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指定管理者制度のネクストステージを見すえたモニタリングのあるべき姿

住民サービスの 質向上 有識者の提言

指定管理者制度のネクストステージを見すえたモニタリングのあるべき姿

総合システム研究所株式会社 (神奈川大学 人間科学部 教授) 代表取締役 大竹 弘和

全国で7万以上の公共施設が導入するなど、公民連携の成功例に数えられる指定管理者制度。一方、創設から10年を経て改善すべき問題点も浮上している。横浜市指定管理者制度委員を務めるなど実情に詳しい神奈川大学教授(総合システム研究所代表)の大竹氏に、住民サービスの質向上を促進する制度運用のあり方を聞いた。

※下記は自治体通信 Vol.2(2015年4月発刊)から抜粋し、記事は取材時のものです。

「評価の時代」に突入

―平成15年の改正地方自治法により指定管理者制度が運用開始されて10年が経ちました。この間、どのような成果がありましたか。

 公共施設の効率的・効果的な管理運営が促進された半面、課題も多く、制度運用の適正化は道半ばだと感じています。
 指定管理者制度の10年の歴史を5年ごとに区切ると最初の5年間、つまり1巡目は「アイデア競争の時代」。民間のアイデアやノウハウが流入した結果、ユニークな特長を打ち出した公共施設が登場したり、地域ニーズを掘り起こす創意工夫が活発に行われました。
 2巡目は「コスト削減重視の時代」です。厳しい財政事情を背景にコスト削減に傾注する自治体が増加。指定管理者公募の安値入札が繰り返され、制度の根幹にかかわる矛盾が噴出しました。

―どのような問題が顕在化したのですか。

 人件費が削りこまれたことで優秀な人材の確保が難しくなり、既存業務の運営にも支障がでるようになったのです。行き過ぎたコスト削減による業務簡略化で安全管理がおろそかになり、公共施設であってはならない事故すら起きてしまいした。
 そのため総務省は、平成22年に指定管理者制度の運用にかんする通知を発出。「指定管理者制度は単なる価格競争の入札とは異なる」「安全確保や労働条件などに配慮すること」などの注意喚起を行いました。

―コスト削減一辺倒が転換したのですね。

 そうです。そして、指定管理者制度導入から10年を経て3巡目のいまは「評価の時代」だとの共通認識が自治体で生まれています。

PDCAサイクルを回す軸

―なぜ評価が重視されるようになったのですか。

業務遂行能力の高い事業者に適正コストで良質な住民サービスを継続提供してもらうためです。
 民間では低コスト、高スピードで業務改善する仕組みとして「計画・実行・評価・修正行動」の4段階からなる※PDCAサイクルというマネジメント手法が定着しています。公共施設の運営・改善を意味する計画・実行・修正行動の主体は指定管理者、評価は自治体が行う部分。「業務の履行状況」「施設経営の継続性・安定性」「サービスの質」の3分野について自治体が指定管理者を的確にモニタリングすればPDCAサイクルが回り、良質な住民サービスの継続提供が可能になります。
 しかし、ここにも大きな課題があります。

※ PDCAサイクル:Plan・Do・Check・Actionの頭文字をとった業務改善手法。品質管理の標準的な仕組みを構築したW・シューハート、E・デミングらによって提唱された

―どのような課題ですか。

 多くの自治体がモニタリングを効果的に実施できていないことです。地方自治法で指定管理者へのモニタリングが規定されていることから「すでに実施している」と考える自治体は少なくないでしょう。しかし、その内実は評価基準が曖昧で客観性に欠ける内容であったり、モニタリングと称した利用者アンケートであることが多いですね。

事業開始1年終了時点と4年終了間際の2回実施する

―効果的にモニタリングを実施するポイントを教えてください。

 4つあります。1つめは、さまざまな角度から行うこと。モニタリングには、①自治体が行うモニタリング、②指定管理者が自ら行うセルフモニタリング、③自治体でも指定管理者でもない第三者によるモニタリングの3種類があり、これらの組み合わせとバランスによってバイアスが除去された客観事実を把握でき、合理的な評価を行いえる前提が整います。どれかひとつだけ実施すればよいというものではありません。
 とくに、指定管理者の継続性を図る意味からも、専門的な第三者による正確で客観的な評価が不可欠となります。
 2つめは、モニタリングの実施回数です。

―何回実施すればよいのですか。

 多くの自治体の指定管理者制度の運用状況を検証した結果、指定管理期間中に2回行うのがベストだと私は考えています。
 たとえば5年間の指定管理期間において、期間中に1回しかモニタリングを実施しない自治体もあれば、毎年行っているケースもあり、自治体によって実施回数にバラつきがあります。少ないより多いに越したことはありませんが、目的もないまま頻繁に実施しても意味がありません。換言すると、目的を明確にすれば実施回数は2回がもっとも適切なのです。

―その理由を聞かせてください。

 モニタリングの実施目的は、客観評価を通じてPDCAサイクルを回すため。であるなら、課題抽出と改善結果についてのモニタリングの2つが必要だからです。
 課題抽出の実施時期は、試行錯誤の最中にある事業開始の初年度に行ってもしょうがないですし、3年目や4年目では遅い。より良質なサービスを可能な限り早く住民に提供するため、課題を改善する時間の確保も必要なので、事業開始から1年が経過した時期に行うのが適切です。改善結果のモニタリングは改善に取り組んだ2年後、つまり4年目の終了間際に実施すべき。その結果も最終年度に反映すべきなので、指定管理期間が終了する間際ではいけません。
 ちなみに私は、課題抽出のモニタリングは、指定管理者に改善点を知ってもらうための「気づきのモニタリング」、採点簿にあたる改善結果についてのモニタリングは「評価のモニタリング」とネーミングしています。
 3つめのポイントは「サービスの質」を数値化することです。

大竹 弘和 (おおたけ ひろかず)プロフィール

昭和30年、東京都生まれ。筑波大学大学院修士課程修了。長年、公務員として教育行政に携った後、平成17年に政策シンクタンクの総合システム研究所株式会社を設立し、代表取締役に就任。平成19年に神奈川大学人間科学部教授に就任。元横浜市指定管理者制度委員。指定管理者制度やモニタリングにかんする著書・講演多数。

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