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既存調査とのコラボレーションでより地域にやさしいまちづくりをめざす

一般財団法人 計量計画研究所 都市・地域計画研究室 室長 石神 孝裕

[提供] KDDI株式会社 /株式会社コロプラ

GPSのビッグデータを活用した動態調査は、観光施策だけでなくまちづくりにおいても大きな可能性を秘めている。国や自治体による都市交通調査を技術面からサポートしてきた計量計画研究所では、いち早くGPSによる動態調査に着目。導入の理由や魅力、取り組みの詳細について、同法人の石神氏に聞いた。

※下記は自治体通信 特別号(2018年4月発刊)から抜粋し、記事は取材時のものです。

月や曜日といった細かい行動の変化を追えなかった

―まず、計量計画研究所の事業内容について聞かせてください。

 私たちは、交通や都市にかんする調査研究のエキスパート集団。半世紀以上にわたり、国や自治体が実施する都市交通調査の支援を通じて、地域づくりやまちづくりのサポートをしてきました。

 代表的な調査が、「パーソントリップ調査」。どのような人が、いつ、どういった目的で、どこからどこへ、どの交通手段で移動したかなど、人々の1日の行動を調べるものです。東京都市圏では昭和43年以降、10年ごとに調査を実施。平成20年の調査では無作為に抽出した約139万世帯に調査協力を依頼し、回収した膨大なデータの調査・分析を行いました。

―こうしたデータは、どのようなことに活用されているのでしょう。

 統計データから都市交通の実態を把握し、将来の都市計画や交通計画に役立てています。たとえば、お年寄りの外出しやすい地区、バスが利用されにくい地区など、各地区の交通特性が把握できます。また、交通シミュレーションを実施することで、道路の整備や時差出勤などのソフト施策の効果分析ができます。データで“見える化”された根拠は、政策判断や合意形成の材料になります。

―「パーソントリップ調査」において、なにか課題はありましたか。

 まず、大規模な調査で莫大な費用が必要になるため、自治体としてはそう頻繁に実施ができません。大都市圏であっても、10年に一度実施できればいいというのが現状ではないでしょうか。そのため、都市計画や交通計画を立てるタイミングによっては、データが古くて検討するための資料として使えないというケースがあります。

 また、調査は1日分のみなので、月や曜日による行動の変化を追えないのも課題のひとつでしたね。

―そうした課題解決のため、GPSのビッグデータを活用した動態調査を実施したのですね。

 そうです。そもそも計量計画研究所では、「パーソントリップ調査」以外にも、さまざまな方法で交通実態の把握分析を行っています。自動車プローブデータや、交通系ICカードを使った分析もそのひとつ。そんななか、より詳細なデータがえられ、観光分野で注目を集めているGPSのビッグデータを活用した動態調査も実施することにしたのです。

首都圏のターミナル駅で動態調査を開始

―GPSのビッグデータを活用することで、どのような効果が期待できるのでしょう。

 やはり人の行動を、細かく追えるのが大きな魅力ですね。KDDIが提供しているような高精度・高頻度のGPSビッグデータであれば「パーソントリップ調査」では追うことが難しい、駅の周辺など狭い地区における回遊実態がとらえられます。たとえば、駅周辺における再開発や歩行空間の整備などの際、「どのように計画すれば賑わいが生まれるか」といったシミュレーションにデータを活用することも可能。モニタリングを通して施策の効果を検証できる点も、魅力のひとつです。なお、国土交通省も「スマート・プランニング」と称し、こうした取り組みを後押ししています。

―すでに、GPSによる動態調査は進められているのでしょうか。

 現在、首都圏のあるターミナル駅の再開発での活用に向けて、自治体と調整を続けているところです。調査結果によって、まちなかにおける機能配置と移動空間をセットでとらえることで、訪れたくなる、回遊したくなるようなまちの仕立てを考えていけるようになるのではないかと期待しています。

―今後の活用方針を教えてください。

 「パーソントリップ調査」とのコラボレーションによって、交通行動の分析やシミュレーションの活用などを通じて、地域づくりに貢献していきたいと考えています。また、GPSのビッグデータを活用した動態調査のデータは、自治体と市民が、まちの将来像を共有するためのツールとしても活用できるはず。自治体が先に将来像を描いて住民の理解をえるよりも、データからみえる事実にもとづいて住民と行政とで問題認識を共有し、そこから多様なまちづくり活動につなげていく方が、現代のまちづくりにふさわしいと思います。

 GPSのビッグデータを機に、自治体と住民との間でまちづくりの議論が進めばうれしいですね。

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