2012年、新卒で飲料メーカーの営業職として入社。その後、2014年に地方自治体(市役所)に転職。
10年にわたって市長秘書、検査管財課、FM推進室、税務課、総務課で勤務。固定資産台帳の作成、住民税の賦課、選挙事務など幅広い業務を担当。
2023年10月からは現職にて、自治体通信の営業として活躍。
ーファーストキャリアは民間企業からスタートした松信さん。自治体への転職に至った経緯を教えてください。
新卒で飲料メーカーのルート営業として入社し、約2年半勤務しました。
当時の就活の軸は「地元で働きたい」「デスクワークは避けたい」「稼ぎたい」の3つだったので、理想通りの企業に就職できたと思っていました。
ただ入社後しばらくして、会社が吸収合併され、仲の良かった先輩や同僚が次々に辞めてしまったんです。また、本社と現場の乖離など、入社前は見えていなかった実態に辟易とすることも増え、私も退職を決めました。
次の就職先をどうしようか迷っていたとき、母から地元の自治体の採用試験の受験を勧められました。他にあてもなかったのでとりあえず受けるかと軽い気持ちで受験し、そのまま就職することになりました。
ー軽い気持ちでの入庁でしたが、10年間公務を全うされていますね。自治体での仕事はどうでしたか?
仲の良い同僚もたくさんいましたし、楽しい場面も多かったですね。
デスクワークが嫌だと思っていたのですが、秘書として車を運転したり、地域の方と公共施設の活用方法について議論したり、面白い仕事も多くありました。
地元の自治体だったので、学生時代の友人から「行政のことについて教えて」と連絡をもらうこともあり、嬉しかったです。「地元の人の役に立っている」と働く意義を感じていました。
入庁5年目頃からは、難易度の高い業務を与えてもらえるようになりました。いわゆる「出世コース」だったと思います。漠然と、そのうち課長になって、部長になって、定年を迎えるのだろうと考えていました。
ー前向きに働いていたところから、10年目で再転職を決意したのはなぜでしょうか?
仕事は楽しい部分もあった半面、正直不満も常にありました。
例えば、他部署との折衝業務。当時まだ20代で勤務経験が少なかったこともあり、うまく調整できないことが多くて苦労しました。
また、新しい取り組みを提案することもあったのですが、結局承認されずに終わってしまうことも多かったです。今思えば、新しいことを始めた先の効果を上手く訴求できていなかった自分の力不足とも思えるのですが…。(笑)
仕事は充実していて評価もついてきていましたが、給与が思うように上がっていかない。多方面に不満が募っていた頃、コロナ禍で時間ができて、ビジネス系のYoutube動画を見ることが増えました。
民間企業では副業なども主流になってきていると知り、やっぱり民間企業で働いてしっかり収入も得ていきたいと思うようになりました。
ー転職活動はスムーズに進みましたか?
大苦戦しました。(笑)転職先が決まるまでに1年間ほどかかりましたね…。
まず書類選考が通らなかったです。応募社数は100社以上にのぼりました。そのうち面接まで進んだのは10社程度です。
当時の自分は井の中の蛙で、「自分は仕事ができる」と天狗になっていました。
市場価値に対して、自分を高く見積もってしまっていましたね。職務経歴書の書き方も分からなかったですし、日中働いているのにいつ転職活動をすれば良いのかなど、進め方も良く分からず手探り状態でした。
ーどのように乗り越えたのでしょうか?
転職エージェントの方に何から何までお世話になりました。当初、エージェントの方から自身の強みを聞かれた際、「熱量です!」と、強みとしては曖昧な回答をしてしまうくらい転職活動のことも市場のことも分かっていなかったんです。
転職活動における強みの言語化やPRの仕方のコツを教えてもらいながら、面接練習もサポートしていただきました。
また、転職活動初期は自分の経験やスキルに合わないハードルの高い企業を受け続けていました。
エージェントの方のアドバイスもあり、途中で適正な希望条件に見直しを行ってからは、かなりスムーズに選考が進むようになりました。
ー転職先の決め手はなんでしたか?
最終的に数社から内定をいただいたので、そのなかから比較して決めました。
自身の譲れない転職軸のひとつに、「公務員と同等程度もしくはそれ以上の給与で転職したい」想いがあったので、まずは条件面で比較しました。
あとは、『自治体通信』を元々読者として購読していて好印象を持っていたのと、面接官の印象が特に良かったこと、そして給与にインパクトしそうな営業職という3点でイシン株式会社を選びました。
ー転職して、最初の印象はどうでしたか?
若い社員が多く活気があるだけでなく、業務に対して真面目で真摯に向き合っている方が多く好印象でした。
営業の仕事は、「数字目標がある」点が公務員とは一番異なりますが、自分には合っていました。分かりやすく定量目標があった方が頑張れるタイプみたいです。
先輩のフォローもあり、営業職としての立ち上がりは比較的スムーズだったと思います。
ー営業職の楽しい点と、難しい点をそれぞれ教えてください。
人と話すことが好きなので、単純にクライアントと話すことは楽しいですね。
特にイシンの営業は、お客様の会社規模や業界がさまざまなので、今まで話したことないような方とお話させていただいて、課題をお聞きしてご提案するプロセス自体が面白いと感じます。
一方でクライアントの課題も多岐にわたっているので、今ある商材の中でどうご支援するかを考え、ご納得いただけるような提案をすることはまだまだ難しいです。
ー転職したことで、ご自身に変化はありましたか?
愚痴を言わなくなりました。(笑)公務員時代は自身がまだ若く未熟だったこともありますが、家族や友人によく仕事の愚痴をこぼしていたんですよね。
転職してからは「愚痴言わなくなったね」と言われるくらい変化がありました。
また、最近では入社歴の浅いメンバーのOJTを担うようになったことも変化のひとつです。
営業職も初めてでしたが、他者の営業に対してフィードバックをする経験も初めて。1人で営業の仕事をしているときは見えなかった気づきがたくさん出てくるようになりました。
これにより、自身の営業スキルや営業職としての視点の変化も感じています。
ー今後挑戦してみたいことや、キャリアビジョンはありますか?
今はイシンで、営業職としてもっと突き抜けていきたいです。
転職して2年弱経ちますが、ここにきて「もっと売れるようになれるかもしれない」という兆しが見えてきています。
こう思えるようになったのは、やはりOJTの経験が大きいです。もっと営業スキルをつけて売れるようになりたい。今はそんな思いが強いですね。イシンでやり切ったと感じたらまた次のキャリアを模索するかもしれませんが、今はとにかく目の前のことに集中したいです。
ー最後に、キャリアに悩む公務員の皆様へメッセージをお願いします。
キャリア形成において、転職する・しないはどちらでも良いと思っています。
ただ、なんとなく抱えているモヤモヤをそのままにして、時間だけが過ぎている状況はすごくもったいないですよね。
少しでも仕事や働き方に違和感があるのであれば、まずはキャリアの棚卸しをすることをおススメします。
今の自分の仕事は転職市場で見たらどうなのか、いわゆる『市場価値』を見ることもすごく大事です。あとは民間企業も含めて市場を見渡したときに、同年代の人たちのキャリアはどうなのか、そもそも世の中にはどんな会社や仕事があるのか。
そういったことを、自分と市場を照らし合わせて客観的に見ることができると良いですね。フラットに自身を省みることで、納得感のあるキャリアの選択に繋がるのではないでしょうか。
私の場合は、自分で自分を的確に省みることが難しかったので、キャリアコーチングを活用していました。プロにお願いするのもひとつの手段です。
まずは目の前のキャリアと向き合うことから、是非やってみてほしいなと思います。