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自治体主導の「新電力」エネルギーが地域活性化の新たな切り札に

株式会社日本新電力総合研究所 代表取締役 青井 宏憲

平成28年4月から電力の小売りが全面自由化され、自治体の間でも「新電力」への関心が高まっている。専門性の高さによる参入障壁が指摘されるなか、それをクリアして新電力事業を手がける自治体も出てきた。新電力の立ち上げサポートを行う日本新電力総合研究所代表の青井氏に、自治体が事業に参入する意義やポイントなどを聞いた。

※下記は自治体通信 Vol.09(2017年7月発刊)から抜粋し、記事は取材時のものです。

今後も高まるシェア15年後は30%以上に

―新電力市場の状況を教えてください。

  平成12年から電力の小売り自由化が一部スタート。当時は大規模工場やデパート、オフィスといった「特別高圧(※)領域」が対象でした。その後、段階的に自由化が進み、スーパーや中小オフィスビルの「高圧(※)領域」、そして平成28年4月から一般家庭などの「低圧(※)領域」へ。低圧領域が対象となったことで「全面自由化」となり、電力の自由化が大きくクローズアップされることになりました。

 自由化で新規参入した事業者による「新電力シェア」は8%を超え、平成28年4月の全面自由化スタート時と比べて3ポイント以上あがりました。新電力の推進は国の重要政策でもあることから、今後もその割合は高まると予想されます。15年後には、30%以上になっているのではないでしょうか。

※特別高圧 : 契約電力がおおむね2,000kW以上。大規模工場、デパート、オフィスビル、病院、大学など
※高圧 : 契約電力が50kW以上2,000kW未満。中規模工場、スーパー、中小ビルなど
※低圧 : 契約電力が50kW未満。小規模工場、コンビニエンスストア、一般家庭など

―どのような事業者が参入していますか。

 大手企業から中小企業まで、業種もさまざま。ガス・石油系、商社系、通信系など一般消費者と多くの接点がある企業のほか、ベンチャー企業も参入しています。新電力会社として電力を取り扱うには「小売り電気事業者」としての登録が必要で、現在(平成29年5月30日現在)約400事業者が登録。このなかには自治体出資の会社もあります。

―どうして自治体が新電力を手がけるのでしょう。

 「エネルギーの地産地消による地域経済活性化」への期待が大きいようです。太陽光をはじめとした自然エネルギーやごみ焼却熱による発電など、自治体内では多くの発電が行われています。その電力を事業化し、雇用を生み出すことで地域内にお金が循環する仕組みを構築できます。また、自治体は自らのエリアに絞った供給体制をとるため安価な電力提供ができます。地域経済活動の大きな下支えになりますね。2年ほど前から民間企業と共同で新電力会社を設立する自治体が目立ち始め、現在、20以上の自治体が新電力に参入。私が把握しているだけで、そのほか20ほどの自治体が事業化に向けて準備しています。

 自治体が取り組む新電力事業は、自治体内の公共施設に電力を供給するケースが大半。まずはそこでデータ確認などをして、そのあとの展開として法人や一般家庭に供給していく流れを考えているようです。自治体によっては、電力の見える化や節電アドバイス、また、使用状況を通じた高齢者の見守りや健康チェックなど電力供給と連動させた新たなサービス提供を模索する動きもあります。

課題は「同時同量ルール」専門性も問われる事務作業

―自治体が新電力を手がけるうえでの課題はなんでしょう。

 「同時同量ルール」をいかに達成するかです。これは、自治体に限らず新電力会社全体に守るべきルールとして課せられるもの。30分ごとの仕入と販売の電力量を一致させる義務があります。この違反が度重なれば、登録が取り消される可能性も。ルールを守るためには、高度な需給管理システムを用意する必要があります。

 また、「事務作業の効率化」も課題です。営業や契約事務、顧客管理業務のほか、専門的な知識が必要となる「電力供給計画」の策定・提出も必要。煩雑であるうえに、電力の専門的知識も必要になる事務作業の効率化は、なかなか簡単ではありません。

―どうすれば課題をクリアできるでしょうか。

 専門事業者にまかせることですね。繰り返しになりますが、新電力事業を行うには高い専門性とノウハウが必要。イチから手がければ、多くの時間と資金を要します。そこさえアウトソースしてしまえば、自治体の場合、電力の供給先は公共施設という「場」がすでにあります。仕入れについても、前述のように自然エネルギーなどの発電で確保できます。民間企業とくらべて、新電力事業を行うための下地は整っているといえるでしょう。もちろん、仕入れ電力が不足する場合は、われわれを含めた専門事業者が調整します。

新たな企画として「ふるさと納電」も

―これまで手がけてきた支援状況を教えてください。

 この2年で、約70事業者の新電力事業の立ち上げ・運営を支援してきました。自治体関連では、4月から稼働した「福島電力」をサポート。福島県楢葉町が出資する「一般社団法人ならはみらい」が株主として入っています。同社では、「ふるさと納電」といったスキームで、収益の一部を地域に還元するといった企画なども考案しています。

 当社は「同時同量ルール」の需給調整については、複数の新電力会社をまとめてグループ化することで実施しています。1社ではなく複数会社の「合計値」の調整であるため、より安定した調整が可能。サポートを受ける新電力会社は、独自のシステムを導入する必要はありません。また、事務作業については当社がすべてマニュアル化し、パッケージ提供しています。

―今後の支援方針について教えてください。

 近く、自治体など地域主導型の新電力促進を目的とした「一般社団法人日本地域電力推進機構」が活動を始める予定です。民間企業、自治体、学識経験者が会員となり、事業化に向けたマッチングの場にもなります。当社は事務局として携わります。会員は、40~50でスタート予定。同機構の理事からは、「オリンピックのある平成32年には、100自治体の新電力事業の設立をサポートしよう」という声があがっています。新電力に興味がある自治体に対して、積極的な支援を行っていきたいですね。

青井 宏憲(あおい ひろかず)プロフィール

昭和62年、奈良県生まれ。平成22年に大阪府立大学を卒業し、東証一部上場の国内大手コンサルティング会社に入社。新電力部門コンサルティングチームを立ち上げ、スマートエネルギーチームリーダーを経て、平成27年4月に株式会社日本新電力総合研究所を設立。

株式会社日本新電力総合研究所

設立 平成27年4月
資本金 5,000万円(平成29年5月現在)
売上高 100億円以上(平成30年3月期見込み) 
従業員数 20人
事業内容 エネルギーマネジメント事業、新電力業務代行(導入代行、運用代行、監視代行)事業、電力卸取引事業、新電力開発事業、電源開発事業
URL https://www.j-epco.co.jp/
お問い合わせ電話番号 03-3216-7228
お問い合わせメールアドレス info@j-epco.co.jp

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