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宮崎県日南市 /日南学園高等学校 の取り組み

自治体と教育現場が一体で進める新たな“まちづくり”のカタチ

自治体と教育現場が一体で進める新たな“まちづくり”のカタチ

日南市長 﨑田 恭平

校長 藤原 昭悟

「人材こそがこのまちの強み」―。この信念から、人づくりを担う学校教育と地域の活性化事業を一体で推進しようとする取り組みが宮崎県日南市で進んでいる。将来のまちの担い手である地元の高校生に、まちづくりをけん引してもらおうとの試みだ。2年目を迎えたこの取り組みのねらいや成果について、日南市長の﨑田氏と日南学園高校校長の藤原氏、進学指導部長の穐田氏に聞いた。

※下記は自治体通信 Vol.6(2016年10月発刊)から抜粋し、記事は取材時のものです。

日南市の強みは“人材”

―日南市は教育に力を入れていますね。背景を教えてください。

 私が3年前に市長に就任し、新たなまちづくり戦略を策定する際、日南市の強みはなにかを考えました。その結論が“人材”だったんです。日南市には、近隣の薩摩藩による脅威を感じながら、江戸時代280年間を生き抜いてきた旧飫肥藩の歴史と誇りがあります。その歴史を支えたのが、人材育成への強い意識でした。その歴史に学び、策定した重点戦略プラン「創客創人」も教育を柱のひとつにしたんです。目玉政策としては、生徒が自ら課題を設定し、解決していく「プロジェクト学習」を実施する高校への支援があります。

―プロジェクト学習を支援するきっかけはなんだったのですか。

 「創客創人」のコンセプトは次代を担う高校生にこそ伝えたかった。そこでシンポジウムを開き、市内にある3つの高校すべてに参加してもらいました。ちょうどその当時、プロジェクト学習に意欲的だったのが日南学園でした。プロジェクト学習のテーマを「創客創人」と連携させ、「市の課題を解決する」と設定すれば、両者が協力し合えるとの考えにいたりました。

“かっこいい大人”を見せたい

―市が公立高校より先に私立高校を支援する例は珍しいですね。

 私立であれ公立であれ同じ日南市の生徒ですから、区別する必要はないというのが私の考えです。むしろ、まず成功事例を作ることが先決だと思いました。従来の行政の悪いところは、横並び体質です。すべての対象を画一的に扱おうとすると当たりさわりのないことしかできず、結局はうまくいかない。そうではなく、最初にヒーローやヒロインを生み出し、その波及効果で全体を底上げするほう
が成果が出るのは早いですから。

―プロジェクト学習になにを期待していますか。

 将来の日南市を支える人材が育ってほしいですね。生徒はプロジェクト学習を通じて、農業や漁業の関係者、市職員など多くの大人と触れあい、地域に貢献している“かっこいい大人”がいることを知ります。そうした大人たちの姿は、生徒のなかに地域への誇りや郷土愛を養う一助になるはずです。

 本当の成果は20年後、30年後に出てくるものだと思っています。そのとき、「額に汗をかいていた大人たちがいたな」と故郷を思い出すような経験を生徒たちにはしてもらいたいですね。

「プロジェクト学習」を通じて生徒の可能性を広げる

―プロジェクト学習の内容を教えてください。

穐田 市の重点戦略プラン「創客創人」に沿って、地域が抱える課題を7つ設定し、生徒がグループごとにフィールドワークを重ね、頭と身体を使って課題解決にあたります。2年目となる今年は、行政や各産業の現場を訪ねての実態調査にとどまらず、施策やイベントの立案から実施など、高校生の立場としてできる地方創生に挑戦させています。プロジェクト期間は1年間で、計画的・継続的な取り組みの成果は年度末に市への政策提言や成果発表会というカタチで報告しています。

―生徒はどう変化していますか。

藤原 これまで消極的だった生徒たちが、プロジェクト学習を通じて見違えるほど変わりました。地域の大人と触れあい、地域のために自分になにができるのか考えることで、生徒の主体性が育っていると日々感じています。

穐田 生徒にとって、はじめは雲の上の課題も、外部の人とかかわることで解決策を見いだせるという体験ができています。同時に、それにはコミュニケーションが大切であるという学びにもつながっています。また、学校ではこういった探究活動で身に付いた能力を測り、生徒の成長を多角的に見ていくことも必要と考え、『(※)GPS-Academic』という新テストを導入するなど、プロジェクト学習に合わせた環境整備も図っています。

※GPS : Global Proficiency Skills programの略称

―今後のビジョンを教えてください。

藤原 将来、学習指導要領の改訂やセンター試験の改革で、生徒には自ら考え、課題を発見・解決していく能力が求められます。そのためにプロジェクト学習は大きな効果を発揮しています。今後はさらにプロジェクト学習の環境を整備することで、この取り組みを発展させ、日南学園の伝統にしていきたいと考えています。その結果、日南市の発展に貢献する人材を輩出していくことが地域に根差す日南学園の役割だと考えています。

宮崎県日南市データ

人口 5万3,402人(平成28年7月1日現在)
世帯数 2万2,596世帯(平成28年7月1日現在)
予算規模 271億9,000万円(平成28年度)
面積 536.11km²
概要 宮崎県の南部に位置し、東に日向灘を臨み、西は都城市・三股町、南は串間市、北は宮崎市に隣接。宮崎市から日南市を経て鹿児島県にいたる延長112kmの全国有数のリアス式海岸は、日南海岸国定公園の指定を受けている。江戸時代には、鎌倉時代に起源をもつ伊東氏を領主とする飫肥藩の城下町として繁栄。隣接する薩摩藩の抑え役として明治維新まで続いた。明治時代には、外務大臣として日露講和条約(ポーツマス条約)締結に尽力した小村寿太郎を輩出した。

◆GPS-Aの問い合わせ先
  0120-350455
  (平日8:00~19:00、祝日、年末・年始を除く土 8:00~17:00)
   URL/https://bhso.benesse.ne.jp/(会員登録が必要)
◆Classiの問い合わせ先

   URL/http://classi.jp/

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