―ICT化が進むなか、庁内システムの構築時に日野市が抱えていた課題はなんでしょう。
中村:庁内のネットワークが複雑化していったことです。「マイナンバー制度」「ネットワークの三層化」「都道府県セキュリティクラウド」などの対応で、われわれは、システムの更新と変更を求められてきました。でもそのたびに、その課題が増幅していきました。
牛迫:この状況で、システム障害を起こさず、安定稼働させていくにはどうすればいいのか。ほかの自治体同様に頭を悩ませていました。そこで「マイナンバー制度」が開始されることをにらみ、庁内システムを更新するにあたって、ネットワークシステムを24時間監視する『System Answer』というソフトウェアを導入したのです。
―くわしく教えてください。
中村:複雑なシステムの性能状況を把握する「性能監視機能」をもったソフトウェアです。これは、1分間隔でネットワーク性能を監視し、システムに障害が起こる前に異常を検知し、メールで教えてくれるといったもの。メールを見れば、どの箇所が異常を起こすかがわかり、未然に多くのトラブルを回避できます。
多岐に渡るネットワークも監視が可能
―導入したことでほかにメリットはありましたか。
牛迫:一台で複数のシステムを監視できることです。当市はシステムの一部をデータセンターに預けています。そのため導入前は、障害が起きたとき、どこで起こった事象なのか原因の切り分けに時間がかかっていました。監視システム導入後は、どこで起きている事象なのかを瞬時に知らせてくれ、障害場所を特定する手間が省けています。現在は「ネットワークの三層化」に対応するため、三台に増やして監視を行っています。
中村:メールの指示に従って対応すれば、だれでも簡単に対応できるといった点です。当課の業務は専門知識を要しますが、当システムは画面構成などもわかりやすく、すぐ慣れることができます。
―情報システム課における、今後の方針を教えてください。
牛迫:「デジタル・ガバメント」「自治体クラウド」など、ICTを活用した自治体業務は次のステップに移っています。われわれの業務は、庁内システムを24時間、365日、安定稼働させることが第一です。利用する職員が障害に巻き込まれることなく、業務に専念できる環境を引き続き提供していきたいと考えています。