全国の自治体トップ・職員・議員に贈る
自治体の"経営力"を上げる情報サイト
自治体通信Online
水害対策における自治体の課題と取組事例【自治体事例の教科書】

2019/6/17

水害対策における自治体の課題と取組事例【自治体事例の教科書】

近年、想定を超えたゲリラ豪雨などによる水害被害が頻発しています。異常気象が常態化するなか、これからの水害対策のあり方とは? 事例などを通じて、そのポイントを探りました。
 
【目次】
■水害対策の新しい指針とは
■事例①【BCP対策】佐伯市(大分県)
■事例②【市独自の水位観測システム】小野市(兵庫県)
■事例③【防災気象情報をプッシュ通知】北九州市(福岡県)
■テーマ「#水害対策」に関する関連記事

水害対策の新しい指針とは

国土交通省は平成31年1月に「水災害に関する防災・減災対策本部」及び「南海トラフ巨大地震・首都直下地震対策本部」の合同会議を開催し、「水防災意識社会」の再構築に向けた緊急行動計画の改定等を行い、水害対策について新たな指針を打ち出しました。

今回の改定の目的は、平成30年7月豪雨をはじめ、近年各地で大水害が発生していることを受け、「ハードの対策では防ぎきれない大洪水は必ず発生するもの」へ意識を変革し、 社会全体で洪水に備える「水防災意識社会」を再構築する取り組みを加速することです。

具体的には、
①人的被害のみならず経済被害を軽減させるための事前の備えと連携の強化
②住民の取り組み強化
③洪水のみならず土砂・高潮・浸水害や、それらの複合的な災害への対策強化
などの観点により、緊急行動計画を拡充しています。

次に、水害対策で効果を上げている各地の事例を紹介します。

事例①【BCP対策】佐伯市(大分県)

一級河川、番匠(ばんじょう)川が市域を横断して佐伯市(大分県)は、浸水に備え、市庁舎の重要設備を高層階に配置しているほか、非常用発電機の整備および太陽光発電設備の自立運転により、水害発生時には救助・復旧の対策本部が設置される庁舎内のBCP対策を万全にしています。

番匠川は堤内側の地盤高が洪水時の河川水位に比べて低い地形特性があることなどから、近年も平成16年、平成17年に流域で浸水被害が発生しました。そこで、水害に対する事前の備えの取り組みとして、非常用発電機は追加給油なしで100時間運転可能としているほか、非常時は自立運転により庁舎内に電力供給する太陽光発電設備も整備しました。

また、浸水対策として、電気室、非常用発電機、太陽光発電設備、災害対策本部室、電算室等の重要設備を高層階に配置しています。

事例②【市独自の水位観測システム】小野市(兵庫県)横浜市(神奈川県)

一級河川の加古川が流れる小野市(兵庫県)は市独自の水位観測システムを導入し、水害対策の強化に乗り出しています。

きっかけは平成16年に台風が連続上陸した際、避難情報発令前に加古川支流の小規模河川、粟生(あお)川の流域で過去に例がない速度で浸水被害が発生したことでした。

加古川のような大規模河川には国が水位観測所を複数設置し、テレメーター化した水位データを送信する自動監視システムが整備されていますが、粟生川のような支流の小規模河川では大雨が降るたびに自治体職員などが現地に行き、水位を目視確認で監視するケースが一般的です。

これまで、こうした仕組みで適切な避難情報発令などの災害対応が実施されてきましたが、近年の異常豪雨は従来の対応の限界を超えています。粟生川のように“人力”で水位を監視している小規模河川の流域で異常豪雨や長時間の激しい降雨が発生した場合、川幅が狭いからこそ短時間で増水し、避難情報が発令される前に浸水被害などが発生する事象は、ほかの多くの自治体でも起こりえることだと考えられています。

小野市では冒頭の浸水被害発生以後、地元住民とともに巡視体制を強化するなどしましたが、異常豪雨が常態化するなか、新たな対策が必要との判断。市の予算で粟生川等に水位計測システムを複数導入し、リアルタイムで市内の小規模河川の水位を網羅的に把握できる態勢を構築しました。

この水位計測システムは、国の水位観測所のような大規模設備ではなく、水位を正確に観測できる機能に絞り込んだ安価なシステムだそうです。

事例③【防災気象情報をプッシュ通知】北九州市(福岡県)

北九州市(福岡県)は土砂災害や洪水の危険度が高まった地域の住民に防災気象情報をプッシュ通知するシステムを導入するなど、従来から運用している災害情報自動配信システムについて危機管理レベルを引き上げた新たな整備を実施しました。

これは、気象台が発表する防災気象情報のなかで「土砂災害警戒判定メッシュ情報」と「洪水警報の危険度分布」に着目し、市が発令する避難情報より先に、危険度が高まった地域の市民に防災気象情報をプッシュ通知するもの。市民は事前に防災アプリをダウンロードし、スマホなどで防災気象情報を受け取ります。

このアプリには「見守り機能」も搭載。遠方に住む人でも複数の登録地点の危険情報を入手でき、家族などにその危険を知らせることができます。また、開設している避難所に関する情報を得ることができるほか、土砂災害警戒区域や津波浸水想定などのハザードマップを確認することもできます。

初動の情報収集から避難情報の発令まではどうしてもタイムラグは避けられことから、防災気象情報を入手した段階ですぐに市民に通知し、円滑な自主避難行動を支援することで、公助にくわえて、自助・共助を促す目的があります。

同市には国や県が管理する大規模河川が8、市が管理する中小規模河川が25あり、現在約1300ヵ所が土砂災害警戒区域に指定されています。また、平成30年7月の豪雨では大きな被害が発生したことなどから、近年の異常気象に対処できる新たな取り組みを検討し、今回の災害情報自動配信システムの補強を実施することにしました。これにあわせて、被災状況や避難所開設情報などを庁内で迅速かつ正確に共有する庁内SNSも導入しています。

テーマ「#水害対策」に関する関連記事

各地で頻発する水害対策について、先進的な自治体トップや担当者、支援企業に取材した「自治体通信Online」掲載の事例記事を紹介します。是非、参考にしてください。

ソリューション分野

非常時の電力供給対策

サービス名[提供社]

V2Xシステム
[提供:(株)ダイヘン]

導入自治体例

非公開

ダウンロード

ダウンロード




<参照元>
内閣府「市町村のための水害対応の手引き」
国土交通省「水管理・管理保全」    等

自治体通信メール版

「自治体通信オンライン」の最新記事や、イベント情報などをいち早くお届けします。

※このサイトは取材先の企業から提供されているコンテンツを忠実に掲載しております。ユーザーは提供情報の真実性、合法性、安全性、適切性、有用性について弊社(イシン株式会社)は何ら保証しないことをご了承ください。自己の責任において就職、転職、投資、業務提携、受発注などを行ってください。くれぐれも慎重にご判断ください。

【特別号】~いま注目のRPAを読み解く~
資料一覧ページ
コンシェルジュ
調達インフォ
[PR]

自治体の取り組みを探す

課題から探す
地域から探す

自治体通信

自治体通信

自治体通信は経営感覚をもって課題解決に取り組む自治体とそれをサポートする民間企業を紹介する情報誌です。
自治体関係者の方に無料配布しております。

自治体通信への取材希望の方

自治体通信編集部では、「自治体の"経営力"を上げる」というテーマのもと紙面に登場いただける自治体関係者・自治体支援企業の方を募集しております。

地域別ケーススタディ
課題別ケーススタディ
【特別号】~いま注目のRPAを読み解く~
資料一覧ページ
コンシェルジュ
調達インフォ
[PR]
pagetop