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自治体職員の教育

ユニバーサルマナー教育は地方創生の起爆剤になりえる

株式会社ミライロ 代表取締役社長 垣内 俊哉

平成28年4月1日、障害者差別解消法が施行される。このことは、窓口などでさまざまな人と日常的に接する自治体職員の対応に今後、どのような変化をもたらすのだろうか。障害者や高齢者など、さまざまな人の目線で考え行動する「ユニバーサルマナー」の研修を自治体職員向けに実施しているミライロ代表の垣内氏に、求められる対応策を聞いた。

※下記は自治体通信 Vol.4(2016年4月発刊)から抜粋し、記事は取材時のものです。

障害者からのクレームは新法施行で急増間違いなし

―今年4月の新法施行や平成32年東京パラリンピック開催を控えているいま、さまざまな人と接する自治体職員には、どのような対応が求められますか。

 障害者や高齢者への対応を、当たり前のマナーとして身につけていく必要があります。新法の施行により、障害者のなかには「自治体職員がサポートしてくれることは当然」と受け止める人もいます。4月以降は自治体へのクレームは間違いなく増えます。その前に、少しでも準備をしておくことは、自治体職員にとって待ったなしの課題なのです。

 国内人口に占める障害者と高齢者の割合は合わせると3割を超えます。しかも、障害者・高齢者はほかの人々よりも行政窓口に訪れる機会が多い。にもかかわらず「対応の仕方がわからない」という理由で、こうした人たちから距離を置く職員がまだ多いようです。

 また、障害福祉課のように障害者・高齢者対応の経験が多いはずの窓口でも、流れ作業のように定型化された対応をしているところが少なくありません。たとえば、車いすを利用している方がテーブルに向かうとき、いすをどけてしまう。でも実際は車いすに乗っているとお尻に負担がかかるので、「いすに移りますか」と本人の希望を聞くべきなのです。

―職員の意識を改革する方法を教えてください。

 まずは、障害者や高齢者への適切な応対(ユニバーサルマナー)を学ぶ機会が必要でしょう。そのためには、各種の研修制度を利用するのが有効です。その成果をはかる資格検定制度もあります。障害について知っているだけで、できることがあります。実際にそうした研修を受けた中高生は「これまでは障害者への接し方がわからず傍観していたが、すすんで声をかける自信が持てた」と意識が変わったそうです。

―検定制度は複数あります。どのような観点で選べばよいですか。

 ひとことでいえば、より実践的な検定制度を選ぶべきです。世の中には多くの検定・研修制度がありますが、多くの内容を盛り込むあまり、日常のやりとりにおいては不必要な、難しい知識・情報が多く含まれている例があります。また、「続けられる」ことも重要です。研修や検定を受ける場合、受講者には経済的にも時間的にも負担が生じます。仮に数ヵ月の勉強や数日間の研修が必要な場合、たとえ内容が充実していたとしてもなかなか続かず、職員に浸透しないので、クレームは減りません。

自治体の対応次第で住民の満足度は雲泥の差に

―実践的な研修制度の例を教えてください。

 当社が運営する研修制度では、実践的、日常的な内容に絞り込んだカリキュラムを設定。2時間の座学で取得できる3級カリキュラムを5000円で、実技を伴う5時間の2級カリキュラムは1万5000円で提供しています。自らも障害者である経験豊富なプロの講師陣が、当事者の立場から、すぐに活用できる実践的なマナーと、逆に「ここまでは無理にしなくてもよい」というラインを伝えています。障害者を招いて声を聞く研修はほかにもあります。しかし、そうした研修は内容が個人的主張に偏りすぎるあまり、受講者に伝わりにくくなっている場合があります。当社ではプロとしての訓練を積んだ講師が、自治体に最低限求められる心構えやマナーをわかりやすく伝えています。

―自治体での具体的な導入事例を教えてください。

 三重県鈴鹿市では、南海トラフ・東南海地震対策の一環として、市の予算で地域住民を対象にユニバーサルマナー検定を実施し、50名以上が参加しました。東日本大震災では、障害者の死亡率が健常者の2~5倍にのぼったことで、防災の観点からもユニバーサルマナーの必要性が高まっているからです。鈴鹿市では研修以外にも、障害者・高齢者など要支援者への防災時対応マニュアルを作成し、配布するなどの啓発活動もしています。このほか、京都府や大阪府、新潟県などでも、職員を対象に検定を実施するなど、自治体での資格取得の動きは広がっています。

―自治体行政をどのように支援していくか、今後のビジョンを教えてください。

 全国に広がるニーズに対応し、1月から試験的にオンライン講座を開講し、受講への地理的な制約を取り除く試みを始めています。

 平成32年の東京パラリンピック開催までは、ユニバーサルマナー対応の動きは広がっていくでしょう。しかし、「ほかがやっているからやる」という横並びの発想ではなく、ポジティブな視点で取り組むべきです。観光客をもっと取り込むインバウンド集客の手段としても有効です。私は先日、フランスのパリに行きましたが、その間、まちで車いすの利用者をひとりも見かけませんでした。観光名所の多くが車いすでは行くことができないからです。逆に、バリアフリーに数千万円を投資した京都の清水寺は多くの車いす利用者を呼び込んでいます。今すぐハード(設備)を変えられなくても、ハートはすぐに変えられます。地方創生の起爆剤としてもユニバーサルマナーの導入は意味がありますね。

垣内 俊哉(かきうち としや)プロフィール

平成元年、岐阜県生まれ。生まれつき「骨形成不全症」で、車いすでの生活を送っている。平成20年に立命館大学入学。在学中、バリアフリーマップ制作など自らの視点を生かした事業を考案。多くのビジネスコンテストで評価される。これを事業化すべく、平成22年に株式会社ミライロを設立。全国で行うユニバーサルマナー研修や各種講演は年間100件を超える。

株式会社ミライロ

設立平成22年6月
資本金900万円
従業員数30人
事業内容店舗・設備・製品のユニバーサルデザイン化に伴う企画・設計、企業・行政・教育機関における教育および研修など
URLhttp://www.mirairo.co.jp/
お問い合わせ電話番号 06-6195-7853(平日9:00~18:00)
お問い合わせメールアドレスinfo@mirairo.co.jp

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