小中高校の現場の先生が日頃作成する指導目標や支援記録をそのまま活用することで、統合型の情報管理システムとしたことです。これにより、直接の交流機会が少ない保育園と小学校など所属先間で支援情報が引き継がれることになり、子どものライフステージを通じた一貫性のある支援を共有できるようになりました。

教育現場などからは、転校先でも支援情報が引き継がれるよう、今後は自治体間で接続する教育支援情報ネットワークへと拡充されていくことを望む声が聞かれるほか、こうした取り組みも令和の時代における新しい教育の形のひとつだと評価されています。

事例

日野市が導入した発達・教育支援システム
詳しい記事はコチラから

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[提供] 株式会社ワイ・シー・シー




事例③【公営塾と高校教育を結ぶ】能登町(石川県)

平成25年に石川県初の無料公営塾「鳳雛(ほうすう)塾」を開設するなど、教育行政に力を入れている能登町(石川県)ではICT教育プラットフォームを導入し、新しい教育を促進する環境整備に取り組んでいます。

同町が導入したICT教育プラットフォームは、タブレットやスマートフォンを活用して公営塾と地元の県立能登高校を結び、「教師の授業・生徒指導」と「生徒の学習」をサポートするシステム。学校の授業のみならず自宅学習まで一貫してサポートでき、生徒の学力を高め、新学習指導要領が重点目標としている思考力・判断力・表現力を重視する新しい学力基準である、いわゆる「21世紀型スキル」も育成するのがねらい。

以前から同町では学習指導などにICTを導入してきましたが、当時のシステムは煩雑で使用頻度が上がらず、十分な効果を得られませんでした。そこで、使いやすさを重視したプラットフォーム設計を採用した学習支援クラウドサービスを採用し、教師が簡単に生徒にアプローチできる仕組みを構築しました。

能登町では人口減少で学校の統廃合が進むなか、地元高校の存続は地域の重要課題との認識を住民と共有し、町の旗振りで「能登高校を応援する会」を結成。さまざまな支援を行ってきました。今回のICT教育プラットフォーム導入もその一環です。

学校の授業のみならず自宅学習まで一貫してサポートすることで生徒の学力向上を図り、多様な生徒の夢を実現させる教育の実現を同町は促進していくことにしています。

事例

能登町が採用したICT教育プラットフォーム
詳しい記事はコチラから

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[提供] Classi株式会社




<参照元>
文部科学省「新学習指導要領のポイント」
広島県ホームページ
日野市ホームペ-ジ
能登町ホームページ
自治体通信 Vol.5「ICTで教育現場を魅力化し統廃合の波から地域の学校を守る」
自治体通信 Vol.11「福祉と教育の一体化を進め、発達障害児への『切れ目のない支援』を実現する」
自治体通信Vol.14「『イノベーション』を生み出すには人材の確保・育成・蓄積が不可欠です」     等

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