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佐賀県 の取り組み

外国人のいる風景が日常となる国際都市を築く

外国人のいる風景が日常となる国際都市を築く

佐賀県知事 古川 康

「世界とつながる」をキーワードに、中国・瀋陽や香港などに拠点を開設。さらに上海とソウルに定期航空便を就航させるなど、海外戦略を積極的に推進している佐賀県。最近、「世界とともに発展する」という新たな戦略を打ち出した。同県の古川知事に新戦略の内容や課題の解決策、今後のビジョンなどについて聞いた。

※下記は自治体通信 Vol.1(2014年9月発刊)から抜粋し、記事は取材時のものです。

通信環境を整えることで職員のコスト意識が向上

―古川知事は海外へ出かけることが多いと聞いています。どんな目的で行くのですか。

 知事としての1期目には、「まずは海外に佐賀県の名産品や観光地をPRしよう」でした。3期目となる最近では、「2年後の有田焼創業400年に向けて、そのPRを」といった、特定のテーマをもって出かけることが多いですね。また、個人的にも海外旅行が好きで、プライベートでもよく行きますよ。

―県のトップが自ら出向くにせよ、職員を送りこむにせよ、海外で活動するにあたっては通信環境が重要だと思います。その面ではどんな課題がありましたか。

 コストが高いことです。グローバル化のなか、「海外出張中だから連絡がつかない」という言い訳はまったく通用しません。海外でも国内と同じように電話やメールが利用できなくてはいけない。しかし、ローミングサービスを利用すると電話もメールも料金が高い。私自身、以前、台湾にプライベートで旅行したとき、たった2泊3日で
11万円くらい払った記憶があります。
 海外戦略を積極的に推進し、職員の海外出張が増えてくるとともにそのコストも増大します。何か手段を講じなければならないと感じていました。

―どのようにしてその課題を解決したのですか。

 海外用WiFiレンタルサービスの「グローバルWiFi」を導入したのです。3年前に経営者の集まる会で、このサービスを提供するビジョンの佐野代表と出会ったことがきっかけで、このサービスを知りました。その後、佐賀県が誘致した企業だということもあり、導入を決めました。
 ただし、導入当初は、海外出張時に個人の携帯電話を使っている職員もいました。「どうしてグローバルWiFiを使わないのか」と聞くと、「そういうものがあることを知りませんでした」とか「支払事務が面倒なんです」と言うわけです。そこで、海外出張のときは「グローバルWiFi」を使うことをルール化して、県の情報・業務改革課が一括して支払事務をすることにしました。その後は、みんなが使うようになりました。

―導入の効果を教えてください。

 現在のグローバルWiFiでの海外通信費は年間約90万円。これを、ローミングサービスを利用したと仮定して計算すると約190万円となり、約100万円を節減したことになります。県民の税金100万円がムダに使われずに済んだということです。海外出張する職員に利用をルール化したことで、職員のコスト意識が高まったと思います。いわば、グローバルWiFiが通信費節約の象徴となったのです。

高速通信網を整備外国人に快適な環境を

―今後、どんな海外戦略を描いていますか。

 今後の海外戦略では「海外の資本を受け入れる」「外国人と一緒に暮らす」「共生する」という3つの内容を盛り込んでいます。佐賀県の発展のためには今後、少子化の進む国内だけでなく、海外の人の力を借りていかなければならないからです。
 そのため、今回、外国人との共生を正面からうたい、県内在住の外国人を増やすことを通じて地域社会を発展させようと。そこが他県の海外戦略との大きな違いです。

―具体的な施策を教えてください。

 たとえば日本語学校の誘致です。大学や企業を誘致する自治体は多いのですが、日本語学校は少ない。まずは日本に興味をもち、日本語を学ぶ外国人を大切にしたい。日本語の能力が身につけば大学に進学する人も増加します。 そして、日本語がよくわからない外国人に日本のことをどう伝えるのか。その経験を積み上げることで、県はさまざまなノウハウを得ることができます。それを活用して、外国人と一緒に暮らすことが当たり前の地域をつくることができるはずです。
 また、外国人との共生のために、少しでも外国人にとって快適な環境を整えたい。たとえば外国人に日本での通信環境を無料で提供する全県フリーWiFi化。今後2年間に2800ヵ所のフリーWiFiスポットを設置したいと思っています。さらに、英語、韓国語、中国語、タイ語に対応できるコールセンターを設置するとともに、コールセンターサービスに連動したスマホアプリを開発し、提供します。
 これらの施策を通じて、外国人のいる風景が日常になるようにしていきたいですね。

古川 康(ふるかわ やすし)プロフィール

1958年、佐賀県生まれ。1982年に東京大学法学部を卒業後、自治省(現:総務省)に入省。複数の自治体などでの勤務を経て、2003年の佐賀県知事選挙に立候補し当選。当時の全国最年少知事だった。2007年に再選、2011年に三選。海外戦略を強力に推進しているほか、ICTの活用にも積極的に取り組み、全国で初めて県内すべての救急車にタブレット端末を配備し救急搬送時間の短縮につなげるなど、多くの成果をあげている。

佐賀県データ

人口 83万5,473人(2014年8月現在:推計)
世帯数 30万3,681世帯(同上)
予算規模 4,320億円(平成26年度当初)
面積 2,439km²
概要 九州地方の北西部にあり、北は玄界灘・南は有明海の2つの海に接する。
佐賀平野には弥生時代の吉野ヶ里遺跡があり、古代から米どころとなっている。
唐津・伊万里・有田などは古くから陶磁器の産地として有名。

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