全国の自治体トップ・職員・議員に贈る
自治体の"経営力"を上げる情報サイト

秋田県大館市 の取り組み

[PR]

訪日外国人を惹きつける「おもてなしの心」

地方創生の起爆剤としてインバウンド施策に注力する自治体は多い。誘客実績の多寡はさまざまだが、ひとつの共通する動きがみられる。従来のハード(施設整備)偏重から脱し、ソフト(接遇力)を見直そうとの動きである。航空業界でつちかった知見をベースに「訪日外国人おもてなし研修」で自治体を支援するANAビジネスソリューション社長の矢澤氏に、その背景などを聞いた。

※下記は自治体通信 Vol.10(2017年10月発刊)から抜粋し、記事は取材時のものです。

ハードだけではもはやリピート需要を獲得できない

―自治体のインバウンド施策におけるトレンドを教えてください。

 地方創生に向けて、インバウンド施策に力を入れる自治体は年々増え、これまで観光政策にさほど力を入れていなかった自治体でも、インバウンド施策に本腰を入れ始めている例が多くあります。

 そうしたなかで、注目すべき傾向があります。それは施設整備といったハード面に偏重したこれまでの施策から、それを活かすためのソフト面を重視しようとする機運が高まっていることです。

―その背景はなんですか。

 訪日外国人の嗜好の変化が背景にあります。かつての中国人による「爆買い」ブームが一巡して落ち着いたいま、観光政策が本来の姿を取り戻しつつあり、真の観光立国をめざす地道な取り組みが求められています。テーマパークやショッピングモール、有名な観光名所といった非日常の空間で行うモノの消費、つまりハード面重視のインバウンド施策だけではもはや、訪日外国人のリピート需要を獲得できなくなりつつあるということです。

―訪日外国人の興味関心が多様化しているということですか。

 そうです。日本への旅行経験がある外国人は、いまや行ったことのない場所、出会ったことのない経験・体験に魅力を感じるようになっています。実際に、訪日外国人の行動を分析すると、東京などの大都市を介することなく地方空港で入国し、そのまま別の地方空港へ移動する割合が確実に増えています。

 これを受け、各自治体でも「一度きりではなく、観光客のリピート率を高める」ための取り組みに力を入れています。その取り組みのベースとなるのは、その土地の美しい自然や伝統文化や食事ですが、重要なのはそうした地域の魅力をつなげる「人」の存在です。

「人」が介在することによって、画一的ではないサービスが提供でき、しかも、そこに住む地域の人々が満たされ、なによりお客さまに喜んでいただける。人の力によって地域の魅力は2倍にも3倍にも高めることができるのです。

課題のひとつ「外国人アレルギー」の払しょく

―観光資源が乏しいとされてきた地域には、大きなチャンスですね。

 そのとおりです。私たちも、ハード面以上にソフト面こそが、日本文化特有の観光資源となることを多くの自治体にお伝えしています。しかし一方で、インバウンド施策の経験が浅い地域では、異文化を背景にした外国人への対応に慣れている人は少なく、言語に対する苦手意識から地域住民のなかには、外国人を見ただけで逃げてしまうような強い「外国人アレルギー」を抱えている人が多くいるのも事実です。そうした外国人応対への不安感を払しょくする必要性を感じている自治体は多く、「インバウンド対応研修を導入したい」とのニーズにつながっているのです。

―インバウンドを増やしたい自治体はどのようにソフト面を強化すればいいですか。

 自分たちの地域がどういった課題を抱え、どのような成果をめざすのかしっかりと理解し、その問題解決に資するインバウンド対応策を提供してくれる経験豊富な専門家の活用をおすすめします。

 たとえば当社には、ANAが30年以上にわたる国際線就航の歴史のなかでつちかった異文化交流の実績が蓄積されています。講師は全員ANAグループの客室乗務員、空港係員経験者であり、相手の文化的背景やコミュニケーション方法の違いを深く理解したうえで、みずからの応対力を磨き上げてきた「おもてなしのエキスパート」です。こうした人材を講師として派遣する当社の「訪日外国人おもてなし研修」では、外国人応対に特化した接遇やマナーをお伝えしています。業種業態や外国人応対の経験値といった受講者の属性にあわせ、ロールプレイなどをまじえた実践的なプログラムを用意しています。そのほか、要望がある場合には実際の接遇現場におけるOJT研修にも対応しています。

おもてなしに画一的な答えはない

―導入実績を教えてください。

 現在、年間1200件以上の研修実績があります。とくに、2年前から本格的に提供を開始した自治体向けのインバウンド対応研修に対するお問い合わせはとても多く、実施件数も毎年2ケタの成長を続けています。具体的な導入事例をあげると、秋田県の大館市では、今後インバウンド施策を強化するにあたり、地元住民への研修を通じて外国人誘客への意識醸成を行っています。

 また、外国人応対の経験を積んだ自治体では、ムスリム、中国人、欧米人など訪れる外国人の特性にあわせ、より詳細な活用シーンを想定した研修を行い、自治体職員や地域住民の異文化対応力の向上に貢献しています。

―そうした研修を受講するうえで重要なポイントはなんですか。

 接遇の本質を理解することです。当社ではそれを、「相手の立場に立って、なにを望んでいるか理解し、先を読んで行動すること」と位置づけています。異なる文化を背景にした相手を理解するには、言語や知識もたしかに必要ですが、それ以上に大切なのは心のつながり。研修では言語に頼らない「ノンバーバルコミュニケーション」の重要性についても触れています。おもてなしは単なる技術ではなく、対応に画一的な答えもありません。

―相手にあわせた対応が必要だということですか。

 そのとおりです。大切なことはおもてなしの心をもち、相手にあわせた対応をすることです。相手が外国人なのか、高齢者、障がい者なのか、特性によって求められるものは異なります。さまざまなお客さまと接する航空会社ならではの経験をベースに、それをお伝えするのが当社の研修です。外国人応対については「訪日外国人おもてなし研修」を提供していますが、近年、高齢者や障がい者への対応を学ぶ研修ニーズが自治体を中心に高まっています。そうした声を受け、当社では新たに「ユニバーサルサービス研修」を開発。9月から研修商品として提供を開始しました。

ハードをより引き立てるのはソフトの充実

―今後、インバウンドで成果を上げたい自治体にメッセージをお願いします。

 インバウンド対応にしても、ユニバーサルサービス対応にしても、日本のハードは世界と比べて数十年単位で遅れているといわれています。3年後の東京オリンピック・パラリンピックの開催を控え、施設面の整備は進んでいくはずです。それらのハードを活かすうえで、大切になるのがソフト面の充実です。

 日本には「一期一会」という言葉があるように、人と人との絆を大切にする文化があります。この文化を根底で支えるのが、「おもてなしの心」。それこそが、「再び日本へ」とリピーターを増やしていくことにつながります。国際交流はオリンピック・パラリンピックで終わるものではありません。世界に日本のファンをひとりでも多く獲得するためにも、当社の研修が、いまいちど「おもてなしの心の重要性」を認識するきっかけとなることを願っています。

 大館市が位置する秋田県北部地域は、これまで外国人観光客誘致の取り組みが遅れており、インバウンド施策と聞いても、どこか他人事でした。しかし、平成28年4月に北秋田市、小坂町と連携し、「一般社団法人 秋田犬ツーリズム」を発足させたことを機に、インバウンド施策に本腰を入れ始めました。

 外国人客を迎えた経験がほぼないことから、まずは地域の人々の意識変革が重要と考え、ANAビジネスソリューションの「訪日外国人おもてなし研修」を導入しました。初年度となる昨年は、①訪日客の現状を知るセミナー、②ロールプレイ形式のグループ研修、③10年後の街づくりを議論するワークショップ、を実施。各研修には、外国人客の受け入れ当事者となる地元事業者や一般の市民など、延べ100人以上が参加。実践に裏打ちされた講師陣の豊富な知識、経験にふれた参加者からは、「大事なのは言葉ではなく、おもてなしの心だとわかった」「いまの自分たちにもできることは意外に多い」といった声が聞かれ、研修の成果を実感しています。今年度は参加者のすそ野をさらに広げる努力を続けながら、細かなレベル分けをし、より実践的な研修にも挑戦していこうと考えています。

矢澤 潤子(やざわ じゅんこ)プロフィール

昭和62年、全日本空輸株式会社入社。客室乗務員として国内線/国際線のチーフパーサー、VIPのフライトなどを経験したあと、平成13年に管理職に昇格し、客室乗務員のマネジメントに携わる。平成24年よりANAグループの客室乗務員の訓練を担う訓練センター客室訓練部長を経て、平成28年4月より現職。

秋田県大館市データ

人口 7万4,004人(平成29年7月末日現在)
世帯数 3万1,609世帯(平成29年7月末日現在)
予算規模 744億456万円(平成29年度当初)
面積 913.22km²
概要 秋田県北東部、出羽山地を縫って流れる米代川と長木川の清流沿いに開けた大館盆地に位置する。秋田、青森、岩手の北東北三県の要衝の地であり、古くから人々が定着し、縄文時代早期の遺跡も残っている。鉱石と秋田杉の美林に恵まれ、県北部の政治、経済、文化の中心都市として発展してきた歴史をもつ。

※このサイトは取材先の企業から提供されているコンテンツを忠実に掲載しております。ユーザーは提供情報の真実性、合法性、安全性、適切性、有用性について弊社(イシン株式会社)は何ら保証しないことをご了承ください。自己の責任において就職、転職、投資、業務提携、受発注などを行ってください。くれぐれも慎重にご判断ください。

自治体の取り組みを探す

課題から探す
地域から探す

自治体通信

自治体通信

自治体通信は経営感覚をもって課題解決に取り組む自治体とそれをサポートする民間企業を紹介する情報誌です。
自治体関係者の方に無料配布しております。

自治体通信への取材希望の方

自治体通信編集部では、「自治体の"経営力"を上げる」というテーマのもと紙面に登場いただける自治体関係者・自治体支援企業の方を募集しております。

pagetop