2016年に町役場に入庁。保健センターでの健康増進事業や施設管理業務に従事。2019年に異動し、コミュニティバス導入、基地対応、モノレール延伸促進や議会運営業務を担当。
2022年6月から現職。メディアやイベントを通じて、自治体と企業の橋渡しを推進している。
ー新卒で町役場に入庁された三宅さん。縁がある自治体だったのでしょうか?
実は直接の縁はなくて…。(笑)ただ、父の仕事の関係で名前は知っていました。
就活に当たって、漠然と「地域を盛り上げる仕事がしたい」という想いを持っていました。
元々は公務員としての就職は考えておらず、地域活性化や地方創生分野の事業を行なっている民間企業への就職を目指して就活していました。
ただ、あまりご縁がなく…。やはり公務員試験に切り替えようと思った頃にたまたま見つけたのが、入庁することになったある町役場でした。
ー何か興味を惹く要素があったのですか?
自分が住んでいる地域では数少ない“町”という規模の自治体であることに目を惹かれました。小規模自治体の方が地域と密接に関われそうで、「地域を盛り上げたい」という希望に合っていそうに感じたんです。
なんとなく、他の自治体では経験出来ないようなことが出来そうだなと思いました。
ー実際の公務員生活はどうでしたか?
3か所の部署を経験しましたが、どこの仕事も楽しかったですね。6年間ずっと、人にも恵まれていました。
特に2か所目の企画部門での仕事は思い出深いです。
コミュニティバスの運航開始に向けた準備や、多摩都市モノレール延伸の対応、あとは渉外のような仕事で、首長に同行して出張することもありました。
議会事務局の仕事も、行政運営を上流・下流双方から見ることができ、「地域はこうやって運営されているんだな」と勉強になりました。
行政ならではの仕事を多く経験させていただいたなと振り返っています。
ー充実した公務員生活だったのですね。そんな状況のなか、転職を考え始めたのはいつ頃でしたか?
転職を考え始めたのはコロナ禍でしたね。
世の中ではリモートワークやオンライン会議が主流になっていくなか、自分はほとんど毎日庁舎に出勤していたんです。地方自治体の仕事の多くは、住民の方と直接対応が必要な仕事なのでやむを得ないと思いつつも、行政の時流に対する対応力に漠然と不安を抱いていました。
行政の仕事が楽しくて好きだったからこそ、コロナ禍を機に、行政や地方をより良くしていくためには民間企業や経営の視点も必要だと感じるようになったんです。行政と民間企業の視点を掛け合わせて、今以上に面白い仕事ができるなら、積極的に挑戦してみたいという思いが出てきました。
ー転職活動の進め方と、悩んだことがあれば教えてください。
職務経歴書は自分で調べてある程度形にできたのですが、面接は少し苦戦しました。民間企業の面接官に響く話し方、心を動かすトークが難しかったです。
自治体での業務は、求められたものをその通りに打ち返すことが良しとされていることが多かったので、自分をPRしたり想いを伝えたりすることに慣れていませんでした。
イシンはエージェントの方のご紹介で知りました。『自治体通信』は読者として活用していたので、興味を持ったんです。
ー公務員としての仕事も充実していた三宅さんが、最終的に転職に踏み切った決め手は何だったのでしょうか。
『自治体通信』の事業に携わることは、行政の経験を活かせて、“線”でキャリアを築ける選択だと思えたからです。行政の仕事が好きだったからこそ、別の立場から行政に関わることができたら面白そうだなと感じました。
普段『自治体通信』を読んでいて、先進的な取り組みを進めている自治体の職員の方々は、どのようなことを考えて、どういった経緯で取り組みに至ったのか、背景が気になっていたんです。
そういったことも知ることができたら、もっと視野が広がりそうだなと思いました。
あとは営業職で内定をいただいたので、行政では身に付けられないスキルが身に付けられそうだと思い転職を決意しました。
ー初めての営業職は、いかがでしたか?
正直、最初は「転職しなければよかった」と思うくらいうまくいかなくて、悩みました。
同時期に入社した同僚たちは入社して早々に成果を出していました。かたや私は、一向に安定した売り上げを立てられなかったんです。
そもそも話すことが得意じゃないし、やっぱり向いてないのかもしれないと本当に悩みましたね…。
ーそんな時期があったのですね。どのように乗り越えたのでしょうか?
まずはアプローチ先やアプローチの仕方を工夫しました。自分はみんなと同じようにやっても成果を出せないと感じたので、自分ならではのやり方を模索したんです。与えられたアプローチリストの他に、ニーズがありそうな企業を公開情報から探し出して、自身のリストに追加していました。
アプローチも定型文ではなく、自分ならではの視点を取り入れ、なるべく想いを載せた言葉でご連絡するように心がけました。徐々に商談の機会をいただけることも増え、商談の確度も上がっていったように思います。
あとは営業経験が長い上司からのフィードバックを真摯に受け止めて、すぐに実践する。これは徹底して繰り返していました。
ー今では難易度の高いクライアントも複数抱えつつ、マネジメント業も担う三宅さん。公務員時代と比べて、思うことはありますか?
公務員時代はマネジメントの経験がなかったこともあり、自分のマネジメントスタイルは今まさに模索しつつ確立させているところです。自分の経験が誰かの助けになる感覚はすごく良いなと思いますし、メンバーがゆっくりでも少しずつ変化していく様子は、見ていて興味深いです。
営業職としては、目標数字にコミットするという一定のプレッシャーは変わらずあります。一方で、多くのクライアントの皆さまとご縁をいただいて、商談でさまざまな事業のお話を聞かせていただけることは面白く感じています。
ー今後のキャリアビジョンはありますか?
今携わっている『自治体通信』をはじめとする公民連携事業は、やはり影響力のある事業だなと感じます。まずは目の前の仕事に集中しつつ、事業の拡大や伸びしろ部分に今後さらに寄与していきたいですね。
また、地域活性化や地方創生分野にもっと携わっていきたいという思いは変わっていません。今後はより事業の下流側、現場に出ていけるような仕事にも挑戦してみたいです。
働き方については、昨年から半年間の育休を取得させていただき、復帰して4か月が経ったところです。
今でも在宅勤務と出社勤務を併用し、一定両立できている部分はありますが、以前よりも勤務時間が限られているなかで、どう業務を捌いていくか。ワークライフバランスは引き続き追求していきたいなと思っています。
ー今キャリアに悩んでいる公務員の方が、公務員として働き続けるか転職するかを決めるために何をしたら良いと思いますか?
まずはいろんな人に会ってみて、「こんな人になりたいな」と思えるロールモデルを見つけることが第一歩だと思います。
ロールモデルが見つかったら、その方がいる場所に行く、同じやり方を試してみるなど、自身のキャリアを前進させる考え方や方法のヒントが得られるはずです。
今いる環境だけだと出会える人も限られてしまうので、私は主にSNSを活用して探しました。SNS上では、元公務員で民間企業でも活躍されている方がいることが分かり、自分もそうなりたいなと思えたんです。
今は有名な公務員の方もSNSを活用されていますよね。自治体を超えて「自分もこうなりたい」と思える公務員の方が見つかったとすれば、公務員を継続する道もあるかもしれません。
いずれにせよ視野を広げて、外の世界をまずは見に行ってみる。フラットにキャリアを考える上でも重要だなと思います。